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【卒業公演『狐の森』特別インタビュー #7】 鮫島千佳里「対等な人間なんだなって思った。」
こんばんは、劇団ケッペキです。
前回に引き続き、noteでは卒業公演に関わるケッペキ29期生にインタビューをしていきたいと思います!
☟前回のインタビューはこちらから!
劇団ケッペキ 2024年度卒業公演『狐の森』に関する公演情報はページ下部をご覧ください。
今回のゲストは、本公演で照明・宣伝美術を担当する鮫島千佳里さんです!
柔和な雰囲気を持った多才な芸術肌。ほんわかとしながらも行動力が高く、思い立ったら即行動で我が道を進んでいくユニークなお姉さんです。
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今回もゲスト個人から提供されたお気に入り画像を交えながらインタビューをお送りいたします!
ぜひお楽しみください。
これまで担当した演劇の役職
──これまでの演劇で担当したことのある役職を教えてください。
鮫島「高校から照明で、ほとんど照明しかやってこなかった気がする。卒公では照明と宣伝美術のヒラスタッフをやってます。」
──照明班は楽しいですか?
鮫島「楽しい。なんとなく自分は視覚的な変化の方がわかりやすいっていうタイプだから、役者の動きとかを見るより色を調整する方が楽しい。パッと見、派手で、ガラッと変えられるところが照明が好きな理由かな。」
鮫島「舞台を作ってて思うのは、例えば役者とか音響とかは間違いがわかりやすいじゃん。セリフを間違えたり、音響ミスがあったり。照明はカッコいい照明とかっこ悪い照明の差が小さい気がしてて、大幅な成功もなければ大幅な失敗もない部署だなって感じてます。」
──オペ(※1)は緊張しますか?
鮫島「オペは緊張するけど、大失敗をすることがあんまりない部署というか。照明が違ってても、観客がわからなければセーフだし。例えば突然点滅しだす、みたいな。それでもそれも演出に見えちゃうしなあって。」
※1 オペとは、オペレーションの略。照明や音響、大道具のギミックなどの操作を指す。
照明へのこだわり
──照明を考える上で意識していることはありますか?
鮫島「暗さと明るさの対比。ムラ的なことじゃなくて、黒をちゃんと出して活かせてない照明は嫌いかもしれない。気になるかも。暗いから色が映えるんじゃないかなって感じます。だから暗さもちゃんと意識した照明じゃないと、うー!って思う。」
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※2 ゼラとは、照明の明かりに色をつけるためのカラーフィルター。昔はゼラチンで作っていたため、その名残で「ゼラ」と呼ばれることも多い。
──ほとんど照明班しかやってこなかったということですが、照明班以外の部署への興味はどれほどありますか?
鮫島「ほとんどないかも。強いて言えば、宣伝美術はあまり技量がないけど、関わってみたいなと思って今回はヒラスタッフに入れてもらったんだよね。別に自分が何かしたいとかじゃなくて、興味本位ではあるんだけど。」
ケッペキに入団した当初のこと
──ケッペキに入った理由はおぼえていますか?
鮫島「まず演劇を続けたかったというのがあります。私が高校の時に入ってた部活って演劇と美術だったのね。逆にそれしかやってこなかったから、私の特技はそれだ!と思って。継続させる方向に行こうと思って『京都 演劇 サークル』って調べて出てきたケッペキに入りました。」
──当時はケッペキを選んだ理由として、「演劇をやりたい」以外の理由はありましたか?
鮫島「京大生とつながりが欲しいと思った。過去の栄光なんだけど、今まで高校の時は県内で一番賢い学校に通ってて、だから周りのお話する人たちもみんな賢い人たちで、賢い人たちとの会話に慣れてたのね。なんだけど、(大学で)入学したのは芸術大学で、みんな賢い子ばかりではないわけよ。その環境にギャップを感じちゃって、なんか賢い人と話したい!と思って、京大のサークルに入った。」
──それは達成できましたか?
鮫島「うん、達成できた。私の感じる賢さって、会話の理解力がある人たちなのね。例えば、難しい単語を使っても理解してくれるし、話を一から十まで言わなくても一から四か五ぐらいで全部理解してくれるみたいな。そういったところに賢さを感じる、会話しやすいよねそういう人たちだと。ケッペキの環境はそういったところがいいなと思ってた。」
団員との思い出
──ケッペキでの思い出、私生活や団員との関わりなど思い出深いエピソードはありますか?
鮫島「私は一年間しかケッペキにいなかった(※3)けど、とにかく目に入れたら痛いと、りさ(福田りさ)と、大田(大田陽彦)の4人で遊びまくってた記憶がある。zoomで最初に話してた人たちとずっと遊んでたなあ。」
※3 鮫島は一年間在団したのち、引っ越しのため劇団ケッペキを退団。今回は卒業公演ということで一時的に復帰。
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──29期生が入団した当時は新型コロナの影響もあり、zoomを24時間繋ぐなどしていましたよね。
鮫島「よくあんな話すことあったよね。毎日顔合わせて3,4時間話して、みたいな。」
引っ越し後のケッペキとの関わり
──ケッペキを退団して、お引越しをした後もケッペキ団員との関わりはありましたか?
鮫島「ほんと、目に入れたら痛いとりさと一年に一回会うぐらい。」
──その頃はどのような時に会っていましたか?
鮫島「祇園祭りの時もあったし。私は舞妓さんを見るのが好きで、毎年春になると祇園甲部歌舞練場で行われる『都をどり』を見に行くから、そのタイミングで二人と会ってた。」
──通話などは行っていましたか?
