芸人が語る「お笑いライブ」の醍醐味~コットン西村~
東京・渋谷に構える、東京よしもとの芸歴9年目以上を中心とした今一番ホットで注目すべき若手芸人が活躍する劇場「ヨシモト∞ホール」は、4月より出演メンバーと公演内容をリニューアル。
今回、ヨシモト∞ホールで看板芸人として活躍する若手芸人「ムゲンダイレギュラー」20組に、”お笑いライブの醍醐味”をコラム形式でお届けします。
第4回目は「コットン・西村」。
芸人それぞれのお笑いライブの醍醐味をお楽しみください。
真っ暗の礼
僕はライブに出る際に心掛けていることがある。
それはお客さんにしっかりと「礼」をすること。
心掛けるというか習慣として無意識にやっているという表現の方が正しいかもしれない。
「おいテメェそんな当たり前な事をこれ見よがしに書いて文字数稼ぐな」という方。
「ギャラ払ってるんだからちゃんと書けよ西村」という無限大のスタッフさん。
まあ落ち着いて頂きたい。
僕がここで特筆したいのは礼は礼でも「真っ暗の礼」だ。
劇場で漫才を見たことがある方はご存知だろうが、漫才師が登場するとき、暗転(舞台上が真っ暗な状態)から出囃子が鳴り無数の照明によってステージが煽られる。そして芸人が勢いよく「どうもー!」と登場して(オズワルドなどは除いて)自己紹介をした後にお客さんに一礼をする。
そしてネタが終わると「どうもありがとうございました!」と言いながら(オズワルドなどは除いて)最初と同様にお客さんに一礼をするというのが通例である。
漫才はまさに「礼に始まり礼に終わる」のだ。
礼儀・礼節を重んじるという点では武道に通じるものがあるかもしれない。(通じるわけがない)
一方コントの場合は、暗闇の中で出囃子が鳴り、暗い状態のまま芸人が舞台上に移動して、スタンバイを終えると照明がつく。
そしてネタをやりオチ台詞(台本の最後の言葉)と共に暗転となる。
何が言いたいかお分かりいただけただろうか?(アレみたいに言うな!アレみたいに!)
コントは漫才と異なりお客さんに礼をするタイミングが一切ないのである。
本当に無礼者でコミュ障の集まりだと思う。(流石に言い過ぎ)
まあそれも全て「世界観」を守るためだとは僕自身も認識している。
あのライブを見るまでは。
5年程前の無限大ホール。
確か他の事務所の芸人をゲストに迎えたネタライブで、
心に残る光景を目の当たりにした。
僕は人のネタを見るのが好きでよく舞台袖にいる。
次々に出演者が笑いを起こしていく中、あるひと組のコント師が暗転中にスタンバイをした。
ネタの勉強をしようと目を凝らしていた次の瞬間、真っ暗な舞台上でそのコンビがお客さんに一礼をした。
僕は思わず「え?」と声が漏れた。
真っ暗がゆえ大半のお客さんには見えてないのに一礼をしたのだ。(なんでお前は見えてんだよ!)
そしていつものように会場を盛り上げ、オチ台詞と共に暗転になると先ほど同様にお客さんに一礼をした。
コントなのに礼に始まり礼に終わった。
大きな笑いを取り、しかも礼儀正しい。
そんなラブレターズさんに羨望の眼差しを送ったのを僕は今でも覚えている。
そしてあの日以来コントをやるときは
僕も暗転中に必ず礼をするようになった。
宜しくお願いしますという気持ちと共に、
一礼をすることで気合いのスイッチも入るのだ。
今日もどこかの劇場で僕は真っ暗の中で礼をしている。
もし劇場にご来場の際はその姿が見えるか確認でもしてやってほしい。
ただし漫才の日もあるのでご注意を。
■コットンINFO
ラフレクラン改めコットンとして初の2DAYS単独開催!
第1回コットン単独ライブ「COTTON」
【日時】2021年5月29日(土),30日(日) 開場18:15/開演18:30
【料金】オンライン¥1,200
※見逃し視聴は6/6(日)18:30まで※
TEAM BANANA山田トークライブ「西村、少し話せる?」
【日時】2021年5月30日(日)14:30開場 14:45開演
【会場】ヨシモト∞ドーム ステージⅡ
【出演者】TEAMBANANA山田/コットン 西村
■ヨシモト∞ホールINFO
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