ハッピー・クリスマス
※即興で書いた2人声劇用台本。著作権は放棄しておりませんので、もし演じてみたい方がいらっしゃったらご一報ください。約3分。
登場人物
・ヒロキ:人気Vチューバー「暁(あかつき)ころな」の中の人。男。
・タケル:人気Vチューバー「遥(はるか)かなた」の中の人。男。
※3分ぐらい
ヒロキ:俺の名前はヒロキ。見た目は普通の成人男性だが、実は裏の顔がある。それは俺のネット上の顔、人気Vチューバーこと「暁ころな」の姿だ。夕焼けのようなオレンジ色の長髪と何より巨乳なアバターで、配信サイト上ではそこそこ稼いでいる。声はもちろんボイスチェンジャーで変えてある。ネット上の俺はかわいい女の子というわけだ。
今日はクリスマス・イブ。同じく人気Vチューバーの「遥かなた」ちゃんとコラボ配信することになっていた。近くのカラオケに一緒に入り、イチャイチャしながらその様子を配信サイトで配信する予定だったのだが……。
ヒロキ:どうしてこうなった。
タケル:俺に聞かれても困る。
ヒロキ:聞いてないぞ!かなたちゃんの中身が男だったなんて!
タケル:今時そんなの珍しくもなんともないだろ。実際お前だってそうだし。
ヒロキ:ウッ。
タケル:つーか俺が女だったとして、初見でお前の正体が男だって知ったら引いたけどな。
ヒロキ:失礼な奴だなお前は!うう、せっかくひとりぼっちのクリスマス・イブから卒業できると思ったのに……!
タケル:よかったじゃねぇか、俺がいるぜ?
ヒロキ:お前には需要ないの!
タケル:でも今更配信予定をチャラにはできないぜ。悪いがこのまま配信するぞ。
ヒロキ:ええー……。でもやむを得ん。こいつはかなたちゃん、かなたちゃん、かなたちゃん……。
タケル:潔く諦めろ。ほら、配信の準備をするぞ。……ておい、なんだこの企画書は。ポッキーゲームとか、気持ち悪いのしか書いてねーじゃねぇか!どんだけ俺に夢見てたんだよ!
ヒロキ:お前じゃない!かなたちゃんに夢見たんだ!
タケル:もはや執念みたいな下心だな……。
※配信開始(男の声で)
タケル:あー、配信出来てるかな?みんな~ハッピークリスマス~!かなただよ~!
ヒロキ:ころころころころおつころな~。ころなでーす。ハッピークリスマス~。
タケル:かなたちゃんどしたの、テンション低いよ?
ヒロキ:え?だってさぁ、クリスマスなのになんでこんな状況なんだろって
タケル:(遮って)あーね、彼氏がいないから沈んでるんだ。かなたの恋人はリスナーのみんなだもんねー!
ヒロキ:(小声で)お前よく冷静にやれるよな。
タケル:(小声で)俺は今遥かなただからな。お前とはプライドが違う。
ヒロキ:(小声で)プライド……。
タケル:というわけで、今日は事前告知もしてた通り、ころなちゃんとクリスマスパーティをするよ~!えへへ~楽しみにしてたんだよね~!
ヒロキ:そうだね~!
タケル:今日はころなちゃんがいっぱい企画を考えてきてくれたんだ~!盛り上げていくよ~!
ヒロキ:任せて~!みんなでもりあがってこ~!
※配信終了
タケル:……終わったな。
ヒロキ:……あぁ、終わったな。……ありがとな。
タケル:何がだ?
ヒロキ:お前のVへのプライドを見て、俺も初心をとりもどした気がするんだ。
タケル:初心というより正気だがな。
ヒロキ:俺、間違ってた。俺はヒロキじゃない。俺は暁ころななんだ。それを思い出させてくれた。一杯奢らせてくれ。
タケル:いや別にそこまでされる筋合いは……。まぁでも、酒は飲みたいしな。甘えるとするか。
ヒロキ:フッ……ハッピークリスマス。
タケル:ハッピークリスマス。
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