生まれ変わる
いろいろあって至った結論は、これまでの自分をここで一回きれいに消し去って、新しい自分に生まれ変わることだ。
というのも、自分の中を掘れば掘るほど、母親の姿ばかりが浮かび上がってきて。
もうとっくに亡くなってしまった母親に、いまだ自分のほとんどを、乗っ取られたままであることが明らかになったため。
芯の部分にまで浸透してしまっている母親の影響をまずは排除してからでないと、本当の自分がいったいどのような存在なのか、はっきりと確かめることができないと感じたからだ。
正直、「どこから始めればいいのやら…」といった感じなのだけれど。
やはり最初は、くり返し聞かされ続けた“否定の言葉”を、自分の中から一掃するところから始めたいと思う。
母親が亡くなってからは私自身が引き継いでしまっており、自分で自分を否定するクセがついているので、それをやめる。
さらに、自己否定から派生した自分を疑うクセも、いっしょにやめてゆく。
それをするためには、近ごろだいぶ身に付いてきたのだけれど、常に意識の半分くらいは自分の内側を観察することに向けておくことが必要だ。
そして、自己否定や自分に対する疑いの気持ちが出てきたら、まずはそれに気付くことが大事。
気付くことができたら、そういった思考が出てくるのはクセになっているからに過ぎず、筋の通った理由など存在しないのだと自分に言い聞かせる。
実際、母は私に自分と同じ価値観を持った人間になることを望み、そのために私の個性を徹底的に潰そうとしたわけで。
そもそも否定する“理由”など存在しなかったのだから、そんなエゴの塊を、後生大事に抱えている必要はこれっぽっちもない。
代わりに「よくがんばったね」と自分をねぎらい、いま現在、立派に生きていることを祝福してやっていい。
気付くたびにそうしていれば、自分を否定し、自分を責め、自分を疑う回路はいずれ、機能を停止するだろう。
まずはこれを、本気でやってみたいと思う。
もう逃げるのはやめにして、これを機に新しい自分になると決めた。