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【3月号】身の丈にアート/ジュリエッタ藤本「チュウニズム」

3月26日(金)〜3月28日(日)大阪・Laugh & Peace Art Galleryにてジュリエッタ・藤本聖の作品展『今日の中二展』を開催。

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藤本が2019年9月からTwitterで「♯今日の中二病」とつけて発表してきた企画で、芸人を勝手に能力者にするシリーズ。
今年1月に100作品を超え、「せっかくなので何か形に残ることをしたい」と思い、個展を開催することになりました。そこで藤本に作品や制作過程などについて聞きました。

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おいでやす小田の一言で、やる気に再び火が着いて…

藤本:今は103枚あります。最初は楽屋で祇園の櫻井君が珈琲を飲んでいた姿にビビッときて、写真を撮らせてもらって、その写真をカッコ良く加工したところから始まりました。今、改めて見て、「これだけやったな~」と。新しい芸人さんにお願いしようと思って楽屋に入っても、全員能力者にしたことある人ということもあって(笑)。

最初はペースがめちゃくちゃ良かったんですけど、だんだん人がかぶってくるので、そこからペースが落ちてしまったこともありました。 
実は、滞っていた時期があって、しばらくいいかなって思っていたのですが、今年の年明けぐらいにおいでやす小田さんと久しぶりに劇場出番でお会いして、「あれやってないの?」って聞いてくださって。
「あれ、めっちゃ楽しみにしてるから、またやってほしいわ」って。そう言われて、待ってくれている人がいるんやと思って、その一言がきっかけになって、そこからまたペースが上がって100枚行きました。

小田さんのあの時の一言は結構大きかったです。そんな小田さんの写真は、ギャラリーの入り口の方にあります。
結構、他の芸人さんも「面白いやん、始めたやつ」って言ってくれて、それがちょっと嬉しくてまたやってみようかなって思いました。

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芸人はキャラの宝庫

藤本:芸人さんって個性的な人が多いので作るのに難しかった人ってあんまりいないですけど、ヘンダーソン・中村はちょっと難しかったですね(笑)。普段ダメな、できないキャラで行っているので、できない奴の能力って何だろうって。能力がなくて難しかったです(笑)。
その逆で、アインシュタインの稲ちゃんとか、個性的すぎる芸人さんは色々ありすぎて。アインシュタインさんはコンビ両方、河井さんもいじりまくっているんですよね。暑がりで扇風機とか、「ゆず立ち」とか。タイトルも「声、枯れるまで」っていう河井さんのソロイベントのタイトルにかけてて。一枚でいじり倒していて、河井さんをいじる要素を詰め込みすぎだと思いました。その点、稲ちゃんはフレーズの「変な嘘、変な嘘」だけに絞ってやらせてもらいました。

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藤本: なかでもお気に入りは、守谷日和さんですね。
「野生化が止まらない(ワイルドスピード)」と言うんですけど、あれは守谷さんの良さしか出ていない。躍動感がありますね。守谷さんのゴリラ感、野生感が見事に出ている良い1枚です。奇跡の1枚だと思います。最高の瞬間が撮れました。

あと、藤崎マーケット・トキさんも、芸人さんとしての能力というよりか、過去に仮想通貨で全部失った時のエピソードを盛り込んで能力にしているので、これはだいぶお気に入りです。めちゃくちゃ面白いです。トキさんの「物の価値を下げる」という能力はだいぶんお気に入りです。 

エンペラー・安井の場合は、2年連続で上方漫才協会大賞のおしゃれランキングでダサい部門1位になって。私服をダサくするという能力にさしてもらったのですが、本人は不本意だったということは言われましたね(笑)。
安井くんは不本意そうでしたけど、僕はこれしかないかなと思って。やっぱり、それはそれで凄い能力なので、ダサいで連覇するっていうことはなかなかないので(笑)。 
例えば天竺鼠の瀬下さんとかは結構昔に撮らせてもらった作品で。瀬下さんは、昔はヤンキーキャラだったんですけど、今は結構全力キャラみたいなところがあって。今、また新たな芸風で世の中に知られていると思うので、全力でなんかやるキャラもまた作ってみたいなと思います。

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動画編集の師匠は…

藤本:僕は動画編集とか画像加工とかが好きで、やっていくうちに、独学で学んだのですが、ポートワシントンの笠谷君に教えてもらって。師匠ですね。

笠谷:いやいやいや、そんな(笑)。 

藤本:
ギャラリーで流しているオープニングVも、全部自分で作ったもので。あれとかも笠谷君に教えてもらいながら技術アップしていきました。彼は動画の世界を広げてくれた男です。

笠谷:いい称号をもらいました…!(笑)。

藤本:作品は、頭の中で大体、こういうイメージにしようかなって考えて、写真を撮ってもらって、雰囲気を出す感じに画像加工して、最後に台詞と技名をつけるという感じです。台詞とか能力の配置とか、なんとなく一番かっこいい感じにデザインして。左右のどっちかに台詞が寄っていたら気なったりするので、そこはバランスよくなるように考えています。 
早い人は本当に10分、20分とかでできますね。イメージが湧きやすい人はすぐできます。でも、長くても1時間ぐらいあれば大体、できますね。
いろんなアニメに影響を受けてきたので、そっちで語彙力の方は蓄えさせてもらいました。アニメは分け隔てなくいろんなものを見てきました。あと、ゲームも好きなので、その影響もあります。全部、教科書はゲームと漫画です。

