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高見温| On Takami
2024年2月21日 11:33
中世のかなしみが、すすり泣くような美しさが私を捉えたのは、サレルノの街の夕暮れだった。フレッチャロッサに乗ってヴェスビオの麓から遠ざかり、南へ。最古の医学部があったという世界史資料集の記述と、アマルフィ海岸の絶景を浴びる前に集う「玄関」としてしかこの街を意識していなかったが、どんな街にも歴史が詰まっているのがイタリアだ。きっと何かあるだろうと深く調べずに飛び乗った次第である。天気は曇りだが
2024年1月6日 03:25
ベルリンがなぜか肌に合わなくなって、心は東方へ向かい、いつしかポーランドへ行こうという意志が芽生えてきました。とはいえ、あまりに突発的な考え故にワルシャワまでは行く余裕がなかったので、ドイツの国境沿いでそれなりに大きそうなシュチェチンという街に行こうということになりました。それまでシュチェチンという名前すら知らなかったのですが。市内中心にある14世紀に建てられた城館へ。シュチェチンは中世から
2023年12月7日 11:06
極寒のエストニア。首都タリンは鈍重な灰色の圧が脳にのしかかってくるようでした。人はあまり歩いておらず、幾何学的な郊外の街並みはソ連的な雰囲気が色濃く漂っており、氷点下の冷気よりもそちらに身が堪えます。こちらがKUMUと呼ばれるエストニア国立美術館です。日本で言えば国立近代美術館のようなもので、エストニアの古〜近代美術品が並んでいます。最近は日本のチームラボの作品が置かれるなど、現代アート関
2023年7月7日 18:09
西洋美術史の巨匠たちは旅をどのように作品の進化に活かしたか、また彼らにとって旅はどのような意義があったか、についてまとめられた本。各著者の論考がまとめられている、論文集です。目次・美術の展開に果たした芸術家の旅行の意義小佐野重利 (総論)・さまよえるヤーコポ・デ・バルバリ秋山總 (ルネサンス)・1603年のルーベンスのスペイン行と二点の絵画中村俊春 (バロック)・イタリアへの旅