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旅行記いろいろ

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ちょっとした旅行についての小文をまとめました。
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#イタリア

聴覚的な旅行記述のすすめ

聴覚的な旅行記述のすすめ

詩人リルケが滞在して傑作『ドゥイノの悲歌』の霊感を得たドゥイノとはどんなところだろうと、中学生の頃から漠然と思っていましたが、いざ行くとなると大変な場所で、それなりに言語に習得して計画を立てていかないと難しい場所にありました。

イタリアの北東部の果て、ほぼスロベニアであり歴史的にはオーストリアでもあったトリエステから、バスで揺られて30分くらいかかります。イタリア的な陽気さは全くない人々が住んで

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南へ。サレルノと中世文化🇮🇹

南へ。サレルノと中世文化🇮🇹

中世のかなしみが、すすり泣くような美しさが私を捉えたのは、サレルノの街の夕暮れだった。

フレッチャロッサに乗ってヴェスビオの麓から遠ざかり、南へ。最古の医学部があったという世界史資料集の記述と、アマルフィ海岸の絶景を浴びる前に集う「玄関」としてしかこの街を意識していなかったが、どんな街にも歴史が詰まっているのがイタリアだ。きっと何かあるだろうと深く調べずに飛び乗った次第である。

天気は曇りだが

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会津若松とムッソリーニ

会津若松とムッソリーニ

福島県会津若松市に観光で立ち寄った時、まずこの城を訪れました。中は資料館になっています。やはり展示のメインは戊辰戦争の頃の会津藩についてで、敗者というよりは、忠義を尽くして勇敢に戦ったことが強調されています。教科書の官製の歴史とは違う面から書かれていて、歴史の多面性に思いを馳せました。

同行者は歴史にそこまで興味がなかったので、早急に城を降りて周りの茶室を覗いたら、飯盛山に向かいました。お目当て

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「読書感想文」旅を糧とする芸術家(2006年)

「読書感想文」旅を糧とする芸術家(2006年)

西洋美術史の巨匠たちは旅をどのように作品の進化に活かしたか、また彼らにとって旅はどのような意義があったか、についてまとめられた本。各著者の論考がまとめられている、論文集です。

目次

・美術の展開に果たした芸術家の旅行の意義
小佐野重利 (総論)
・さまよえるヤーコポ・デ・バルバリ
秋山總 (ルネサンス)
・1603年のルーベンスのスペイン行と二点の絵画
中村俊春 (バロック)
・イタリアへの旅

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