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8月に大阪でネタライブも開催! 漫才師・素敵じゃないかの「俺らは『M-1』浪人生」という自負と決意
5月7日(土)・8日(日)の2日間にわたって、東京・神保町よしもと漫才劇場にて開催された『Jimbochoグランプリ』にて、素敵じゃないか(柏木成彦/吉野晋右)が総合1位を獲得しました。
観客票・審査員票ともにぶっちぎりで1位を獲得。今年3月には、BSよしもとにてスタートした『Cheeky's Cast 3』水曜日のレギュラーMCに抜擢。4月には埼玉・大宮ラクーンよしもと劇場発の新ユニット「オーミヤン5」に選ばれるなど注目を集める2人は、8月に初めて大阪でネタライブを開催。年末の『M-1』へ向けて、熱い思いを滾らせているようです。
強調したい“トップバッター”で“総合1位”
――観客票、審査員票ともにぶっちぎりの1位だったと聞きました。
柏木成彦(以下、柏木):中川家さんの『M-1』優勝以来のトップバッターで総合1位。ここは強調しておきたいです。けど、吉野が1番を引いたときはヒヤッとしました。
吉野晋右(以下、吉野):どっちが引くとは決まってないんです。たまたま僕が引いたんですけど、20分の1(の確率)を引くかねぇ?ってびっくりしましたし、柏木も“うわぁ……”みたいな顔してるし、今日は捨てるしかないんかなって思ってたらウケて。何より嬉しいのが、お客さん票がいっちばん入ったことですね。
柏木:トップはやっぱり大変ですけど、『M-1』とか賞レースもランダムで出番が決まるじゃないですか。誰があとに来てもある程度できるんやっていう自信になりましたね。
――少し変わったシステムの漫才は、前からやってたものなんですか?
柏木:ここ1~2ヵ月で作ったネタです。コロナで療養してる時、時間だけはあったのでネタを考えてた中で思いついたもので。
吉野:毎月、新ネタライブをやらせてもらってるんですけど、アイデア自体は結構前から柏木に聞いてて。「あのネタ無理やわ」って1回なって、2ヵ月くらいして「やっぱりネタにしよう」ってなったんです。
柏木:どうやって形にしていいんかわからんかった。ただ、あのシステムでネタを何本も作れるわけではないので、面白いネタが1つできたなっていうくらいですね。
世の中でいちばんムズい食レポに奮闘
――3月からBSよしもとで毎週水曜日に放送中の『Cheeky's Cast 3「素敵じゃないかの素敵じゃないか」』のMCにも抜擢されました。
柏木:ありがとうございます! 冠番組です! ただ、始まる前は仮でスケジュールが押さえられてるなぁくらいで。
吉野:しかも、マネージャーがえらいドライな感じで伝えてきたんですよ。やから、僕らはすごさがわかってなくて、なんか決まったなくらいの感じでおったら、レギュラーの冠番組で。全体像を教えてもらってから嬉しさとともに、緊張も湧きました。
――実際やってみていかがですか? 今まで経験のない種類の仕事ですよね。
柏木:難しいです。楽しむというより、日々勉強ですね。食レポなんて、世の中の仕事でいちばんムズいんじゃないですか? うまいもんばっかり食ってきた人生で味の違いもわからないなりに、踏ん張ってやってますけどね。この前、キムチにリンゴが入ってたのは当てましたし。
吉野:そうそう、「フルーティですね」って。こいつの口から“フルーティ”なんて言葉が出てきたんは初めてでしたよ。
柏:感じたことを如何にちゃんと自然に口にするかは考えてるよな?
吉野:そうやな。ええもん食ってきてない僕らが凝ったコメントしてもしゃあないんちゃうかっていうところもあるので、バクバク食べることも意識してます。実際、本当に全部おいしいですしね。けど、この前、女性の方に年齢を聞いてしまって……失敗した!と思いました。
柏木:週1回やから忘れへんように、これできてないなと思った反省は全部メモにしてて。今、すごく溜まってます(笑)。
吉野:毎回、お土産をいただくんですけど、全然やったなっていう日にもらうとめちゃくちゃ申し訳なくて。あくまでも仕事だということをきちんと自覚しながら、勉強させてもらおうと思ってます。
柏木:あと、食ってから「ど見事!」っていうフレーズが生まれました。これ、一生使えるなと。“まいうー”みたいなフレーズがずっと欲しかったんですけど、これでウケてもスベっても自由自在!
吉野:スベることが自由自在ってどういうことやねん(笑)。
――今、地上波で出演するとなるとネタ番組が多いと思いますが、バラエティも出たい気持ちはあるんですか?
吉野:もちろんあります。
柏木:まぁ、僕は『M-1』優勝してからでもええかなって思ってますけど。
吉野:足並み揃ってませんでした。ゆくゆくテレビスターになりたいですけど、第1目標は『M-1』優勝です。
柏木:優勝しないと芸人人生が始まらない。大学に受からないと大学で遊べないというか、『M-1』浪人生ですね、俺たちは。
――決勝進出じゃなく、優勝?
柏木:はい、優勝じゃないとダメです。男は日本一です!
