白書というもの
城跡広場のほうで今年の白書を読み解くことを始めました。
あちらでも書きましたが、私が白書を知ったのは診断士試験の2次試験勉強のために、受験予備校の通信講座を受けた時です。診断士試験というのは、マークシート7教科からなる1次試験と、記述4事例からなる2次試験の二段構えになっています。(厳密にいうと2次試験の記述のあとで口述があって、その後に実務補修があるのですが、振るい落とされるのは記述2次試験まで)
このうち、2次試験の4事例というのは、4つの企業の物語があって、それに対して診断〜助言をおこなう形のものになっています。この物語が中小企業白書をもとに作られていると言われていました。特に、中小企業白書のなかに出てくる紹介企業がいくつかあり、それらをベースにその時の施策に合わせたものが出題されると言われていたのです。
私は、2次試験を突破するまでにそれなりに回数を重ねてしまったので、毎年この時期になると中小企業白書をみながら、「こういう感じの方向性の事例だ出そうだ」といったことを考えていました。
中小企業白書は、白書というくらいなので本で売っていました。もちろん、中小企業庁のHPへ行けばPDF版はあるのですが、読もうと思うと大変なので本で買ってみたことあります。この代物結構分厚いもので、全部を読むのには骨が折れました。しかも、年々冊子自体が分厚くなっていくなぁと思っているうちに、2015年からは小規模企業に関わるところが分かれて、小規模企業白書となり2冊になってしまいました。一冊でさえ分厚いのに二冊に分かれて内容も増えてと・・・
当初は真面目に全部読もうとしていましたが、これ全てが試験に必要なわけでないということにはたと気が付きました。要点だけが分かればいいわけですよね。
よくよく白書のページを見ると概要がきちんと掲載されています。ここを抑えるだけで大まかな流れがわかってくるので、診断士試験を受ける場合には十分だと思います。
ここまでは、診断士試験受験生向けのニッチな話でした。
白書自体は、中小企業が置かれている環境(というか、日本の経済環境)を知るのにちょうどいいです。なんとなく感じている物価高騰やコロナ後の経済の戻り具合などが数値化されているのと、その数値結果や各企業の取り組みからどういう課題があって、どういう解決策が有効なのかを知ることもできます。なんとなく世間で取り組まれていることが数年前の白書の先行事例にあがっていたということもよくありますね。この様な先行事例に上がる企業はだいたい国の制度や専門家の支援を得て課題解決したケースが多いのも特徴だと思います。また、同様の課題を持つ企業に対しても、先行企業の事例をもとに類似の対策を打つことが多いため、そこに対する各種助成制度が出てくることが多いのですが、その必要性なども白書に掲載されてから、制度ができるということも多いと思います。
診断士になったばかりの頃は、「白書は診断士のバイブルだからきちんと目を通しなさい」と言われていました。ただ、独立してからは白書を見る機会も減ってきたと思います。というのも、日々の業務が白書のインプットと同じになっているので、その時その時で、マクロ視点での課題もなんとなくわかってきていましたし、企業を支援するときの流れも一つ一つの企業ごとに対応策は異なるものの、大まかな流れというのはさほど変わらないと感じる様になってきたからです。ただ、これって私の中での暗黙知なんですよね。私自身は独立診断士なので企業の様にノウハウ共有を組織内でする必要はないので、余計に暗黙知化しているという・・・状況でした。
ブログやnoteを書く様になってこの暗黙知を少しでも形式知化でき始めてきた様に感じています。また、これがきっかけとなって、今年は久しぶりに白書に向かい合った気もしますね。ということで、ブログの方では白書から今の流れを読み解いていこうと思っています。