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合成カンナビノイドの未来: 国家視点から読み解く指定薬物部会

はじめに

こんにちは、GEISHA BRANDの高橋です。
普段は大学でプロダクトデザインを専攻しており、現在GEISHA BRANDでインターン生として働いています!

皆様は指定薬物部会という会議をご存知でしょうか?
知らない方はこちらの記事で解説していますのでこちらをご参照ください。
https://www.geishabrands.com/post/%E8%96%AC%E7%89%A9%E9%83%A8%E4%BC%9A%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

今回はHHCが規制された2022年3月4日の議事録の内容をわかりやすく要約し、そこから読み取れる合成カンナビノイド市場の課題と未来について非常に具体的に提言しております、きっと有益な情報になると思いますのでぜひ最後までご覧ください。


指定薬物部会は、議事録を出すことで透明性が担保されています。
HHCやTHCO、HHCOが規制された時の会議も議事録が公開されています。
不定期で先の読めない業界ですが、この議事録を読めば、政府がどういった姿勢でカンナビノイド規制に臨んでいるかというのがわかるというわけです。

こちらが、HHCを規制した際の部会の議事録です。

2022年3月4日指定薬物部会議事録一部抜粋

みなさま完全に理解できましたでしょうか。
そう、専門的な知識がないと、非常にわかりづらいのです!
事実、情報は無料で公開されているけれど、これでは薬理の教育を受けていない人は理解に苦しむなと思い知能の不平等さを感じました。

要約のためひとつひとつ知らない単語を調べていては時間がかかり過ぎますし、いちユーザーがそれを行うのは非常に難しいと思います。

しかしながらこの議事録の中に、国家の意向を読むことができるといっても過言ではありません。
これを読まない人は、本当に損しているのです

そこで今回、時間がない方のためにもわたくしが個人的にまとめて、そこから考えられる業界の課題や国家視点でのリスクを具体的にまとめました。

HHC規制に関する議事録の文字数は
約6,000文字です。
それでは見ていきましょう。

議事録①

要約①HHCとΔ9-THCPの審議概要

審議の対象となる物質:

  • ヘキサヒドロカンナビノール(HHC)

  • テトラヒドロカンナビフォロール(Δ9-THCP)

  1. 物質の特徴:

    • HHCは、環の中の二重結合が外れた形状。

    • Δ9-THCPは、Δ9-THCやΔ8-THCと似ているが、側鎖が長い。

  2. 流通状況の説明:

    • フリマサイトでのHHC検索結果に基づく流通状況。

    • SNSでのHHC製品の利用者の感想やコメント。

    • THCPに関する製品の流通情報。

  3. 相談・問合せの状況:

    • HHCに関しては、昨年の春から夏にかけて相談がなかったが、秋から冬にかけて相談が急増。

    • THCPについても、秋以降、相談や問合せが増加。

  4. 目的:

    • これらの物質に関する審議を行う。

この項目では規制成分の提案と国内流通情報や厚労省への問い合わせ件数についても触れられています。フリマサイトやSNSのレビューをしっかり見ているのは面白いですね、またΔ9THCPのみが規制されていてΔ8THCPが規制の話題に上がらないことが気になります。この時はまだΔ8THCPが存在していることを部会は認知していなかったのでしょうか。

※Δ8THCPは2023年8月現在も規制されていないが違法成分が除去しきれず国内流通てきていない現状がある。日本人には体感が強すぎるとも言われている。

追記:本日8/31にΔ8THCPは規制対象になりました。

続きましてこちら

議事録②

要約② HHCおよびΔ9-THCPに関する試験結果及び規制状況

1. カンナビノイドの含有量

  • HHC: インディカ種の大麻草樹脂中での含有量は0.11%~0.36%。

  • Δ9-THCP: THC13種では0.0023%から0.0136%、ただしCBD種1種では検出されず。

2. 行動観察試験の結果

  • HHC: マウスに投与した結果、自発的運動量や体温の低下、姿勢保持の増加などが確認された。

  • Δ9-THCP: 自発的運動量の低下、体温の低下、カタレプシー、鎮痛作用の増加がマウスで確認された。

3. 受容体親和性評価

  • HHC: オピオイドμ受容体との親和性はΔ9-THCと比較して0.70倍。

  • Δ9-THCP: ヒトカンナビノイド受容体との親和性は、CB1受容体で33倍、CB2受容体で5.8倍とΔ9-THCよりも高い。

4. 海外の規制状況

  • 英国: 薬物乱用法のクラスBでの規制の可能性。

  • 米国: 規制物質法での規定は特になし。しかし、類似薬物法により、一部の物質が規制の対象となる可能性。

こちらの項目はHHCやTHCPの有害性の検証を行なっております。

HHCもTHCPも自然界に含まれているのが非常に面白いです。大麻という植物ひとつで、違法薬物と指定薬物で禁止しているなんておかしい話ですよね。
受容体親和性に関しては非常に勉強になります。

続き

議事録③

要約③ HHCおよびΔ9-THCPの規制決定

  • HHCは、2022年1月に1件検出されたが、Δ9-THCPの検出事例は確認されていない。

  • HHCの使用者の中で、尿検査においてTHCが陽性になるケースがあることが報告されている。

  • 規制の際は、使用者や販売者に対する情報の提供が必要であり、特にECサイトを通じての周知が重要であると指摘された。

  • 本部会の結果は、次回の薬事分科会で報告される予定。

  • 令和3年度の部会は本日で終了とし、来年度の予定については後日通知されるとのこと。

成分の検出事例なども加味していますが、実際にどこで検出されたのかは記載がありません。またTHCPに関しては検出事例がないまま規制に踏み切られています。規制情報を十分に周知させなければ、違法と気づかずに所持してしまう可能性を指摘されております。

指定薬物部会は不公平?

