なにわスワンキーズ 「仲西は面倒臭がるとこ。 前田は24歳から吸い始めたタバコ。 ラテは無呼吸。 そこは直してほしい」
8月のよしもと漫才劇場で開催された「グランドバトル」において、初の総合優勝に輝いたなにわスワンキーズ。
トリオとしての笑い、それぞれの役割などについて聞いてみました。
――まずは「グランドバトル」総合優勝おめでとうございます。
こじまラテ(以下・ラテ):まさか優勝できるとは思ってなかったので、本当に嬉しくて。優勝した日からLINEが止まらなくて……
仲西隼平(以下・仲西):嘘つけ!
ラテ:まぁ、冗談で“僕らは劇場番長や“って言うてたんで、名実ともにそうなってしまったかなぁと……
前田龍二(以下・前田):言い過ぎや! まだまだ舞台ガチガチやがな(笑)。
ラテ:……とりあえず優勝してからスケジュールがパンパンで……
仲西:嘘ばっかり言うてたら怒られるぞ(笑)。
ラテ:あ、言い過ぎました。スケジュール、パンもいってないです(笑)。
仲西:ラテが言ってましたけど、同じく優勝できるなんて本当に思ってなかったです。グランドバトル後、すぐ別の仕事があったので結果のことを忘れてまして、その仕事が終わって連絡があり、優勝したとの内容で思い出したので、嬉しさよりビックリが勝ちました。
前田:まぁやっぱりこれまで憧れてたり、近くで見ていた先輩方に今回は勝てたというのは嬉しかったです。これがまたいい感じに展開していってくれたらいいなと思います。
――反対に今年の「キングオブコント2021」は残念でした。
ラテ:原因としては、前日寝すぎましてね。
仲西:体調万全やないか!
ラテ:はい万全でした(笑)。気持ち的には今回残ることができなくて残念ですが、気持ちを切り替えて「M-1グランプリ」の決勝に“忘れ物”を取りに帰りたいです。
前田:ちょちょ! 僕ら決勝に行った事ないから! 忘れもんしようがないから!
ラテ:え!? 行って“忘れもん”してなかったっけ?
仲西:してない!(笑)。僕自身感じたのは、「グランドバトル」と同じネタをやったんですけど明らかにウケが弱くてちょっとあかんかなって思いながらやってたんで、その分気持ちがあんまり乗ってなかったのかもしれないですけど、なんか上滑りしてました。
前田:3人ともだったと思うんですけど、実は8月の「グランドバトル」に1年間、照準を合わせてやってて「キングオブコント」がちょっとだけ抜け殻の状態になってたかなという思いはありますね。いわゆる燃え尽き症候群っていうんですかね。
仲西:違う違う違う!…っていうのも失礼やから!(笑)。
――来年に期待をしています! では、よしもと漫才劇場でも何組かトリオはいますが、なにわスワンキーズはどういう経緯で組んだんですか?
ラテ:僕がNSCから2年くらいピンでやってたんですけど、そんな中、仲西が誘ってくれて。その時は恋愛に置き換えると、まだ付き合う!みたいな感じではなくて……でもピン芸人で「グランドバトル」に出る上で、ちょっときついなっていう気持ちがあったので、仲西と付き合うことを真剣に考えるようになり、その時、同期の前田が一緒におったから、仲西と付き合うのもちょっとおもろいかなと思って誘いました。
前田:おいおいおいおい、俺の存在がおまけすぎるやろ!
仲西:あと、組むって話が普通に恋愛に置き換わってるやないか!
――(笑)。では誘った仲西さんからの見解は?
仲西:僕は同級生とNSCに入って、そのうちに同級生が辞めてしまったんですね。こじまはクラスが一緒で、ずっと面白いなと思ってました。内心、組んでいたコンビが解散してしまったら声をかけようと……。で、同級生とのコンビが解散した後、もう一つコンビを組んだんですけど、それも解散してしまい、それで思い切って声を掛けました。しばらくしてこじまから一度会って話をしようかって言われて指示されたカフェに行ったら、なんでか前田もいてたという。
前田:ちょっと俺、ますますおまけ感強いやん!