吉野:男は日本一! 今年は準々決勝でやりたいネタがすでに見えつつあるので、いい傾向なんじゃないかと思ってます。上見すぎて足元すくわれへんようにだけ、気をつけてやっていきたいですね。
柏:毎月の新ネタライブで数打ちゃ当たる戦法を取ってるので、今はとにかく新ネタガチャを回すだけです。あと、今年の元日にあった占いライブで、2人としても個人でもめっちゃ仕事運がいいって言われたんです。しかも、恋愛運までめっちゃいいらしくて。確かに昨年よりはな?
吉野:お給料も少しはいただけるようになって、生活ができるようになってきたというか。
柏木:ギリギリやけど生活できるようになってきましたし、大阪のライブも呼んでいただけるようになって変化を感じてます。
――ちなみに恋愛運のよさは実感してます?
柏木:30歳超えてからのほうがモテてるかもなぁ。3年前くらい、コマンダンテの石井さんに「30歳超えたらモテるようになるで」って言われて疑ってたんですけど、30代、最高っす!
吉野:僕はニッチもサッチもですね。コンビでもファンレターは少ないですけど、僕はもらったことがない。柏木はちょいちょいもらってますけど、ほんまにないですね。
――仕事が多くなれば、恋愛につながるところもあるでしょうし。
吉野:ほんまにそうです! 僕は売れる前に結婚したいんで、売れる前にいい人を出会いたいですね。
大阪のネタライブは反応が楽しみ
――今年4月には、大宮ラクーンよしもと劇場の新ユニット「オーミヤンズ5」にも選ばれました。
吉野:ありがたいです。大宮の支配人がすごく熱い方で。ユニットってキラキラした集客の見込めるメンバーを集めると思うんですけど、ネタとか人間性を見てくださったというか。
柏木:「1~2ヵ月頑張りましょう」はわかるんですけど、最初に「1~2年は苦しいです」って年単位で……(笑)。
吉野:「10年先を見てるんで」と言ってくださったんです。ただ、そこに甘えることなく、お客さんでパンパンにできるように早くしたいですけどね。恩返しするにはそれしかないんで。
柏木:しかも、僕らは神保町でいちばん上なので、先輩が多いユニットっていうのも嬉しいというか。先輩からはこう見えるんやみたいなことを感じられる機会があんまりなかったので、そこもすごくありがたいですね。
――8月13日(土)に、大阪・道頓堀ZAZA HOUSEにてネタライブ『素敵じゃないか60分漫才ライブin大阪 素敵やないか』を開催されるんですよね。
柏木:初めて大阪でやります。以前から、10年以内に大阪でライブをやりたいなと思っていて。8年目くらいには全国的に名前が知られるようになってると思ってたんですけど、全然なので、もうやってしまおうということになりました。60分漫才にしたのは、大阪のスタッフさんとの関係性がまったくないから。最初のきっかけと最後だけ照明と音響を流すっていう楽をしてもらいたいっていう意味も込めて、そうしました。
吉野:たくさんの方に来てもらいたいですね。
柏木:ほんまにそう。神保町の新ネタライブで今年作った調子のいいネタをやりますし、1本くらい新ネタも紛れこませようと思ってます。どんな反応をもらえるのかが楽しみですね。
吉野:今って『M-1』が競技化してるようなところもあると思うんですけど、(このライブで)今年の『M-1』前に今一度、漫才師としての振る舞いを習得できるんじゃないかなって。そういう感覚も忘れたらあかんなって思ってます。
柏木:……漫才師としての振る舞いを習得できるんじゃないかってどういうこと? え、漫才師の?
吉野:振る舞いを習得できるんじゃないかという。
柏木:それ合ってんの?
吉野:なんとなく伝えたら、ちゃんと書き直してくれるんちゃうかーーー!!
――(笑)。初心忘るべからず、というようなことですかね。『M-1』は結成15年までですけど、漫才師としてその後も活動し続けていくわけで、先のことを見据えて漫才師としての軸を持つのはいいことですよね。これまで大阪の舞台での手応えはいかがだったんですか?
吉野:初めてNGKの舞台に立たせてもらった時は震えましたね。漫才協会の新人賞にノミネートしていただいたんですけど、1階席にお客さん、2階席に芸人さんがずらーっと座ってはって満員で。その状況でネタやんのがほんまに怖すぎて。
柏木:5分前まで何やるか決めてなくて。どうする? あのネタもあかん、このネタもあかんってなって、直前に決めたネタが死ぬほどウケたんですよ。
吉野:2階席の芸人さんがめっちゃ笑ってくれたんです。見取り図の盛山さんが「めちゃくちゃええなぁ」が言ってくれて。オズワルドさんにも「あれ、『M-1』行けるぞ」って言っていただいたんですけど、そのネタで2年前落ちてるんですよ。
――でも、2年間の経験によって見せ方が向上している可能性もありますよね。
吉野:確かにそうですね。漫才やってる時は終わりたない、もっとやりたいと思いました。いずれは師匠方と一緒の香盤で、昼寄席に出られるようになれたらたいいですね。
柏木:そのためにも、この年末でちょっと変化できたら。年末次第で来年の収入もガラリと変わるわけですから。そのためにですし、今年は僕らの年になるようにがんばります。
■素敵じゃないかINFO
『素敵じゃないか60分漫才ライブin大阪 素敵やないか』
開催日時:2022年8月13日(土) 開場18時45分/開演19時
会場:大阪・道頓堀ZAZA HOUSE
チケット:前売 自由1800円
チケットよしもと(https://yoshimoto.funity.jp)にて発売中。
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ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希(CUBISM)
企画・編集/山際なぎさ