カメラ愛を語る〜ポートワシントン笠谷・後編〜
今回「月刊芸人」で撮影させてもらうことが決まってから、シチュエーションをいろいろ考えました。
僕はストリートカジュアルが大好きなんですが、それと真逆の場所で撮影できたらおもしろそうやな、と有馬の温泉街を選びました。洗練されたきれいな場所で、B-boyファッションという、正反対のコラボがおもしろそうやな、と思ったんです。
なので、有馬温泉へ出発する2時間前に真輝志を自宅に呼んで、僕の持っている服であーだこーだ言いながら着せかえ人形のようにコーディネートして、3パターン用意しました。インナーは、僕が作っているオリジナルの「ピアノコーンフィルム」のロングTシャツです。今日の記念に、真輝志にプレゼントしました。アウターはギャロップ・毛利さんからいただいたものです。
——これまで大勢の芸人を撮影してきた笠谷が、有馬温泉というシチュエーションでの撮影になぜ真輝志をモデルに起用したのか?
服がいちばん映えそうな人は誰かな?と考えました。ほかにも、たくろうの赤木もいいなと思ったんですが、赤木はモデルをやったことがあるので撮られ慣れているだろうからつまらない。それなら、撮られ慣れていない真輝志がおもしろそうやなと思いました。
実は真輝志と、ねこ屋敷の山﨑も候補に上げていたんです。それで、温泉街でカップルみたいに撮ることができたら……なんていうプランもありました。
でもモデルはひとりということなので、それなら真輝志で、と。
そのおかげで、化学反応が見事に起きましたね。
シャッターが止まりませんでした。イメージにぴったり。雪も降ったりして雰囲気も最高でした。行き交う観光客の方からも、ものすごい注目を集めていましたね。真輝志は背が高いから、本物のモデルさんやと思われたかもしれません。これまで真輝志に色気なんて感じたことがなかったですが、セクシーな表情も引き出すことができました。
とくに酒まんじゅうを食べている時の真輝志はその名のとおり、輝いていました。でもひとつだけ、残念なことがあります。足湯に浸かっている時、ウソをついたんです。熱そうな表情をしていましたが、お湯は全然熱くなかった(笑)。
——今回、初めてモデルにチャレンジしたきんめ鯛・真輝志にも今回の感想を聞いてみた。
性分が照れ屋なので、最初にオファーを受けた時は「できるんかな……?」と不安でした。でも、笠谷さんには単独ライブのフライヤーを作っていただいたり、普段からお世話になっているし、やったことがないことにチャレンジするのもいいかな、と思ってモデルを引き受けました。
でも、ついさっき「ねこ屋敷の山﨑とカップルみたいな撮影をするというプランもあった」と聞いて、恐ろしくなりました……。だって、服もモデルも、女性にも慣れていない僕がそんなことをしたら、ただただテンパって、照れて、挙句の果てに山﨑のことを好きになって終わるところでした。ひとりでよかったです。
今回、笠谷さんにコーディネートしていただいた服は、普段とは全然違うのも怖かったです。いつもはもっと、地味で同じような服ばかり着ているので……。この服装で歩いていたら、先輩らとすれ違いざまに「ウソつけ!」と言われました(笑)。「おまえがそんなわけないやろ!」と思われたみたいです。
狙った表情は一切できませんでしたが、笠谷さんのおかげでいい感じに撮っていただけたと思います。初めは照れましたが、だんだんと照れくささより寒さが勝って、いい表情ができた気がします。写真を見たら、「オレ、こんな顔してるやん!」「目線、外してるやん!」って驚くばかりで……(笑)。
撮影中、観光客の方々から注目を集めてしまいましたが、笠谷さんがずっと「シブい!」とか、「シャッター止まらねえよ!」とか、僕に声をかけてくださったので、心が折れることなく最後までやり切ることができました。お金に余裕ができたらファッションの勉強がしたいなと思っていたので、今回いろんな服を着させてもらい、笠谷さんに買い物に連れていってもらいたくなりました。
ただ、ひとつ心配があります。かっこいい写真をたくさん撮っていただいたので、「こんな表情するヤツが、おもろいこと書かれへんやろ!」「コイツ、おもしろいことを考えられるのか?」と思われないでしょうか。あと、足湯は本当に熱かったです。体感9000℃くらいありました。
ポートワシントン INFO
きんめ鯛INFO
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取材・構成/中野純子
撮影/ポートワシントン・笠谷翔平
企画・編集/いとう