経営デザインシートについて諸々
今週は、月に一度の研究会がありました。
診断士の横のつながりの一つに、特定のテーマに沿って研究する研究会というものがあります。東京だけで4000人近くいるので、その研究会の数もたくさんあって、テーマも多岐にわたっているのですが、私はその中の一つ、「知的資産経営」に関する研究会に参加しています。知的資産経営という、目に見えない経営資産(無形資産と言う)をどう経営に活かすのかというものになります。
この研究会で今取り組んでいるのか、価値創造社会での経営者のこれからを取りまとめた「経営デザインシート」というものをコンサルティングでどう活用していくのかということです。
経営デザインシートとは、以下のように定義されています。
これ、何かというと過去に囚われず、自由な発想で事業者が将来を描いてそれを実現するまでにどうしたら良いのかを一枚のシートで表現したものです。研究会では新しいことに取り組んでいる実企業を招いて、その取り組みを聞きながらデザインシートを作ってみることや、公的機関のサイトにある事例をもとに各会員がデザインシートを作ってみたのを発表し、その作るプロセスや、その中での気づき、困ったことなどをシェアして議論することをよくやっています。
先日の議論から出てきたトピックをいくつか・・・
(デザインシートの詳細については私のブログを参照していただければと思うので今日は説明しません)
経営コンサルティングをするときに、外せない視点が外部環境です。これは、事業者を取り巻く環境のうち、自身ではどうしようもできない要因についてになります。どんなにアイデアが素晴らしいビジネスモデルでも相手あってのものなので、顧客はどうなのか?競合はどうなのか?という視点が抜けてしまうと成功する確率が下がります。
デザインシートでは自社が何をやりたいかを中心にまとめられたシートなのでその観点はちょっと薄い感じになります。そもそもが、尖った発想のものを世に生み出すことを目的にしているので、提供価値自体が他社と差別化できており、想定顧客からの共感が得られるという前提に立ってしまっているからです。
でも、やろうと勘がていること全体を俯瞰するには適しています。細かいことを深掘りするのではなく一枚のシートに全ての要素を簡潔に記載しているからです。なので、上記の通り、深掘りすべき部分の検討が終わっている前提に立っているのです。
では、深掘りすべき部分の検討はどうすればいいのでしょうか?この部分については、通常のコンサルティング手法を活用することになります。ここでコンサルティング手法と書きましたが、これは我々の視点であり、経営者の方が考える場合は事業計画策定のプロセスとした方がいいかもしれませんね。最初に環境分析として、自社の置かれている状況のSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)は把握しておきます。(専門家ほど細かくやる必要ありません)。そして次に大切なのが3C分析です。3Cとは、顧客、自社、競合の三つの視点で自分たちがやろうとしてることのイメージをつけます。
研究会の中では、経営デザインシートを作る前段階にローカルベンチマーク、通称ロカベンシートを作成する流れが最近は主流になっているそうです。これを聞かれた通りに穴埋めしていくと、自社の置かれている環境を理解することができます。
ここまでやって初めて経営デザインシートへ着手するのです。
この辺りは、デザインシートのみで考えないと尖った発想が出ないという意見もあり別れるところですね。デザインシートの曲面から言えば、これからの提供価値に対してどれだけの共感が得られるのかを、相手の目線で考えることが重要なのかと思いました。