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【とまりますボタン】

バスに乗っていたら、男子学生二人の会話が耳に入ってきた。

「オレ、こないだバスに乗ってたらさぁ」

「あぁ」

「おばあさんが降りようとしてボタンを押そうとしているわけよ」

「うん」

「でもなぁ、おばあさん、背が低いんでボタンに手が届かないんだ」

「ふん」

「んで、可哀想なんで、オレがボタンを押してあげたんだよ」

「いいことしたじゃん」

「んで、バス停に着いてドアが開いたわけよ」

「ふん」

「でもさぁ、おばあさん、降りないんだよ、ドア開きっばなしだしよぉ」

「ほかのお客は降りなかったのか?」

「あぁ」

「で、お前どうしたんだよ」

「しょうがないからオレが降りたよ」

「お前が降りるバス停じゃないだろ?」

「あぁ、オレが降りるバス停はまだ三つ先だよ」

「お前バカじやないのか?」

「仕方ねぇだろ!どうしろってんだよ!」

聞いていた私は笑いをこらえるのに必死だった。


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