仲西:(笑)。でも、まさかトリオを組みたいって言われるとは思わなかったのでびっくりしました。
ラテ:僕の中ではコンビという概念はなかったので、前田というちょっとおつまみというか……
前田:おいおい! 俺は箸休めか!
ラテ:野球のドラフトで言うと、松坂と杉内を同時に獲ったような感じです。
仲西:荷が重いわ。
ラテ:その年のすごいピッチャーをもらった感じですね。
仲西・前田:恥ずかしいなぁ。
――今のところ、おまけ感の強い前田さんですが、いかがですか?
前田:(笑)。僕も同級生と一緒にNSCに入ったんですけど、卒業と同時に解散して、それからまた別に組んだんですが、それも解散して、どうしようかなと思ってた時にこじまから誘ってもらって。
「実は仲西から声を掛けられてるんやけど、せっかくやったらお前と一緒にトリオでやりたい」と。ただ僕、愛媛の田舎から大阪に来て、漫才ってずっと二人でやるものだと思ってたので、そんな方法もあるんやって知って。
せっかく大阪にお笑いをやりに出てきたし、今まで二つコンビを組んだけどうまくいかなかったし、新しいことをやるならこのタイミングかなと思ってカフェに行ったらそんな存在やったとは……。
でも、個人的に僕と仲西、NSC在学中からむちゃくちゃ仲が良かったんです。以前のコンビを解散する時に当時の相方から、第六感で感じてたのかもしれないですけど「仲西くんとだけは絶対にコンビを組まんといてくれ」って言われました。
仲西:なんであかんねん!
前田:僕と仲西がキャッキャしてるのは別に楽しいけど、面白さは一つもないから止めてくれと。
仲西:失礼やなぁ(笑)。
――実際、トリオを組んでみて
仲西:先ほども言いましたが、トリオは頭になかったんですけど、いざ二人を前にするとどちらも面白いし、前田は以前から仲もいいし、うまくやれそうやなと思いました。
前田:僕は自分の立ち位置って何になるんやろうかなって。NSCに入ってからツッコミをやってたので、仲西のツッコミが強くてシンプルで面白いってわかってたんで、仲西はツッコミやろなって。こじまはどう考えてもボケやし。だからなんとか仲西のツッコミをすべらせて、やっぱりツッコミは前田でいってみよかっていう時期をずっと伺ってたらなんとなく今に至るみたいな。
仲西:もうトリオ歴だいぶん長いで(笑)。
前田:まぁネタによってはボケやツッコミが変わったりもするんですけど基本、仲西がツッコミで僕とこじまがボケという立ち位置になってますね。
ラテ:最初に組んだ頃、前田がネタ合わせにしょっちゅう遅刻してたんです。その時、なんでおまけのお前が遅れてくるねん!って気持ちがめっちゃあったんですけど、あまりにもひどいので何分遅刻したら罰金って決めたんですよ。そしたらすぐに遅刻がなくなったので、あ、こいつおまけやのに俺らのことナメとったんかなと。可愛い、愛おしいやつやなと思いました。
前田:おまけ、おまけって! でも、愛おしいんや(笑)。
――今年結成が8年目ですけど、トリオとしてカタチになってきたと感じたのは?
ラテ:最初の頃は作家さんから「前田の役割ってなんなん?」って言われることが多かったんですけど、でも、舞台で3人の役割をいろいろ試していくうちにだんだんいい反応が起こるようになったというか、それでもここ1~2年くらいにやっとって感じですねぇ。
仲西:そうやな。
ラテ:初期は僕と前田のボケ2、仲西のツッコミ1というのが多かったんですけど、結局そのツッコミ2のセリフに全員が突っ込んだり、さらにボケを重ねたり。僕はできる種類が少ないんですが、二人は演技力があるので、それもトリオの形ができてきた要因かもしれないです。
――ネタはどういう風に作られてるんですか?
