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トット桑原のくわごころ~ワイン講座バレンタイン篇~
ワイン好きが高じて、2020年10月には「ワインエキスパート」試験に合格したトット・桑原。前回の「月刊芸人」でのワイン講座も大好評でした。
今回はバレンタインに向けて「チョコに合うワイン」というお題に挑戦! 悩みつつ選んだ3本は、はたして無事チョコとマリアージュするのでしょうか。
【モンマルサル エクストレマリウム 2016】
購入価格:2618円(税込)
【カルディコーヒーファーム オリジナル マンゴーチョコレート】
「チョコって基本的に甘いじゃないですか。そこをどう組み合わせるかが今回のお題のポイントですね。1本目は、フルーツ系のチョコと合わせてみようと思ってフルーティーな泡を選びました。『普段ワインは飲まないけどスパークリングは好き』という方も多いですしね。こちらはスペインのカヴァというスパークリングです。泡=シャンパンってイメージがありますけど、シャンパンはちょっとお値段が高いんですよねぇ。カヴァはシャンパンと同じ瓶内二次発酵という作り方で熟成されてるのに、すごくお求めやすいんですよ。スパークリングとしてパフォーマンスがいいので、おすすめです」
「思いっきりポン!っていいました。『あんまり音を立てないで開けること』ってワインの先生に教わったのに(笑)」
「フルーティーでいいですね。しっかり熟成されていて、深みがあります。カヴァの中でももっと辛口ですっきりした、料理と合わせてゴクゴク飲めるようなものもあるんですけど、これはしっかりした部分があるので単体でも味わって楽しめるワインになってますね。チャレッロ、マカベオ、パレリャーダというぶどう品種でつくっているところに、シャルドネが入ってます。それで上品な感じになってるんですねぇ」
「めちゃくちゃうまいな、これ。やっぱりカルディはすごいなぁ。ドライマンゴーにチョコがかかってるんですけど、ダークチョコだから甘すぎない。マンゴーの甘味を殺さないようにバランスが考えられてる……!」
「うん、成功です! チョコを楽しんでから、口の甘さをワインですっきりさせるようなイメージです。やっぱり泡とフルーツは合いますね。互いのフルーティーさを強調しながらもすっきりさせていて、これはもう、素敵なバレンタインになるんじゃないでしょうか。カヴァはスーパーにも絶対置いてあるし、ぜひやってみてほしい組み合わせです」
【ストーンヘッジ メリタージュ ナパ・ヴァレー 2017】
購入価格:3278円(税込)
【カフェタッセ ミニタブレット アソート】
「今度はビターチョコ×辛口の赤の組み合わせです。チョコが甘すぎると辛口ワインの中にある甘みが感じ取れなくなっちゃうんですけど、ビターチョコならいいんじゃないかなと。ワインはアメリカ産です」
「こうやって嗅ぐことで、ブショネといわれる嫌な匂いがしないかどうかをチェックしてます。黴びたりしてるとこれでわかるんですよ」
「うん、ジューシーです。甘みがある。それこそチョコみたいな匂いがします。アメリカ産の良さ、ありますねぇ。いまアメリカ産ワインが世界的に盛り上がってるんですよ。伝統やルールに縛られない科学的な製法を用いる造り手がいろいろ現れていて、おもしろいんです。味もいわゆるリッチ系というか、果実味が豊かでタンニンも酸味も抑えめで、わかりやすくおいしい。グイッとこちらに来てくれる陽気な感じで、僕も大好きです。コスパもいいし、みんなで楽しくゴクゴク飲もうよ! って雰囲気があるんですよね。あんまりワインを飲み慣れてない方こそぜひ1回飲んでみてほしいです。僕もこれ買って帰ろうかな……」
「アソートって好きに選べていいなぁ。自分なりにいろんなチョコと組み合わせてみるのも楽しいと思います。今回はノアール(黒)にしましょう」
「マリアージュ!! すみません、ギャグです(笑)。これはきてる、いけますね! ビターチョコの苦味が残りつつ、ワインの持つチョコっぽい香りとマッチして大人っぽい味です。1つ目は両方の甘みが前に出るのを楽しむ組み合わせだったのに対して、こちらはチョコの甘みで逆にワインの渋みがよくわかって楽しめるようになってます。ビターチョコと赤ワイン、大人のバレンタインだ」
【ダーク・エンジェル グランド・オールド・トゥニー】
購入価格:4180円(税込)
【カルディコーヒーファーム ガヴァルニー プレミアムトリュフ ココア】
「出ました、ポートタイプでございます。食後のデザートと合わせる“デザートワイン”と言われるくらい甘いワインです。甘い×甘い、これは絶対合いますよ! ワインをつくるときって、ぶどうに含まれている糖を発酵によってアルコールに変えていくんですね。だから糖度が低くなっていくとアルコール度数が高くなっていって、辛口のワインができるんです。ポートタイプは、発酵の途中でものすごく度数の高いブランデーを入れます。そうするとアルコール度数が一気に高くなって、糖度が残ったまま発酵が止まって甘口になる。酒精強化ワインといって、船で航海していた時代に長期間運んでも腐らないワインが求められたことから生まれたといわれています」
「ポートタイプにはいろいろ種類があって、これは熟成された黄褐色なのでトゥニー・ポートといいます。干したプルーンや乾燥したいちじくみたいな、熟した果実の香りがしますね。甘いワインって大人の味だなぁ。僕もまだまだド素人で、普段は家で辛口をベロベロになるまで飲んで終わっちゃうんですけど(笑)、こういう奥深さがあるからワインは楽しいですね」
「素晴らしい……これはもう、みなさんやってみてください。甘いチョコに、甘いワインが負けてない。それでいてやっぱりワインだから酸味もあるので、調和しつつも口が甘くなりすぎないです。おいしい〜。ポートタイプとチョコを合わせるって、バレンタイン上級者じゃないですか? チョコが苦手な方に単体でプレゼントするのもいいですよね。ただ、度数が高いのでそこは気をつけてください。僕は今ちょっとカッカしてます!」
■取材協力
株式会社キャメル珈琲
株式会社ヴィノスやまざき
今回のワインはすべてワイン専門店「ヴィノスやまざき」西武渋谷店にて購入。全国24店舗に加えてオンラインショップも展開中。
なお、桑原さんは普段から足繁くお店に通っているそうで、本取材の日も買い出し後に自宅用の買い物をしていました。
■トット
高校の同級生の多田智佑と桑原雅人のコンビ。2009年結成。NSC大阪校27期生。
■月刊芸人
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ライター/斎藤岬 撮影/瀧川寛