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30代からのイギリス大学院留学:1学期目が終了しました

こんにちは、gegegenta_です。
1学期(秋学期)が終了したので、どんな感じだったか振り返っていきたいと思います。といっても学期自体は12月中旬に終了しており、この数週間は冬休みだったのですが、期末課題の提出期限がつい数日前にあって、旅行に行った以外はずっとレポートを書いていたので、実質的には最近やっと終わったという気持ちです。


どんな勉強をしていたのか

秋学期は4つのモジュール(授業)を取りました。

必修の「Theory and Practice of Human Rights」は、人権の歴史や国際人権法など、一番広く浅く、人権について学ぶモジュールです。ちなみに同じ専攻は私含めて9名で、日本・メキシコ・インド・ベトナム・アメリカ・カナダ・オランダの出身です。

Global Diversity and Global Challenges」は必修と少し似ていますが、より哲学的な問い、例えば「国際的な人権と、イスラム教は相容れないものなのか?」「人権は”西洋的”な概念なのか?」などを主に扱いました。答えのないテーマが多く、話が難しく感じることも多かったのですが、私は既存の言論の裏側にある構造を考えたり、「一般的にはこう思われているけど本当はこういうことなんじゃないか」と考える行為は好きなので、一歩考えが深まった気がしてよかったです。

Theories and Institutions」は主に国際機関の仕組みや、国際人権システムに対する様々な観点での批評(例えば、今の国際人権法はPostcolonialism(脱植民地主義)やFeminismから見たらどういう問題があるの?など)を勉強しました。お隣の国際人権法専攻の必修科目で、弁護士などすでにHuman Rightsの第一線で活躍している学生も多く、みんなの発言や議論で盛り上がることが多かったです。レベル高くて何言ってるかわからないこともしばしば、でも私も何回か頑張って質問や発言をしました。40名ぐらいの学生が履修していたのでその中で発言するのは少し緊張しました笑。

ひとつだけ、Psychosocial and Psychoanalytic Studies(心理社会学・精神分析学)という別の学部の「Critical Race and Transnational Feminisms」を履修しました。Intersectionality(インターセクショナリティ:例えば、黒人女性はアメリカ社会において人種と性別という2つのマイノリティ性を持っており、それらが交差することで黒人男性とも白人女性ともまったく違う経験をすること)や、貧困や差別の背景にあるPower dynamicsを考える、という自分にとってとても興味深い内容でした。生徒も5人しかいなかったのでインタラクティブで、一番面白かったモジュールでした。

授業があるのは週に3日だけでしたが、感覚的には結構忙しかったです。というのも各授業ともに毎回50〜100ページ近いテキストを読まなければならなかったから。場合によっては事前に質問が出されて授業でそれを議論したり、または質問を考えてくることが求められました。わけもわからず、とりあえず与えられた文献をひたすら読み、そもそもこれ何の話してるの…?と困惑することも頻繁にありました。3ヶ月間それなりに勉強した一方で、全然まだなにも分かっていない…とも感じます。いずれにせよたった1年で人権のすべてを学ぶのは到底無理なので、次のステップに進む仮説ぐらいは立てられるといいなと思っています。

寝る時間を削って勉強している学生も多いようですが、私は寝ないと本当にどうしようもなくなるので(30代だしね)、いきなり読み始めるのではなく、トピックについて検索し、入門っぽいテキストを読んでまずは概観を理解することに努めたり、難しく感じるところはDeepLに突っ込んで、それでもよくわからず、日本語でも難しいならしょうがない!と諦めたりしてました笑。1年間の短期間なので身体をこわすのが一番NG、マヌカハニーやビタミン剤も摂って、とにかく自分の中で効率的かつサステイナブルな方法を模索していました(これは今も模索中…)。とはいえ英語の論文をたくさん読み込んだおかげで読むのは少し速くなりました。春学期はGender and Human Rightsなど、より具体的で私の興味に沿ったモジュールがいくつかあるので始まるのが楽しみです。

