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「いまだけ」のウソ
“緊急事態”や“非常事態”のウラに隠されている概念は。
“一時的”とか、“非日常”などといったもの。
つまり、「いずれ元にもどれる」「いまだけ、ガマンしてね」
こんなメッセージが、込められている。
でもそれ、ホントかな?
歴史を振り返ると、ターニングポイントとなる大きな出来事はほぼ、「いまだけ」から始まっている。
日常を生きる普通の人々、その大多数が「いまだけ」を信じることから始まっている。
どうして?
そりゃ、そのほうがラクだから。
多くの人々と、同じことをしていれば余計なストレスを感じることはないから。
でもそれ、実は自ら“自由”を差し出す行為なんじゃない?
見て見ぬフリをすることで、これまでも私たち、多くの自由を奪われてきたんじゃない?
でも、自由のない日常が常態化してしまうとそれが当たりまえになって、気付くこともできなくなる。
自由があったことを知らない子どもたちが生まれ、大きくなってゆく。
そうやって、やがて“多数”は“全体”になる…。
そしていま、私たちはまたひとつ、自らの“自由”を差し出している。
昨日、東京の巨大なターミナル駅で、人々がひとり残らずマスクしてるのを見て、そう思った。