もも「『M-1』で生活が激変。残した悔いは、良いネタを作って次に」

2022年1月1日 18:00

結成4年目で『M-1グランプリ2021』決勝初進出。5位という好成績で爪痕を残したもも。金髪とヒゲでヤンキーテイストを醸し出すまもる。と、黒髪メガネの陰キャ風のせめる。、見た目のインパクトも充分なふたりに、芸人を目指したきっかけやコンビの関係性などを教えてもらいました。

――まずは『M-1グランプリ2021（以下、『M-1』）お疲れさまでした！　本番ではお互いどんな様子だったんですか？

せめる。：まもる。はトイレに15回くらい行っていて、めっちゃ行くなぁ……と思ってました。舞台直前は特に何もしなかったんですが、相方のことを信頼だけはしてます。絶対ミスらないようにやるから信頼しといてくれと思っていましたし、これはどの舞台でも同じなので。でも、他の出場者を見てたら、せり上がりで背中ポンポンとかやった方がきれいに映ったな～って…。

まもる。：いつも通りでええねん。急にポンポンされたら緊張感が途切れるわ！（笑）。『M-1』の反響で、外を歩けば声をかけてもらえるんですが、なぜか全員、同い年くらいの男性で。それに、1人で東京でメシを食べているときも、隣のおっちゃんが「ももやね、酒おごったろか？」って。いっぱい声をかけてもらえてうれしい限りです。

せめる。：錦鯉さんの優勝が決まったとき、信じられへんくらい下唇を噛みしめてました。でも、『M-1』を機に舞台の数が増えたりと生活が激変しています。

まもる。：僕は自分のお父さんくらいの人が泣いているのを見て、感動してもらい泣きしてました。でも、優勝できてないので悔いだらけ。今年1年、しっかりいいネタを作ってまた『M-1』にぶつけます！

――おふたりのパーソナリティにも迫りたいのですが、幼少期はどんな子どもでしたか？

まもる。：僕はよく妄想して遊んでました。おもちゃを使って、ここは宇宙だと思いながら、ストーリーを作って宇宙戦争をしたりして、よく地球を守ってましたね。

せめる。：僕はよくケガをしてましたね。気になることがあったら何でも試してみる性格で…自転車をこいでいる時に「今、タイヤの中に足を入れたらどうなるんやろ？」と思って実際にやってみて思いっきり転けてケガをしたり、八重歯が生えてきたときに「抜いたらどうなるんやろ？」と抜いて血だらけになったり、グラグラしている乳歯に腹を立てて抜いてみたり（笑）。

まもる。：ヤバすぎるやろ！

せめる。：小学校の時に転校して、しばらく保健室登校をしてたんですけど、小学校がイヤすぎて学校を抜け出したり。でも、先生に「そんなことしていたら、お母さんが大変やろ」と言われて、そこから友達を作らないとアカンなと、クラスメートともめっちゃ喋るようになりました。

まもる。：学校に行くとき「よしっ！」って気合いを入れてたんやんな。

せめる。：そうそう。高3まで1人で登校して、「よしっ！」って言ってから校門をくぐるという。ストレスで円形脱毛症にもなったけど、友達は2人ほどできました。

――結構ご苦労されていたのですね。お友達ができて、本当に良かったです……！　高校卒業後にNSCに進まれますが、芸人になろうと決めたきっかけは？

せめる。：『M-1』をテレビで見て、芸人ってカッコいいと思ったんですよね。島田紳助さんと松本竜介さん、ダウンタウンさんの漫才をレンタルビデオで見て、「僕もこれやる！」って。中2の頃から思っていて、本当になってしまった！　芸人を目指すこと、おかんに告げたら「いいよ、好きなことやり」と言ってくれたんですが、NSCに入るために愛媛を出るときは泣いてましたね。芸人になるって、親としたらやっぱり不安もあると思うから。

まもる。：親を泣かすなよ……。でも、この間、ご機嫌さんで「たっく～ん」って呼びかけてたな。泣いてたおかんが元気になって良かった！

せめる。：本名が拓郎っていうの、バレるやろ！　でも、まぁ、『M-1』は優勝せなアカンでと言われました。厳しかったです。

まもる。：せめる。のおかんも攻めるんかい！（笑）。僕のきっかけはですね、生まれた時にお母さんとお父さんが僕を見たときに笑ってくれたので、僕の笑顔で人を幸せにできるんやって思って、芸人を目指しました。

せめる。：え？　ボケるん？　それなら、僕も、生まれたときにもうすでにサンパチマイクが立っていて〜とか言うわ！

まもる。：（笑）。本当は、中学生のときの英語の教科書に、病院じゃ治らない病気になって余命宣告まで受けているけど、死に対して怖いと思うのはやめて、とりあえず笑って楽しいことをしようと決めた人の話が載っていて。実際に笑って過ごしていたら病気も治ったらしくて、ああ、お笑いの力ってすごいんやな～と思ったのがきっかけです。あかん！リアルな理由の方がボケに聞こえる！

――まもる。さんの理由、めっちゃかっこいいです！　NSC時代の思い出はありますか？

せめる。：昔はカンフーの授業や日舞の授業があって、本当にお笑いの役にたつのかって思いながら授業を受けてましたねぇ。

まもる。：お金も払ってるし、前向きに取り組んでましたよ。コンビ揃って皆勤賞ですしね。やる気だけはあるんで、僕ら。

せめる。：大阪の電車がイヤでしたね。人の多さが愛媛と全然違うので、大阪はみんな急いでるなぁと思ってました。僕、タクシーや新幹線も酔うんですよ。お仕事で東京に行かせてもらうときは、酔い止め飲んでひたすら寝てます。

まもる。：徒歩専門顔やもんな。

せめる。：なんでやねん！　俺みたいなのは寝台列車乗る顔やろ！　ミルクボーイの内海さん曰く、新幹線もそのうち慣れるそうなので、慣れた=お仕事いっぱいもらえてるということなんで、そうなったら嬉しいですね。

――もも結成当時と今とで変わったことはありますか？

せめる。：結成時も今も、変わらずとがってます。あ、ネタや人にとがってはいないですよ！僕ら、挨拶もちゃんとするし。丸くならんとあかんなぁと思うこともあるけど、芸事に対してだけ、譲れへん部分があるから。

まもる。：構成作家さんにもめっちゃ噛みついてたもんな。でも、それはよくないからやめようって言って。

せめる。：で、次のダメ出しのときにまもる。の方をパッとみたら、構成作家さんを死ぬほどにらんでて、お前もやないかいって。（笑）

――コンビでとがっていますね。最近は構成作家と一緒にネタを考える方も増えていますがおふたりは違うんですね。

せめる。：ネタは2人で考えます。唯一協力してもらうならお客さんですかね、お客さんと三角関係でネタを作っています。

まもる。：そやな…って、パッとそんなこと言えるん天才やな。お前、相田みつをさんみたいな名言集書いたら売れるんちゃう？
僕が変わったことと言えば、前までは目指すものがなくてどうしたらいいかわからなかったけど、今は『M-1』や大阪の賞レースなどしっかり目指すものがわかってきた。これも、相方とお客さんのおかげですかね。