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高見温| On Takami
2024年6月30日 23:10
気圧の乱高下などひどい有様でしたが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。部屋に籠って本を読むというのは猛暑の回避策として伝統的に支持されてきたはずです(適当)文芸書①九鬼周造随筆集『いきの構造』などで知られる日本哲学の巨星ですが、随筆の名手であることは知りませんでした。内容は素朴な街歩きから高踏な舞楽についてまでありますが、あまり力んでいない端正な文章で面白かったです。論文と異なり、論理性の
2024年6月3日 10:26
ミシェル・ウェルベックが書いた『セロトニン』という小説は、それまでの彼が書いてきた過激な性描写や差別一歩手前の風刺は鳴りを潜め、負け続けるリベラル・インテリの様子を悲惨なまでに写し取っています。作風の変化が作家個人の問題に属するのか、それともドナルド・トランプらポピュリスト旋風の吹き荒れた2010年代後半の世相を反映しているかは分かりません。 私はSNSを2020年代になってから始めたような