「卒業」うるとらブギーズ・佐々木崇博
3月なので「卒業文集」企画。
ヨシモト∞ホールで活躍する6人の芸人、うるとらブギーズ・佐々木崇博、空気階段・水川かたまり、アイロンヘッド・辻井亮平、ラフレクラン・きょん、やさしいズ・佐伯元輝、ダンビラムーチョ・大原優一にそれぞれの想う「卒業」を文章で表現してもらいました。
どうも、今回コラム担当させていただきます、うるとらブギーズ佐々木です。
テーマが「卒業」という事で僕の中学の時の卒業式の話をさせていただきます。
僕は中学時代いわゆる「イケてない」とされるグループで学校生活を過ごしていました。
トップに君臨する「イケてる」グループの人達を見上げながらの生活。
とはいえ、同じ「イケてない」グループの友達は沢山いましたし、それなりに楽しく過ごしてはいました。ラブレターズの塚本君もその仲間の一人でした。
とはいえ学級カーストの下のグループに属していると何だか惨めな気持ちもありしまして「みんなに凄いと思われたい。」「いつか見返してやりたい。」という思いは持ち続けていました。
そんな感じで迎えた卒業間近、クラスで卒業文集を作るという事で一人ずつ中学校生活の思い出を自由に書いて提出する日がありました。
ここは一矢報いるチャンスだと思い、僕はオリジナルの「詩」を提出しました。
その「詩」がこちら。
『無言』
周りの人が全て敵に見えて 自分が恐ろしくなった
一歩でも動くもんなら全部がゼロにされる気がした
この押しつぶされそうな空間からきりぬけるには
自分の目ん玉や耳や手を失わなければならないと思った
しかし、そんな事出来るはずもなく
そのかわりになる物をずっと探してた
あるはずがないと分かっていても探していた
そして奇跡を待った
終わる事なく待った
自分に拍手を送れるまで
これが中3の僕が書いた「詩」です。
怖えです。
なんて言うか、怖えです。
タイトルから全部怖えです。
何故こんな詩を書いたか、理由は
「かましたかった」
からだと思います。
独特の感性を持っている人だと思われたかったんでしょう。
変わってる奴だと一目置かれたかったんでしょう。
だって何言ってるか意味分かんないもん。
こんな事思った事ないもん。
そんな繊細じゃないもん。
でも当時の僕は「すげぇのが出来たぜ」と思いながらこの詩を提出しました。
そして卒業式の日、教室で卒業文集がクラス全員に配られました。
みんなが「楽しかった3年間の思い出」とか「卒業しても元気でね!また遊ぼう!」とか可愛いイラストをおり混ぜで書いたりしてる中、僕の『無言』もしっかり印刷されていました。
仲良い友達同士お互い何を書いたか見合ったりしてる中僕は一人で自分の詩を見つめて
「あれ、これやっちゃったか?」
と思った覚えがあります。
さすがに冷静になったら当時の僕も気付けるもんです。
しかし、その時一人の女子生徒が僕の所に寄ってきて「佐々木くん、私の卒業アルバムに詩書いて。」と言って来ました。
僕は「来た。」と思いました。
『無言』が響いたのです。
僕は何食わぬ顔で「いいよ。」と返事をし、卒業アルバムの寄せ書きのページに詩を書き始めました。
さっきまでの冷静な気持ちは捨て去り『無言』の作者として研ぎ澄まされた感性を爆発させて詩を作り終えました。
その子にアルバムを「はい。」と返し席に戻り詩を読んでいるその子の様子を見ていました。
その子は僕の詩を読みながら固まっていました。
しばらく固まってました。
とっくに読み終わってるだろうという時間が過ぎても固まってました。
僕は思いました。
「これ、やっちゃったか?」
と。
内容は覚えないけど『無言』モードで加速した文章ですからとんでもなく「かましてた」事は間違いないです。
絶対にやっちゃってたと思います。
そんな感じで卒業式を終え、仲の良い友達と焼肉食ってカラオケして帰りました。
みんな『無言』の作者である事を知っているのにまるで『無言』の作者じゃないかのように接していてくれてありがたかったです。
で、帰り道自転車でコケてちょっと怪我しました。
「何だよもう!」て凄く思ったのを憶えています。
これが僕の中学の卒業式の思い出です。
この様に「かまし」の失敗というのはなかなか辛い物ですが、芸人になった今はよくある事なのでいい経験だったと思っています。
『無言』も今の芸人活動にきっと活きているはずです。
なので、皆さんも若者のかましには寛大に接してあげて下さい。
ありがとうございました。
■ うるとらブギーズ単独ライブ
「SUPER FUNKY GROOVE」
【配信日時】
3/26(金) 配信開始19:30 配信終了21:00(19:00よりOPEN)
※見逃し視聴:3/28(日)19:30まで
【出演者】うるとらブギーズ
【料金】オンライン¥2,500