1-5 虚空呟言 /木魚人

人の在ぬ砂漠に向かひて
叫び出す電子の礫を
巡り廻らせ 焚べが朽ち果つ

正無き記憶の 紡がる暮夜の時

頬濯ぐ涙を集めて
絞り出す最後の呟き
譯を云はぬは 誰の思ひか

行けども絡まり 着かぬは甚だ
況や俺の身 光差す術も無

夜が更けて參りました
冷たい風は未だ止みません
凍える右手を仕舞ひながら
只管に暗中を探ります
今 此處に在るのは
私の心中を滿たす爲か
其れとも 此處から何かを

薄墨色氣の 地下路に潛みて 
淀まず寫るは 虚空の呟言

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