【12月号】巻頭インタビュー・ラフレクラン
「ABCお笑いグランプリ」決勝進出、「キングオブコント」準々決勝進出と、すんでのところで涙を飲んだ2019年。しかし10月の「NHK新人お笑い大賞」では見事に優勝。待望のメジャー賞レース制覇を果たし、ますます視界良好なふたりが、現在地と未来の展望を語る。
――10月にNHK新人お笑い大賞で見事優勝を飾りました。賞レースでのタイトル獲得はこれが初ですよね?
きょん:そうですね。ただ僕は「全日本パリピ選手権」(abemaTV)で優勝してますから、これで2冠です。
西村:……NHKが初タイトルですね。
きょん:コンビではね。
西村:「コンビでは」ってなんや。「パリピ選手権」推してくるの、むちゃくちゃキモいって。
きょん:優勝したときはシンプルに、びっくりしたし嬉しかったです。NHK新人お笑い大賞は収録だったんで、オンエアで自分たちが優勝した場面を観たときはウルッときました。
西村:僕は率直に、「やっとだ」って気持ちになりました。いろんな賞レースで5〜6回決勝にいってるんですけど、毎回勝てなくて、人のための紙吹雪はもうマジで見飽きてたんです。ズバーン! って発射されるたびにちょっと腹立ってたんですよ。今回初めて自分たちに降ってくる紙吹雪を見られて、「思ったより落ちてくるのが速いんだな」と思いました。人に降ってるのは、悔しすぎていつもゆっくり見えてたんで。
きょん:あれは気持ちよかったな〜。あの金の紙吹雪、持って帰ればよかったな。
西村:アイドルのファンみたいなこと言うてるやん。
きょん:いつも応援してくれる人に配ればよかった。「ありがとねぇ」って。
西村:1枚ずつサイン書いて? ヤバいヤバい、ドイタ芸人の誕生ですよ。絶対させるか、そんなもん。
――これまで賞レースで勝てずに苦しんだことで、そこからPDCAというか……。
西村:はいはいはい。
きょん:何? ぴーでぃー?
西村:お前は大丈夫。プラン・ドゥ・チェック・アクションですね。
きょん:やめてください、アルファベット使うの!
西村:西村がわかってるから、いいです。
――敗退から何を学び、どう改善を重ねてきたんでしょうか?
西村:でも本当にPDCAじゃないですけど、負けを重ねたことで、中長期のプランを立てるようになりました。それまでは「今月はどういう過ごし方をしようか」「来週この収録があるから、そこまでにこれをやろう」みたいな短期的な目標で動いていて、小さいですけど結果も出てたから、そのやり方で満足してたんです。でもやっぱりこれじゃツメが甘いな、と。
それで2016年くらいから、「3月に新ネタをたくさんおろして、春から夏に全国ツアーをやって、秋〜冬は1カ月おきにまた新ネタをおろす」というような1年間のプランを密に考えるようになりました。勝つために動いていたなと思います。
きょん:僕は目の前のことにグッとなっちゃうタイプなので、相方がそうやって1年間のスケジュールをつくってくれることで、見えやすくなりました。あと、僕個人でも、今年は大谷翔平選手の「81マスの目標達成シート」を真似してやってみました。
――それはどんなことが書いてあるんですか?
きょん:例えば真ん中に……。
西村:「うんちした後ちゃんと拭く」とか?
きょん:そう、真ん中に「うんちした後ちゃんと拭く」って……書くわけねぇだろ! やめてよ! 真ん中に「全国区」って書いて、その周りに「キングオブコント」「M-1」「ABCお笑いグランプリ」「NHK新人お笑い大賞」……って僕らが参加してる賞レースを書いたり、コンビの活動につながることとしてSNSのことを書いたり。「全国区」のために何が必要なのかを書いて、取り組んでました。来年も書こうかしら。
西村:なんで急に女子の喋り方だよ。
――きょんさんはtiktokやインスタでも人気ですよね。今はそういうSNSなど、賞レースで優勝する以外にも売れる道筋がある時代だと思います。それでもそこにこだわっていた理由はなんですか?
きょん:それはもう「かっけぇから」です。そこだけですね。過去のM-1やキングオブコントで優勝された先輩が全員かっこいいっていう、シンプルな理由です。たしかに今はSNSで売れた方とかお仕事が増えた方はいらっしゃるし、僕もSNSはやってますけど、それはコンビの存在を知ってもらうためのものだと思ってます。
西村:そこにこだわってるのは不器用なんですよね、きっと。僕らも全然わかんないですけど、「芸人道」みたいなところというか……。SNSで頑張ってる方も尊敬してますし、否定する気はまったくないですけど、やっぱり自分たちはネタで認められたくて芸人になったところが一番大きいので、そこでいきたいなって思います。
――NHKお笑い新人大賞の決勝で戦ったゾフィーは、キングオブコントの決勝にも2度出場していますし、それこそネタの評価が特に高いコント師ですよね。賞レースで苦戦してきたラフレクランからすると、そのゾフィーに勝てたのはやっぱり格別に嬉しかったりするものですか?
西村:ゾフィーさんに勝ったなんて、1ミリも思ってないです。たまたまあの日あの会場で、お客さんがちょっと僕らのほうに多く笑ってくれて、審査員の方がたまたま1票多く入れてくれただけの話で。今でも勝てるなんて全然思ってないです。僕、上田さんと同じ大学で同じ学年なんですよ。尊敬する同級生です。
きょん:僕は「戦わせていただいた」という感じですね。ゾフィーさんのネタはめちゃくちゃおもしろくて大好きだから、決勝の相手がゾフィーさんに決まったとき「うわ〜、ネタ強いなー!」って思いました。
西村:めちゃくちゃ思った。正直、いちばんゾフィーさんが最終決勝上がってきてほしくなかった。
きょん:しかも2本目はキングオブコントでやってた「ふくちゃん」とわかって、ますます「うわ〜」って。でもそのとき、そばにいたインディアンスの田渕さんが、僕らが「警視庁カツ丼課」をやるって知ってて「何言うてんねん。世の中で考えてみ。みんなカツ丼と腹話術どっちが好きかって、カツ丼やろ!」って励ましてくれたんです。それで気が楽になったというか、いい意味で緊張が解けてヘラヘラしながら2本目ができました。
――来年こそはキングオブコントでも結果を残したいところですね。最後に、来年のP、プランを聞かせてください。
きょん:来年は年明けからスタートダッシュを決めて、いい1年にしていきたいですね。キングオブコントとABCお笑いグランプリで結果を出したいです。特にABCはありがたいことに3年連続で決勝にいかせてもらってるんですけど、なかなか優勝に届かないので、来年は獲りたいです。
西村:そうですね、ABCお笑いグランプリ優勝と、キングオブコントの決勝に出るのが目標ですね。あとは36歳になるんで、そろそろ結婚もしたいですね……そろそろいい人見つけようかな、なんて……。
インタビュー動画: 「BEHIND THE STAGE」
■ラフレクラン プロフィール
(左:西村 右:きょん)
「令和元年度NHK新人お笑い大賞」優勝。元アナウンサーの西村と、元営業マンのきょんが魅せるネタの世界観は、常に観客を笑いに包み込む。
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ライター/斎藤岬 撮影/越川麻希
スペシャルインタビューMOVIE:CAMSIDE