グループプロジェクトでの活動

授業以外でも、2つのグループ活動に参加しています。

ひとつは「Human Rights Clinic」という(実はこれも授業ではあるのですが)、実際の人権NGOと一緒に実施するリサーチプロジェクトです。スーパーバイザーの先生と3名の学生と一緒に週次でミーティングをし、文献を読み込んだりリサーチの準備をしました。2月ごろにいくつかインタビューをする予定なので、これまでのUXリサーチの経験を活用できたらなと思っています。

もうひとつは「Asia Conference」という、アジアに特化したモジュールがない穴を埋める目的でつくられた学生主体のカンファレンスの企画に参加しています。7名のメンバーと一緒に、テーマや登壇者などの準備を進めています。3月に開催予定ですが、まだスピーカーが確定していないので春学期に準備を頑張らないといけません笑。

どちらの活動においても、私自身は人権のバックグラウンドが特にないので、中身の話は難しく感じることも多かったのですが、これまでの学生団体や会社員生活で培ったプロジェクト進行やファシリテーション、コミットメントの面ではまあまあ貢献できていると感じています。
単位が貰える活動ではない割に結構やることは多いのですが、そこのコスパを考えるというよりは、(おそらく)せまい業界であるHuman Rightsでのキャリアの足がかりを築くためにも「信頼貯金」というワードを個人的に意識して、できるだけ積極的にタスクを引き受けています。どちらも成功させたい。

日々の生活

典型的な1日の過ごし方としてはこんな感じです。

7:30 起床
8:00 仕事
10:00 休憩、支度、登校
11:00 授業
13:00 昼食、ジムに行く(もしくは授業)
15:00 図書館に行って次の授業の予習
20〜21:00ごろ 帰宅、シャワー、夕食、のんびり
0:00 就寝

ちなみに休日はのんびりしたり家事をしたり勉強したり、遠距離中のパートナーとビデオ通話をしたり、あとは月1ぐらいでロンドンに遊びに行ってました。

仕事は前職・前々職でやっていたUXデザイン・コンサルティングのお仕事を日本からのリモートでしています。日本時間に合わせてミーティングするので朝が早いのがしんどいですが、(寝起き髪ボサボサのむくんだ顔でミーティングに参加しています)、私は何もないと10時とかまで寝てしまうので早起きの習慣がついて逆に助かっています。
ちなみにまわりは奨学金をもらって来ている学生が多いです。羨ましいと思う反面、毎月いくらかでも自分の力で収入を得られるのはかなり精神面での安心材料になるし、今後人権関連のお仕事をするにしてもはじめのうちはインターンやボランティアなどそれだけでは生活できないお仕事も多いと予想しているので、今後も続けていきたいです。

家はキャンパスの外れにある学生寮で、講義棟までは徒歩15分ぐらいです。ビジネスホテルの1室ぐらいの広さのベッドルームにシャワー・トイレがついていて、キッチンは自分含めた7人のフラットメイトでシェアしています(廊下がセキュリティで仕切られており、その単位をフラットといいます)。
不満はそんなにないのですがやはり日本の感覚でいうと広さや設備の割に高く感じるのと、当初なぜかシャワーヘッドがなくて天井から蛇口の水がそのまま出てくるような感じだったので自分でホースつきのヘッドをつけました。ただ良いこともあってそれは方角。おおきな原っぱに面していて眺めが良い&他の人から見られないのと、朝日がはいってきて目覚めやすいです。
フラットメイトはカナダ・メキシコ・インドの出身で、よくキッチンでおしゃべりしています(いまだにHiしか話してない子もいるけど…)。

住んでいる寮の概観。キャンパスはこういう無国籍風の建築物が多いです。
部屋から朝焼けが見えていい感じです。曇りや雨の多いイメージのイギリスですが、思ったよりかなり晴れが多くて、どちらかというと1日の中で変化が多い感じです。
寮のコインランドリーが1回で1000円近くするので、フラットのみんなでカンパしてフリーザ様みたいな見た目のミニ洗濯機を買いました。