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夢だったオリジナルの対戦カードも完成

藤本:今回、対戦カードも作りましたが、カードの枠の仕様の都合で、今回の作品の3分の2ぐらいは作り直しました。どうしても枠に被ってしまう台詞とかもあって。めちゃくちゃめんどくさかったですけど、でも、やって良かったと思いました。結局、そっちの方が綺麗なので。 カードに載せている数字は特に意味はないんですけども、結構戦闘力が低い芸人さんからは「何で?」って聞かれて、ちょっと困ってます(笑)。ちょっと濁して、「適当に決めただけ」と言わせていただいております。 
カードができた時は、だいぶ嬉しかったですね。裏面も僕がデザインさせてもらったんですけど、「なんかええ感じやな」って好評をいただいて。カードは夢が叶いました。しかも、このカードを使ってオリジナルのゲームもできたので、それを芸人さん同士が遊んでくれていることがすごく嬉しかったです。この前、ジュリエッタのYouTubeでこのカードで遊ぶ企画をやらせてもらって、結構、ゲーム的にも成立していて。嬉しいですね、やっぱり。
ジュリエッタ公式YouTubeチャンネル

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新型コロナウィルスも制作に影響が…

藤本:2020年に入ってからは接近した写真が撮りにくくなって。マスクはつけたくないじゃないですか、このシリーズの世界観だと。でも、結構密になって。人と人の距離が近い写真が多いので、わざわざこういう時期に撮るのはリスキーかなと思って、ちょっと自粛していた時もありました。
でも、その間に画像の加工技術が上がっていったので、止まっている間の時間を作品に還元できたなという感じはあります。画像の技術が上がって、結果クオリティーが上がる期間だったのかなと思うようにしていますね。 この企画を始めたころは、写真を撮って台詞をつけるだけで、加工とか全くしていなかったので、今の加工したものと比べると、どうしてもショボく見えてしまって。だから作り直したんですよ、今回のこの個展のために。
昔の作品も大体作り直しています。個展が決まって2か月ぐらいで作り直しましたので、大変でした(笑)。

今一番、能力者に仕立てたい芸人は

藤本:ニッポンの社長のケツがまだ手つかずですね。まだまだ手つかずの芸人さんが結構いるので、そういう芸人さんをやりたいですね。
もともと『チュウニズム』というと中二病の芸人さんを集めたイベントを立ち上げて、その初期メンバーには(霜降り明星)粗品とかもいたので。粗品くんもぜひしたいですね。

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作品は受け止め方次第で変わるもの

藤本:こうして個展ができて、嬉しいですよね。自分だけの力でできた個展ではなくて、これだけの芸人さんが僕の馬鹿な妄想に付き合ってくれて。本当に芸人さんって優しいですし、懐が広い人ばっかりだなと思います。
また、観に来てくれるファンの方とか、この企画を面白がってくれる人がいて、スタッフさん、マネージャーも手伝ってくれて。本当に一人では無理でしたね。みんなで実現してくれて、本当に恵まれているなと思います。良い運命だなと。 モデルの依頼でも、「いや、僕は結構です」っていう人はいなかったです。みんな、「え? いいんですか?」と逆に言ってくれて。それがすごく嬉しくて。「僕もしてもらえるんですか?」みたいな感じで結構、言ってくれるので本当にありがたいです。
 まあ、なかにはエンペラーの安井くんのように「え?僕これですか?」という方もいますが、「なんか申し訳ないね」みたいな。「でも、安井くんの能力は、僕はこれだと思うから」って押しつけました(笑)。何人か同じようなリアクションをされた方がいますけど、「いやいや、これが僕の思う君の能力だから」ということで、僕のわがままを聞いてもらいました。ラフ次元・空の能力も、「エクスカリバー」と言って、股間のあたりが光っているんですけども、それは下ネタではないか?と言われるのですが、人それぞれ、そう見えたらそう見えるし、イツモツと思えばイチモツで。
俺はそういうつもりはないけども、受け取り方次第なので。

全ての能力は、お客様の受け取り方次第です。

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『今日の中二展』は3月28日(日)まで開催しています。
(※本日分のみチケット有。28日予約残数終了)
いまや藤本のライフワークともなった103枚の「今日の中二病」をぜひ楽しんでください!

『今日の中二展』
会期:2021年3月26日(金)~3月28日(日)
営業時間:13:00~18:00
場所:Laugh & Peace Art Gallery
入場料:無料・事前予約制
    こちらからお申し込みください。

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■悪い、待たせちまったな
4月20日(火)「チュウニズム第七幕〜再燃(リバイバ)ル、大人達〜」

ジュリエッタ
共にNSC大阪校27期生の山口県出身の藤本聖と、大阪府出身の井尻貫太郎が2013年に「ジュリエッタ」としてコンビ結成。

■ジュリエッタ単独ライブ
4月12日(金)「コント定例会議〜4月期〜」(オンライン配信有)

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ライター/岩本和子
撮影/ポートワシントン笠谷、月刊芸人編集部



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