ギャランドゥー?


どうも、悔しいけれどお前に夢中です。


いきなりだけど、ギャランドゥって響きめっちゃいいよね。


ギャランドゥ関連の話はまじで好きなんだけど、おいおい!ギャランドゥってなんやねん!?って人に説明しよう!






時は江戸、まだまだ天下泰平とはいえず、飢饉や戦でそこら中死体だらけの安芸国。
そこで生を受けたのが西城秀樹ときたもんだ。
武家の家に生まれたはいいものの、幼い頃は身体が弱く、父親から剣の指導を兄の竹若とともに受けたがこれっぽっちもうまくはならない。毎日毎日泣いてばかりだった。

「この下手くそ!泣いてばっかでお前は女か!」

と父親に怒鳴られる毎日。今と違って男尊女卑が行きすぎた時代が、秀樹の心を蝕んでいった。
しかし、泣き言言っても辞めさせてもらえないことは分かりきっていた。
武士の家に生まれた者は、基本的に武士として生き、武士として死んでいく。

日々の稽古はとても辛かった。毎日毎日泣いていた秀樹だが、彼は踏ん張っていた。いや、踏ん張れていたのだ。

なぜなら秀樹には歌があった。


秀樹には剣の才能がこれっぽっちもなかったものの、秀樹には人々を魅了する声があった。
華奢な体に白い肌、透き通った歌声で誰がお侍と思うだろう。

しかし、時分は江戸。武家の子供が歌なんて許されるわけもないので、歌うときは決まって一人だった。
歌う場所は、近くを流れる天満川の河川敷だ。周りに歌声は聴こえど、高く伸びた葦が小さな秀樹の体を隠してくれた。
これによって周りにバレずに済んだのだろう。


ちょうどその頃、剣術が上達せずに泣いてばかりいる秀樹を「まるで女のようだ」と揶揄した父親は、ある日から秀樹に育毛剤を飲ませたのだ。

今でこそ有名なリーブ21だが、それを有名にしたのが西城秀樹だ。


見た目だけでも男らしくなってほしい父親の願いは届き、腹から陰部にかけてモッサリと毛が生えていった。

今でこそわかっている事だが、育毛剤には男性ホルモンがはいっている。


見た目の変化に大満足の父親であったが、それとは裏腹に秀樹は大変不満を抱いていた。

あの透き通った歌声が、野太くドスの効いた声になっていった。
齢12の秀樹、変声期ということもあるのだが、自分がこんな声になった原因は、育毛剤を飲ませた父親のせいだ!と、日々の稽古の苦しさに加え、そんな恨みが秀樹の心に芽生えつつあったのだ。


しかしながら、変化した見た目に大変満足した父親であったが、ふたつきみつきすると剣術が中々上達しない秀樹に今まで以上に辛く厳しい稽古をつけたのだ。

秀樹は、日々の辛い稽古と自慢の歌声を変えたすべての原因は父親にあると思い、彼を憎むようになった。

憎しみが原動力になるのはよくある話で、秀樹の気持ちは父親に認められたい、から、父親をやっつけたいに変わっていった。

毎日の稽古に精を出す秀樹だったが上達しない。
頭の中は父親を倒す事でいっぱいなのに、、、


いつものように天満川まで歌を歌いに歩いてる時のことだった。
思い返せば、父親のことばかり考えていた。
決して良い感情を抱いていた訳ではないが、憎む気持ちがいっぱいで常に頭の中には父親の姿が・・・


そんな自分の気持ちを声に出してみた


「悔しいけれど、お前に夢中、ギャランドゥ」

!?

透き通った声が自慢だった秀樹は、今の自分の声が嫌いだった。嫌いだったはずの声がとてもかっこよく聞こえたのだ。

当時の流行歌とは一線を画したメロディーは、偶発的に生まれた物であったが、秀樹の歌声にマッチしていたのだ。

自分の歌声と、得体の知れない旋律、初めて聞く言葉に興奮した秀樹は何度も何度もこの部分を繰り返し歌ったのだ。

天満川は、当時の広島市の中では外れを流れる川であまり人も通らないので、人目を気にせず歌った。


しかし、そこを通りかかったのが安芸国広島藩主の第7代藩主の浅野重晟の懐刀、南口重太郎である。

後のテイチクエンタテインメントを作り上げた人物である。

・・・ンドゥ・・・ンドゥ・・・

何やら聴こえてくる。初めて聴く言葉だ。
南蛮の言葉か!?さては我が安芸国に不審な物がいるのではないかと、必死の形相で葦をかき分けた。

・・・ランドゥ・・・ャランドゥ・・・


どんどん大きくなる声に、葦を掻き分ける手が右手から左手に変わっていき、右手は脇差の柄を掴んだ。


「何やつーーーー!!!」

と斬りかかろうとしたが、南口は驚愕した。
お腹一面毛を生やし、奇妙な歌に奇妙な振り付けをつけて歌う秀樹の姿に見惚れてしまった。


恥ずかしそうにしていた秀樹だったが、相手が藩主の懐刀の南口だと気付き歌うのをやめた。そんな秀樹を見た南口は、今すぐ城に来るように、と命令した。

歌うのに邪魔だと外した刀を手に取ろうとしたが、南口に止められた。


「お前には歌がある」


と。


秀樹は、武士として生き武士として死ぬのだと思っていた。それ以外は想像つかなかった。


そこからは早かった。
南口は、秀樹に歌を歌わせながら、広島を練り歩かせた。


聴き慣れない旋律と言葉が瞬く間に話題を呼び、安芸国では流行歌になったのだ。


広島城の目安箱は、ギャランドゥとはなんなんだ!?という声でいっぱいになった。

決して意味などなかったが、気性の荒い安芸国の民衆には適当な理由をつけざるを得なかった。

困った南口は「gal undo」(ギャルのようにチャラついてない女性)と言う意味だと苦し紛れの言い訳をした。


蛮族の言葉を使う秀樹と、それを従える南口は、国家転覆をはかるテロリストだとされ安芸国を追われた。


行く先は長崎藩だった。

鎖国令を敷かれた日本で唯一、海の外と接触をするこの国は奇妙な言葉を使う秀樹と南口にはぴったりだった。


長崎でも歌を歌う秀樹。
その歌声と奇妙な言葉、髷をゆわない髪型と、毛むくじゃらな腹を出し歌う秀樹は一躍長崎の話題を掻っ攫った。


どこへ行けども出来る人だかり。


長崎では、西城秀樹の名が天まで轟き今でいうファンが沢山できたのだ。


毛にまみれたへそをだし、髷をゆわずに秀樹の真似をする民衆。
彼らは誰が言わずとも自分たちをギャランドゥと名乗り、他者からもそう呼ばれるようになったのだった。


この特殊な島国で初めてR&Bを歌った秀樹こそが、真のギャランドゥである。







いや〜、今でこそオードリーのANNのリスナーがリトルトゥースと言われたりするけど、その走りがギャランドゥなんですね。

と言っても今の時代だとギャランドゥと言えばへそ毛を指す言葉だと思ってる人が多いと思うが、本当は髷をゆわずへそ毛をさらして歩く男女のことだったんですね。


ファンてありがたいものですね。


というか、何書こうかとタイトルを適当にギャランドゥにしたのがよくなかった。


書き出したときは楽しかったんだけど、読み返すとまじでなんの話なんだろうって気持ちになった。


まぁいいわな。


ギャランドゥ!!!🧜





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