【8月号】身の丈にアート/ニューヨーク屋敷「版画」
7月18日(土)~8月2日(日)東京・ヨシモト∞ドーム ステージIIにて、ニューヨーク・屋敷裕政による初の版画個展『ヤシキ版画展2020』が開催されました。
新型コロナウィルス拡大防止のために発令された緊急事態宣言によって、吉本の常設劇場は休館に。仕事のほとんどがなくなって生まれた時間に木版画を始め、SNSに毎日1作品ずつアップしていた屋敷。個展では約2ヵ月間で制作した作品に加え、今回のために制作した新作など約60点の版画や原板などが展示されました。
個展の開催中、屋敷とともに会場を巡り、自ら制作した版画について語ってもらいました。
写真選びが一番謎の時間
版画を飾るセットの真ん中に並べられているのは、それぞれの下書きのイラスト。見つけた屋敷は「あぁ、いい! 捨てようかと思ったんですけど、一応取っておいたんです。捨てんでよかったぁ。嬉しい!」と喜びます。
1日平均3時間、長いものだと4時間かけて毎日作っていたという版画。
「下書きしたものをベニヤ板に転写してから彫っていくんですけど、一番時間がかかったのはやっぱり彫る作業。1回彫ってみてここの影を消そうと手を加えたこともあったんですけど、それをやると大体良くなくなって。となると、失敗できないので神経を使いましたね」と制作の日々を振り返ります。
写真選びにも時間かけていたそうで、「朝から彫って、寝る前に次の日、誰を彫るかを決めるんですけど、お客さんから送ってもらった写真がええ感じの時は早いんです。でも、決まらん時は風呂に浸かりながら“うわぁ、どうしよう”って探して……今思うと、あの時間が一番謎でしたね」と笑いました。
初期の傑作は相席・山添
劇画っぽいタッチは意識したわけではなく、写真を見たまま描いた結果。
「版画の場合、何本描いても意味がないというか。なるべく1本の線にして転写した時にわかりやすくせんとダメなんで、彫るところと彫らないところのバランスを考えながら下書きするんです。途中でコツをつかんでからは、彫るとこに○、彫らんとこに×みたいな印を入れるようにもしてました」と話したように、日々の発見を版画作りに反映していたようです。
初期の作品で気に入っているのは、6日目に作った相席スタート・山添。
「初期の傑作。ここで影を意識し始めて、彫らんでええところも作ったらええんやって気づいたんです。その後、(渡辺)直美さんとよしこ(ガンバレルーヤ)で完全にコツを掴みました」と説明します。
「なおみさんは白と黒の陰影がはっきりしてる写真だったんで、彫る前からええ感じになるのはわかってました。彫る方向を横に全部揃えたのは、そのほうが良くなるんちゃうかなと思ったから。ほかの作品には目に白い光を入れてるんですけど、直美さんに入れへんかったのはそのほうが色気が出るんじゃないかなと思ったからですね」と語ります。
顔を表現する中で特に難しかったのは、歯と目。「ベニヤ板って薄いんで、細かく掘ろうとすると板がはげて隣の線と繋がってしまうんです。そうなったら台無しなんで、より集中して彫りました。あと、東京タワーも大変でした。細かいところが多すぎて、彫ってる時、頭おかしなりそうでしたけど、刷ったあとはめちゃくちゃテンションが上がりました」と目を輝かせていました。
せっかくなので版画を買って欲しい
「Tシャツはスタッフさんにも手伝ってもらって1枚1枚刷ったので、色の濃さを味としてとらえていただければ。あと、せっかくなんで版画を買ってもらいたいですね。人生で版画を買うことってあんまりない機会ですから」と話していました。
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初の個展開催を終えて
■ニューヨーク・屋敷
「ヤシキ版画展2020」無事に終了しました。
約2週間で1542人の方々にご来場頂いたみたいです。
結構しんどかったですけど、やって良かったです。
次は韓国かハワイでやりたいです。
わざわざ足を運んでくれた方々、ありがとうございました!
行きたくても行けなかった方々、またどこかでやる時はぜひ!
手伝ってくれたスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした!
■ニューヨーク・嶋佐
またやったらいいんじゃん?
■ニューヨーク
共にNSC東京校15期生の三重県出身の屋敷と、山梨県出身の嶋佐和也が2010年に「ニューヨーク」としてコンビ結成。M-1グランプリ2019年ファイナリスト。
■ニューヨーク 久しぶりの新ネタライブ
8月28日(金)@ルミネtheよしもと(オンライン配信あり)
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ライター/高本亜紀 撮影/高橋良美
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