鮫島「通話もしてたよー、時々だけど。近況報告とか、今のみんなとかケッペキどんな感じよ?みたいな話とか。」
演劇をやってきてよかったこと、作ってよかったもの
──学生演劇をやってきてよかったこと、作品として作ってよかったもの等はありますか?
鮫島「先輩をそんなに怖がらなくていいんだって思った。ケッペキのみんなが優しいっていうのもあるかもしれないけど、高校の時は「先輩は神で、(後輩は)口答えもしないし、友達になるのもありえない」というような環境だったから、ケッペキに入ってから社会人で演劇をやっている方とも、ケッペキの先輩たちとも関わる中で、「あ、先輩たちも人間だあ」って思うようになった。」
鮫島「ミスするんだっていうのもあったし、絶対でもないし、対等な人間なんだなって思った。」
対等な人間関係
鮫島「高校生の時は未熟すぎて、何も知らなすぎて、技術の面でも人間的な面でも先輩が圧倒的な存在に見えるというか。何も敵わなくて。一個年が違ったら全く違う生き物だと思ってたけど、ケッペキは同じ同期の人でも年齢が違ったり、直属の先輩とかもフラットに接するから、結構(自分の中の)考えが変わったなあと思った。」
鮫島「私も(入団当時は)一回生だし、四回生に比べたら未熟なわけじゃん。ただ、全然対等に話を聞いてもらえるというか。そんな雰囲気もあるし、ケッペキの先輩たちはめっちゃ下からくるよね、「えっ、来てくれたの!?ありがと~!!」みたいな。」
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今後演劇を続けていくかどうか
──演劇はまだ続けますか?
鮫島「演劇はもう続けないですね。私が高校生の頃に思ってた世界とは変わってきているなと思った。高校の時から演劇をやって、(高校の時に)見ていた世界だと、演劇をやっている人たちは職人気質な感じがすると思っていたんだけど、大学とか社会人の演劇を見て、実力だけで評価されないというか。人との繋がりも大事な世界な気がしてて。やっぱり知り合いの知り合いで客席が埋まってしまうような世界は狭いから、それが私には合っていないかなって見えてきたかも。」
──理想的な世界としては全く知らない人がお客様としてたくさん見に来るようなものでしょうか?
鮫島「そう。いろんな分野のプロフェッショナルがいる、みたいな。(高校の時は)世界は広いんだなって思ってたけど、現状は案外狭かった。」
卒業公演への意気込み
──卒業公演への意気込みはありますか?
鮫島「私が頑張ろうというよりも、29期生のみんなを見てたい。(一回生でケッペキをやめて)三年間のブランクがある分、結構みんな成長しているなと思うことが多くて。それも踏まえてみんながどういう風に形にしていくのか見たいなっていうのが大きいかも。」
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鮫島千佳里さんありがとうございました!
劇団ケッペキ 2024年度卒業公演『狐の森』は
2025年3月8日(土)・9日(日)上演予定です。
ぜひご来場ください。
取材:田中友紀乃
構成:山西由乃
撮影:上山遼
写真提供:鮫島千佳里
公演情報
劇団ケッペキ 2024年度卒業公演『狐の森』
脚本 増井怜史朗
演出 福田りさ
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◇あらすじ
自らの故郷を忘れてしまった男がいる。どっぷりと沈んだ孤独の中で、霧をも剥がす幸せを追い求めていた。自らの過去を忘れられない女がいる。得体の知れない孤独に追われ、記憶を腐らせる不幸から逃れようと藻搔いていた。忘却という言葉を以て、二人は出会い、別れ、森を駆けずり回る。その運命が水平線の向こうに浮かぶ白き蜃気楼に微睡んでいく時、一滴の涙にも似た空っぽなメッセージが漂い消える……。
◇日時
3月8日(土) 13:00~ / 18:00~
3月9日(日) 12:00~ / 17:00~
*上演時間は約 2 時間を予定しております。
*受付開始は開演予定時刻の 30 分前です。
*開演 5 分前になりますと、ご予約をされていてもお席のご用意ができない可能性がございます。時間には余裕をもってお越しください。
◇料金
一般 予約 2,000円 当日 2,500円
U22または学生 予約 1,500円 当日 2,000円 ※要身分証
─リピート割 500 円引き─
当日受付にて本公演の半券をご提示いただいた場合、2回目以降のチケット料金を500円引きいたします。
<キャスト>
江海和朗 大田陽彦 上山遼 北なつみ 小山泰 是枝結花 白石響 田中友紀乃 永井嵩也 浜口沙穂 福田りさ 間﨑柚太 山西由乃 吉川大貴 吉原有美歩
<スタッフ>
企画責任 吉川大貴
舞台監督 間﨑柚太
演出補佐 江海和朗 大田陽彦
舞台 永井嵩也 北なつみ 目に入れたら痛い 渡邉玲菜
音響 小山泰 江海和朗
照明 福田りさ 鮫島千佳里
衣装小道具 吉川大貴 是枝結花 浜口沙穂
制作 田中友紀乃 大田陽彦 山西由乃
宣伝美術 吉原有美歩 鮫島千佳里
音楽 小山琴泉
振付 RISA
◇会場
京都大学西部講堂
京阪電鉄・叡山電車「出町柳」駅より徒歩約15分
京都バス/京都市営バス「百万遍」「京大正門前」停留所より徒歩約5分
◇劇団ケッペキとは
京都大学公認の演劇サークル。京都の学生を中心に約120人が在籍しており、結成から33年を迎える。新入団員常時募集中。
◇ご予約
予約フォーム http://bit.ly/3WcKvYl
※予約フォームは各公演日の前日23:59まで受付
◇お問い合わせ
メール g.keppeki@gmail.com
劇団HP https://keppeki.github.io
劇団ケッペキ公式X(旧Twitter) @g_keppeki