2023.3.3小屋入り日誌@西田かをる
人生で初めて腰をいわしました。
本がみっちり詰まった段ボールを持ち上げたのです。そのときの痛みが1ヶ月以上続いており、病院に行ったり鍼を打ったりしています。お医者さんも鍼師の方も、必ず「温めてください」とおっしゃるので、毎日入浴時にお湯をためて浸かっています。バブを必ず投入して。その効果か、少しずつ良くなっています。というか、良くなっているという暗示を私にかけています。
さて。「ポテトサラダ」がいよいよ開演します。
「好きな食べ物は?」これは、ごくありふれた質問の1つです。好きな色な動物を問うものもありますが、それよりも食べ物のほうが頻繁に出会う気がします。それはなぜなのでしょうか。
その答えの1つは、食べ物が我々の身体をつくるという意味で生活に欠かせないものであるということでしょう。当たり前ですが、我々は何かを食べるという行為をしなければ生きていけません。その行為につながる「好きな食べ物は?」という質問をする、受ける機会が多いのは当然なのかもしれません。
しかし一方で私たちは、毎日の食事を「栄養補給としての行為」と認識することはあまりないように思います。仮に食事が栄養補給のためだけのものであるなら、我々は毎度の食事に栄養完全食を選ぶでしょう。
「好きな食べ物は?」に戻りますが、その返事が「焼肉」なのか「ぬれせんべい」なのか「ミロ」なのか「ブルゴーニュ地方のコート・ド・ニュイ産ワイン」なのかで、人となりがわかるような気がします。ハンバーグが好きな大人はなんとなくかわいらしさがありそうです。酒盗が好きな5歳児は前世を引きずっているっぽいです。
当たり外れがあるにせよ、食べ物がその人の印象に直結しているのは事実でしょう。
また、誰しもが食べ物についてのエピソードを大なり小なり持っています。例えば、「受験で夜遅くまで勉強していたときに、母が焼いてくれたホットケーキ」。これはホットケーキの話ではなく、夜遅くにホットケーキを焼いてくれた母についての思い出の話です。「初デートで彼女と食べた鯛焼き」。これも、青春の輝きという思い出です。このような話を聞いたとき、我々は鯛焼きそのものではなく、寒いけれども晴れた冬の日に一口かじった跡のある鯛焼きを持ち、照れながらも笑い合うカップルを思い浮かべます。かじった跡は、片方が頭、片方が尻尾というところでしょうか。
このように考えると、食べ物を食べるという行為には、ただ「食べる人」というだけではない「人」の気配を感じます。そしてまた、生き方をも感じさせる行為のようです。
そんな「食べる」を取り巻く世界を切り取った舞台「ポテトサラダ」、どうぞお楽しみください。
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劇団ON 第5回公演
『ポテトサラダ』
作:田中千代之助
演出・脚色:西田かをる
▼日時
2023年
3月4日(土)13:00〜/17:00〜
3月5日(日)13:00〜/17:00〜
▼場所
イカロスの森
▼料金
ご予約:1000円
当日券:1500円
(当日支払い)
▼ご予約はこちらから!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSepreXGqINb9XSHeLb2qESNs3pFPRx-QJKBSNHXDmbnOdaRcw/viewform
▼キャスト
カブキストレッチマン
かおる
赤松遼子
鳴海遥真(どんぐり企画)
井上峻佑
高橋メロス(はちの巣座)
シアン
夏並ゆうり(はちの巣座)
おもち(はちの巣座)
さや
O木谷佳昭
二村萌
▼スタッフ
演出:西田かをる
舞台監督:O木谷佳昭
照明:二村萌
音響:147、高橋メロス
舞台美術:カブキストレッチマン、シアン、鳴海遥真
小道具:147、さや
衣装:西田かをる
制作:鳴海遥真、夏並ゆうり、赤松遼子
宣伝美術:二村萌、おもち
撮影:鷲尾光
▼あらすじ
時代の波がおそいかかる。その流れに抵抗して必死に向こう岸を目指す人。その人に、あたたかな交流をもたらす人。近づいたり離れたりしながら、その時代を生きる。ときには、ひみつを内包したまま。社会の光と影がまざりあう濁流の中で見えるものとは?
小さな街の小さな店、喫茶梨花子。女主人が切り盛りするこの喫茶店の名物は、リンゴ入りのポテトサラダ。「おいしい」という愛に包まれたこの店に、ある日、侵入者がやってきた。
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