私はこの議事録を解読した時想像以上に、会議の出席者は、カンナビノイドの現在の流通に対して慎重な立場を取って考えているのだなと思いました。特に、健康や法的な問題を防ぐための対策や情報提供の必要性を強調している点、使用者や社会全体の安全を第一に考えている姿勢は国民として納得できます。その一方でHHCを医療目的として利用している方が多く規制が惜しまれていたのが事実です。社会的な安全と民意のバランスを保つ国家運営は難しそうだと思いました。

今後、合成カンナビノイド業界が存続するには

この議事録には合成カンナビノイド業界が存続するためのヒントが残されていると思っています。今からあげる事項の全てを実現することは、一つの会社では非常に難しく企業団体として連携して行動しなければ厳しいと思います。しかしながら一般的な市場として認めてもらうためには、下記の行動をしなければならないと考えております。

0.研究と開発の促進 
業界は研究機関や大学との連携を強化し、合成カンナビノイドの医療効果、安全性、用量などに関する研究を進める。この研究結果は公開され、科学的な根拠としての役割を果たす。

  1. 厳格な製品基準と認証制度

    • 業界団体を設立し製品の品質と安全基準を設け、これを満たす製品には特定の認証マークを付与。消費者はこのマークを元に信頼性のある製品を選ぶことができる。

  2. 教育と啓発活動の実施

    • 業界は医療関係者や一般消費者を対象とした教育プログラムやセミナーを開催。正確な情報の提供と健康的な利用方法の普及を目指す。

  3. 公的機関との連携

    • 業界は政府や関連機関と積極的に対話を行い、政策の形成や規制の方向性に関与。業界の立場と専門知識を提供することで、適切な政策策定をサポートする。

  4. 継続的な市場調査とモニタリング

    • 業界が独自に市場の動向や消費者のニーズを調査。新たなリスクや機会を早期にキャッチし、戦略的な対応を図る。

  5. 販売チャネルの多様化

    • 合法的な流通ルートを確立し、認証を受けた製品のみが市場に流通するような体制を整える。オンライン販売や実店舗など、さまざまなチャネルを活用して製品を提供。

  6. 持続可能なビジネスモデルの採用

    • 業界は環境や社会への配慮を組み込んだビジネスモデルを採用していく必要がある。地域社会との連携やCSR活動を通じて、社会的な貢献を目指す。

国といがみあっても何も始まらないし自分の主張をするだけでは逆効果だと思います。包括規制がかかるよりも早く、一つでも多くの項目を満たせるよう弊社でもできることをひとつひとつ取り組んでおります。

規制の発表を受けると我々も国家の前に無力感を感じます。
しかしそれは我々が自浄することができなかった結果でしかなく受け止めて、前を向いて次に進むしかないのです。

国家視点でのリスク

市場を大きな視点で捉えるためには国家側のリスクを考えて行動していかなければいけません。国家が不安に感じるリスクを我々が拭うことができれば、政府に対して対等に交渉することができると思います。

健康リスクの管理:不適切な製品の流通や過度な消費が増えることで、公衆衛生への悪影響や医療費の増加といった問題が生じる可能性が考えられる。

法規制の策定:科学的な根拠を元に適切な法規制を策定する必要があり、これには時間とコストがかかる。

教育・啓発の必要性:正確な情報の提供や消費者の啓発活動が求められる。

公共の安全:適切な使用が行われないことで、交通事故や職場での事故のリスクが増加する可能性がある。

文化的・社会的影響:合成カンナビノイドの受け入れや拒絶といった社会的な態度や価値観が変化する可能性がある。

これらを危惧して事故が起きている成分を規制するというのは、国家として至極真っ当な仕事だと理解しております。こういった不安を拭うためにも、事業者、消費者一丸となって一般社会的な視点を持ち自浄活動をしていくことが、長い道のりではありますが一番近道なのではないかと思っております。

最後に


議事録を読み解いたおかげで国家目線で今後の業界について考えることができました。また、新たな課題も見つけることができ、明日からの仕事の活力になりました!

THCO/HHCOが規制された時の部会は包括規制についての言及もあり新たな視点が加わりますので、好評でしたらそちらも解説します。

弊社ではCBDとその他カンナビノイドの共同研究にご協力いただける病院、大学、医療関係者様を随時募集しております。

研究を通して現在カンナビノイド業界が抱える課題の解決を実現することができれば粗悪な製品が激減し、安全性が担保され政府と対等に交渉することができます。もしも、規制に妥協点を見つけることができれば何万人という人が救われます。
日本がポジティブに変わる可能性が、この業界には残っていると思います。

弊社はチーム一丸となって、日本の伝統植物である麻の可能性を信じ、日々模索しています。少しでも賛同いただける事業者様、ユーザー様、一緒に明るい未来をつくっていきましょう!

大麻が合法化されることを心より祈っております。

それでは

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