ラテ:日常の些細なことからネタとして転がしていくようにしてます。例を挙げると、おばあちゃん家へ田んぼの作業を手伝いにやってきた孫とのやりとりコントがあるんですけど、最初、やっちゃダメなんですけど誰にレーザーポイントを当てたら面白いかっていうシチュエーションをまず考えて。そっからどう転がすかっていうのを3人であーだこーだ組み立てながら結果、ああなったっていう感じですね。
前田:こじまが持ってきてくれた設定の道筋や背骨となる部分を聞いて、レーザーポイントを当ててからの行動や言動をいろいろやってみてこじまと仲西が笑ってくれたらそれでいいんやなと。
仲西:で、僕はそれに対してツッコんでいって、面白い方向になっていったらOKみたいな。
ラテ:結局みんなそれぞれやりながら、それぞれにジャッジして完成させていってますね。僕らはネタ帳がないんですけど、それは、セリフ・セリフしてるのが嫌というか。アドリブっぽく見える方がいいなと思うので、あえて書いてないです。
前田:やっていくうちに言うことも決まっていくんで。
――そんなトリオもコロナ禍で自粛しなければいけなかったわけですが。
ラテ:そうですね。でも元々そんなに僕らは忙しくはなかったんで、そんなに焦りはなかったですね。去年、緊急事態宣言になる何ヶ月か前にYouTubeも始めてたので、自粛中はマメにYouTubeを更新してました。
前田:過去の単独の合間に流してたVTRとかを毎日アップしたり、リモートで3人で喋ってたりしました。Zoomでしたけど久しぶりに二人に会った時は、恥ずかしながらちょっとだけテンション上がっちゃいましたね。
仲西:あ、一緒! 昨年の緊急事態宣言中は全く誰とも会ってない状態で、久しぶりにリモートで二人の顔を見た時は、ほんまに家族にあった気分で、ただただニヤニヤしてました。
――コロナ禍でトリオの向き合い方って変わりました?
ラテ:ラジオのトークみたいなのをリモートスタイルでやっててYouTubeでアップしてまして、そこで生まれたノリみたいなのを、そのまま実際のラジオでもやったりしているので、そういうとこはトリオとしていい部分が出たかなと思いますね。
前田:その通りで、これまで3人だけで喋ることをやったことがなかったので自粛期間でしっかり喋る機会があったから、その会話から何かが生まれるというのを発見できて、災い転じて福となすではないですけど良かったです。
仲西:コロナ禍でのYouTubeの配信内容が、結果、ABCラジオで「男どアホウラジオ」っていう3時間の特番をやらせてもらえて、それに活かされたと思います。これからもラジオはほんまやりたいですね。
――少し話を変えて、それぞれ褒めたいところ、直して欲しいところはありますか?
前田:こじまのいいとこは、シンプルに見た目が面白い。それが強い、どこに行ってもラテが一番最初にいじられるし、返しもしっかり面白いし、自分の活かし方もわかってるし。トリオとして本当に鍵になってるところですか。仲西は先にも言いましたけど、シンプルなツッコミの強さ、ボケを倍くらいに面白くしてくれるし、間もいいし、声もいいところです。
ラテ:確かに仲西はシンプルにツッコミが面白いし、本人は思ってないけど表情がすごい豊かやし、実は顔が面白い。そこ気づいてない人が意外と多いんですけど、そこはこれから注目してほしいです。
直して欲しいのは、最近、イベントのMCをよくやってるんですけど、一番噛んでほしくないときに噛んでしまうのでそこですね。
仲西:自分でも凄くわかります。以後気をつけます。
ラテ:前田はラジオのときとかもそうなんですけど、特殊なボケをしたときになんのボケかわかってくれるのは大きいですね、ツッコミで説明することでちゃんと伝わったりするので、やりやすいです。
直してほしいのは将来のこと、体のことを考えたら、タバコはやめてほしい思います。
前田:家族が心配するやつや。
ラテ:芸人なってからタバコ吸い始めてるんで。それはやっぱりカッコよくない感じもするんで。
前田:カッコよくない!?
仲西:24歳で吸い始めましたから。
前田:うん? タバコって二十歳過ぎてからですよね。だから僕は4年ずらして24歳で吸い始めたんですけど! もうそろそろ9年ぐらいになるんですけどね! 吸うのは1日8本くらいですけど。
仲西:少な!
前田:吸って10本かな、それくらいの本数を吸った日は頭クラクラしますけど。
ラテ:劇場の喫煙の場所に吸い殻入れてるバケツが置いてあるやろ、あれ、お前の体の中のことやで!