冬休みと期末課題

先述のとおりこの1ヶ月は冬休みでした。ただこの期間に5000ワードのエッセイ3つと4000ワードのエッセイひとつを仕上げる必要がありました。そんなにたくさんの英語を書いたことがまず今までないし、お題からズレてないかとか、そもそも先延ばしがひどい自分が期限内に仕上げられるか不安だったのですが、なんとか期限内にすべて提出することができました。成績はたぶん1ヶ月後にぐらいに返ってくるのですが、パスしているとは思います…。
短時間にたくさんの課題をこなしたお陰で、少し慣れてきてスピードも上がったし、自分なりにこんなふうに進めたらよさそう、というイメージが少しできたので、次の学期の課題にも取り組んでみて、また記事にしようと思います。

クリスマスにはチェコのプラハとドイツのケルン・デュッセルドルフに行きました。とっても素敵なクリスマスマーケットや大聖堂を観光し、本場のビールやソーセージも食べて、ドイツ駐在中の友人にも会えたので良いリフレッシュになりました。ただ財布と携帯をなくす(おそらく盗まれた)という事件が起きたので、次の旅行では絶対になくさないようにストラップ付きのケースを買いました…。

プラハのクリスマスマーケット
ケルン大聖堂と橋

雑感

イギリスにやってきてから早くも3ヶ月が経過して、月並みですが本当に早いです。一方でつい4、5ヶ月前までしていた日本での会社員生活はすごく遠い昔のよう。充実している証拠かなとは思いつつ、これから職探しや修論作成などさらに忙しくなりそうで、もっと早く過ぎそうです。私の性質上ダラダラしている時間が割と多くてもったいないと後悔する日もありますが、身体と精神の健康をいちばん大切に、細くても長く続けることが大事なので、引き続き自分のペースで頑張りたいです。
来学期は、就活を始めたいのと、コースで話せる人は増えてきたのでもっと皆のことをよく知って仲良くなりたいです。


最後に、私が渡英してすぐのタイミングで始まったイスラエルのパレスチナへの侵攻が一刻も早く終息し、パレスチナの人々に平和なひとときが訪れることを願っています。日本でどのような報道がどのぐらいされているかはわからないのですが、移動の自由が制限される中でイスラエルの攻撃によりパレスチナの一般市民が大勢死傷し、かつ意図的にライフラインも断たれている状況、そして歴史的な背景を考えると私は「どっちもどっち」とはいえません。

↓他にもたくさんありますが署名活動のURLです。すぐ終わるのでぜひ

また日本でも大きな地震がありましたが、初動対応の遅れや避難所の問題が指摘されています。たとえば72時間以内の救出活動、孤立集落への救援、避難所のプライバシー確保や迅速な体制構築などは「できなくても仕方のないこと」ではなく、「過去の教訓から必要性も実現方法も明らかなこと」なので、それをしないのは能登の人たちの人権がないがしろにされている状態です。もちろん現場ではたくさんの人が懸命に頑張っていますが、問題はそこではなくて過去の教訓があるにも関わらずそれを実施しない(できない)政府もしくは地方自治体だと考えています。

↓主な寄付先の一覧です。私も日本赤十字社に少しですが寄付しました。

このように日々たくさんの人権に関する問題が起きているのと、実質的には何も貢献していない自分というギャップにフラストレーションを感じます。今は力を蓄える期間と割り切りながらもできる範囲で署名したり寄付したりしていますが、人権・権利が一番に大切にされる社会であってほしいし、そのために自分ができることをもっとしていきたいなと思っています。

長くなりましたが以上です。大学院ってこんな感じなんだ、というのが少しでも伝われば嬉しいです!

※有料設定してますが、本文はここまでです。
購入いただけると私がイギリスでコーヒーかお茶を1杯買えます。引き続き円安につき留学資金がカツカツなので、参考になった!いいね!と思ってくださった方はぜひカンパお願いしますm(_ _)m

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