【1月号】今月の「芸人図鑑」~オズワルド~
「M-1グランプリ2019」決勝初出場7組のうちの1組となったオズワルド。空気階段やラフレクランと同期の東京NSC17期として養成所で出会い、コンビを組んで5年目だ。まだまだ知られていない2人の“スタイル”に迫る。
――ネタはどうやってつくってるんですか?
伊藤:畠中がテーマを持ってきて、そこから2人でつくります。
畠中:ネタの設定は、思いついたものを出してるだけですね。
伊藤:「畠中らしいな」ってものを出してきますね。
――お笑いでもそれ以外でも、何か影響を受けているものは?
畠中:手塚治虫とか藤子不二雄の短編みたいな、ちょっと気持ち悪い設定のマンガが好きなので、そういう影響はあるかもしれません。
――「架空の子供」や「買い物(ゴールデンレトリバーか自転車か)」といったネタはそういう雰囲気がありますね。
畠中:より気持ち悪いものを選んでるところはありますね。
伊藤:自分らで言うのもなんですけど、あれをウケるようにまでするのが自分らの強みかなと思います。ありえない話をありえる話にするというか。たぶんほかの人が想像妊娠ネタをつくってもウケないと思うんですよ。
――その加減のポイントは?
畠中:「ウソすぎない」ことかなと思います。
伊藤:「言ってることは完全に変な人なんだけど、そいつの中では理論として成り立ってる」というのを見せるのが大事だと思ってますね。
畠中:で、伊藤が普通の人の目線でリアクションしながら、わかりやすく説明するツッコミをすることで、伝わるんだと思ってます。それがないと、本当に伝わらなくてウケないことがあるので。
――今の衣装はどうやって決めましたか?
伊藤:最初は白Tシャツに黒ズボンで揃えてたんですけど、ゆにばーすの川瀬さんに「衣装はマジで大事やから」って言われて、2人で16万円くらい出して衣装を買いました。僕はそのとき、最初からこの感じで決めてたんですよ。
畠中:僕はそこで6万円のジャケットを買って、ネクタイしてました。でもその後、ゆったり感の中村さんとライブで一緒になったときに「衣装が違うな。そのジャケット脱げ」って言われて。
伊藤:2人で何回も「これ6万したんです」って説明したんですけど、ダメでしたね。
畠中:もったいないけどサスペンダーで揃えたら、ウケ方が圧倒的に変わりました。それから3年くらいこの衣装でやってます。
伊藤:でも最終的にはスーツが着たい。スーツを着るために今がんばってます。
畠中:スーツ憧れがめちゃくちゃあるんですよ。
――尊敬している先輩は?
伊藤:いろんなひとにお世話になってますけど、ことM-1に関しては、決勝にいけたのは50%川瀬さんのおかげです。決勝決まって、最初に連絡しました。
畠中:実際に2回連続で決勝行ってるってすごいですからね。勝つためのやり方はかなり川瀬さんに教えてもらいました。甘いこと一切言わないんですけど、今回初めて褒めてくれたよね。
伊藤:うん。マジで一回も褒められたことなかったんですよ。でもあんなに優しい人はいないと思います。
――同世代で意識してるのは?
伊藤:真空ジェシカ(人力舎)ですね。
畠中:同期なんです。圧倒的におもしろい。今年のM-1は僕らが決勝行けましたけど、お客さんとして観たとき、やっぱりおもしれぇなって思います。伊藤今年はたまたま僕らが勝っただけで、どっかのタイミングで決勝にいくでしょうね。
――2020年の目標は?
畠中:スーツが着たいです。
伊藤:まだ早いんじゃない?来年はまだサスペンダーでしょ。
畠中:スーツの下にサスペンダーすればいいんじゃない?
伊藤:いや、意味ないでしょ。
■オズワルドプロフィール
「2019年M-1グランプリ」決勝進出。畠中の独特で奇妙なボケに対して、伊藤が強くツッコまず困惑しながら話を合わせていくスタイルで、独自の世界観へ引き込む。白シャツにサスペンダーが特徴。
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ライター/斎藤岬 撮影/藤澤孝代