補助金の難しさ
今週末は事業再構築補助金の締め切りですね。今回からベースな部分は同じですが細かいところが結構変わっていますので、慌てないように注意したいところです。
さて、先日は第9回の採択発表もありました。
この3年で事業再構築補助金もだいぶ定着してきたと思います。第1回から数えて今回が10回目。その時その時のニーズに合わせて制度も少しつづ修正されてきています。ただ、ベースのところの「事業再構築」の部分は変わっていません。
第10回から大きく変わったのが、この補助金自体が「コロナを乗り越える」ということをテーマにしていたのを、「これからの社会へ適合するために」というニュアンスに変わったことだと思います。そのために売上減少要件が10%にまで下げられたのが大きいですね。
また、10回を通して見えてきた部分もあります。この補助金、採択率は緊急対応ということで他の補助金よりは若干高めだと思います。しかし、他よりも結構厳し目にみられているのがその次の「交付決定」ですね。
この交付決定が難しいというのには二つあって、一つが、交付決定までの時間がかかること。この理由はいろんな憶測が飛び交っているので安易に特定できないのですが、時間が他の補助金よりは長くかかるので注意が必要です。他の補助金では申請を出して1ヶ月ぐらいなのが、再構築では早くて2ヶ月、長い場合は6ヶ月以上という話もあります。当然長くかかるケースにはそれなりの理由があると思うのですが・・・
大切なのは、「手引きに書いてある通りに進めること」です。これに沿っていなかったり異なることをやろうとすると長期化コースへ進んでしまうようです。
そして、もう一つが採択はされたけど費用としては認められないと言われてしまい交付決定に進めないケース(事業自体を断念となる)がそれなりにあることです。
採択の審査と交付の審査は観点が異なるので、採択ではOKでも交付ではNGとなるケースがあるということです。ではどういったケースがNGになるのかというとこれも募集要項にある「補助金に該当しない費用」にあたるか、交付決定の審査員が見てこれは妥当でないと判断された場合みたいです。通常のものであれば大概通るのですが、ちょっと特殊なことをやるとここに引っかかるみたいです。
おそらく、補助金のサイトをネットで検索される方は「特殊な部分が大丈夫かを知りたい」とこられると思うのですが、ここの答えはほとんどネットには落ちていないので、事務局へ事前に確認しておくのがいいと思います。ただ、厄介なのは、以前事務局でも「交付審査の段階にならないとわからない」と答えられてしまうケースが多いということです。
さて、上記2点から考えてリスクなのは、本当に補助金が出るのかは、交付決定を待たないとわかないということです。しかし、交付決定までは特殊なケースほど時間がかかってしまいます。一部の枠では「事前着手申請」が可能なので事業を急ぐ場合はこちらを活用することになるわけです。(特に、事業再構築は待ったなしの改革に対する補助金なので)
しかし、事前着手しても交付決定で否決されても知らないよと言う注意書きがある通りなので、確実に進めたい場合は交付決定を待ってからの方が安全です。
この場面で、確認しておいた方がいいのが、「補助金が出るからやる事業」なのか。「補助金が出なくてもやる事業」なのかです。
コロナで補助金を一般の方も活用されるようにはなりました。確かに、コロナ期の補助金は「緊急だからお金出すよ」と思われる状況を生んでしまったとおもいます。ここは、助成金と補助金の違いも関係していますね。助成金は「特定のテーマに取り組んで欲しいから行政から積極的にお金を出すトーン」、補助金は、「事業者が積極的にやりたいことを行政が後押しするトーン」の違いがあります。
コロナでは、多くの助成金も出たため、補助金も助成金のように捉えられてしまった傾向があります。
先ほどの、「補助金が出なくてもやる事業」=「事業者が積極的にやりたいことを行政が後押しするトーン」なので、基本的に、補助金は補助金が出ないとできないものを前提とはしていないと私は理解しています。
補助金は交付申請もそうですし、完了報告もものすごい手間がかかります。社長が全てを切り盛りしているような企業では、なれないと本業の時間を奪うくらいに・・・なので、補助金で余計な労務コストがかかるなら、補助金自体を諦めた方がいいと言うケースもあることを念頭に置いておくといいと思います。
もちろん、補助金も事業を後押しする制度ではあるので、事業計画を参考に着実に薦めていく分にはどんどん活用していった方がいいですね。