前田:もうええわ、それ、ばあちゃんがいうやつやで。
ラテ:タバコ飲むのやめてや!
前田:それもええわ、おばあちゃんいうようなやつ。
仲西:こじまはここ最近のおじさん化がえぐい。そこはしょうがないとこあるけど直してほしい。出る話題や例えがすぐスポーツと政治の話とかになるんですけど、あ、おじさんと組んでるんやなって実感するんで。
ラテ:逆に32歳とかで政治に興味持ってないのはヤバいぞ!
仲西:これこれこれこれ。これですわ。
前田:そこが面倒くさいですね。変な話題を押し付けられる。もちろん、僕らが知っててこじまが知らないこともあると思うんですけど、「これ知ってる?」って聞かれて、「いや、知らん」って言うたら、「お前ほんま、なんも知らんなぁ」って、変なマウントの取り方をしてくるんで。
ラテ:それはマウントじゃない! あれは自分が政治に参加してるっていう意識を持ってほしい気持ちや!
前田:そうなんや、それならひとつも僕らには伝わってなかったな。
ラテ・仲西:(笑)。
ラテ:それはすいませんでした。もっと伝わるようにします(笑)。
前田:あ、あとこじまは家から18キロ、電動自転車で劇場に通ってくるんですけどそれも直してほしいというかやめてほしいとこです。おじさんやし、怖いんです。目も悪いし足元もおぼつかんし、ちょっとした段差でつまづいて骨折するやろうし。
ラテ:そこまで歳いってないわ(笑)。
前田:(笑)。で、仲西はめんどくさがるところを直してほしい。
仲西:それはごめん。
前田は、僕にないツッコミを持っていて、ワードセンスの塊なんです。NSCの時はそんなことなかったけれど、例えツッコミできるようになってるので僕にとってはいい意味で脅威です。
逆に心配性すぎるのが裏目に出ないかなと思う部分あるのでそこ直してほしいです。
こじまに言いたいのは一目で面白いってわかってもらえるとこと男子が好きなもの、女子が好きなものの知識、両方を持っているところですね。それがあるからいろんな方向からボケられるのは褒めたい。直してほしいのは本人、意識はないから余計怖いんですが、無呼吸になる時があるので、前田の喫煙同様、体が資本なんで気をつけてほしい。
――今年後半、そしてトリオとしてのこれからは?
ラテ:以前から「キングオブコント」「M-1グランプリ」の両方を優勝したいって言うてるんですけど、改めてどちらも“忘れ物”を取りに行きたいって思います。
前田:ちゃうちゃう! 僕ら「キングオブコント」も「M-1グランプリ」もその聖地のスタンドマイク前にも行ったことないから!
ラテ:あ、そうか……でもマジな話、両方その聖地に行けたら本当にいいと思うし、そうならないとって思います。
そして僕たちトリオでしかできないことで笑ってもらえるようになりたいです。
前田:全国いろんなとこに面白い人がいますけど、僕は愛媛県出身なんで、住みます芸人のひめころんきづたくに愛媛県の仕事を独占されてるのを打破したいですね。賞レースで結果出して、地元に錦を飾れるように頑張りたいです。
仲西:見取り図さん、ロングコートダディさん、ニッポンの社長さんの特番などに呼んでいただくことが増えて凄く嬉しいのですが、いつかは自分たちの特番にそういう方たちをお呼びできるように頑張っていきたいです。
■なにわスワンキーズ プロフィール
こじまラテ、仲西隼平、前田龍二のトリオ。
平成29年度 第40回今宮戎神社 こどもえびす 第38回 マンザイ新人コンクール 新人漫才奨励賞
■撮影協力
・ハチマル蒲鉾 なんば千日前店
大阪府大阪市中央区千日前2-3-33 カモンホテル 1F
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・スシコーヒー
大阪府大阪市西区南堀江3-14-32
※完全予約制となっております。 ※一斉でお食事開始となります。
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なにわスワンキーズINFO
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取材・文/仲谷暢之(アラスカ社)
撮影/渡邉一生
※撮影時のみマスクを外して撮影しております。
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