#DF22 で発表された #Genie によってどんなことが起こり得るのか
*最初に断っておきますが、このnoteに書かれていることは個人的な推測でありSalesforceからの公式発表ではありません
Genieといううさちゃんが発表されました。
ジーニーというコードネーム自体はアラジンと魔法のランプの魔法使いのそれです。うさぎの魔法使いですね。リアルタイムに何かができるようになるという紹介でした。
最初はマーケティングクラウド周りでGAされるということなので、すでに使える様になっているようなので、段々と情報が公開されていくのでしょう。
要するにどういうこと?
要するにこういうことです。輪っかの中にGenieが入っているのですが、全てのファンクションに関わるような仕組みになるということです。少し前はSlackがそこにいましたよね。Slackはどちらかというと、社内的なコラボレーションをSlackで行い、それらの情報がSalesforceの各製品と接続し、それによって生産性が向上するということでした。Genieの場合は何かというと、Genieの機能によって個人にあらゆるアクティビティを紐付ける事で、どんなアクションが最適になるのかをEinstein(AI)によって導き出すことができますよという話なのだろうと思っています。
個人にフィーチャーした機能としてCDPというものがあったらしいのですが、こちらについては全然知らなかったので詳細は不明です。
もともとマーケティングクラウドの製品だったようですが、これを普遍化していくということなのでしょう。(そのためマーケティングクラウドでのGAが先行している) 当然のことながらBtoCのみではなくBtoBでも当然必要となるファンクションですので、その流れになるのは当然だと考えられます。
あくまでも関わっているのは個人であるという視点が今後はよりになっていくだろうという示唆ですね。
Sales Cloudでできたこと、できなかったこと
これまでに弊社では色々な実装を行ってきていて、その一つがリバネスIDという仕組みです。これは2019年のDreamforce登壇の時にはすでに実装が終わっていて、イメージでいうとPardotのプロスペクトに相当するデータテーブルを持ちましょうというものです。
この辺にも書きました。
リバネスID自体はSales Cloudで実現できるのですが、どうしてもSales Cloud&Pardotの組み合わせで取れないデータが広告関連のデータです。例えばFacebook広告の結果をダイレクトにPardotが取得できるかというとそうではなく、おそらく要望としてはかなりあると考えられますが、現在までに実現に至っていません。なんとかしてくれ!と思っていますが、Pardotの今後はどうなんでしょう。
さて、Genieでは広告コネクタが搭載されているということが推されていました。
これは個人的には熱い機能です。できなかったことがGenieによって実現できるのですから。現時点で言うリアルタイムというのは、豊富なコネクタによって情報を集約することがかんたんにできちゃうよという意味なのだろうと推測されます。
エンゲージメントフィード
デモ画面の右側に出ていたのがフィードコンポーネントです。チャット・モバイルアプリ・Webサイト訪問・メール開封みたいなものがフィードとして格納されていきます。コネクタによって個人に情報が集約されていくという仕組みです。個人のページにいけば、どんなアクションを取る人なのかがぱっと分かるようになっています。
このコンセプト自体はすでにリバネスIDで実現済みで、同じような画面として表現してあります。
noteに書いたとおり、これの実装は2021の4月です。一年半程度の運用を経て分かったことは、個人に注目するのは本当に最後ということです。いよいよ提案のチャンスだぞというタイミングが醸成されたタイミングで閲覧するという種類の情報ですね。つまり、人間が見て、その個人に対してどんなアプローチをすればよいだろうか?を考えるための生データとしてフィードが存在するという位置づけだろうと思います。これだけ見て、すげー!って思っていると本質を見間違えると思いますので注意。
エンゲージメントフィードの本当の使い方はなにか
今回Genieで重要な点はEinstein、つまりAIとの組み合わせでしょう。現時点でもEinsteinには予測ビルダーというものがあり、カスタムデータからインサイトを得ることが可能にはなっています。
これを膨大なデータの中から導き出すような予測モデルを作ろうとすると、おそらく何パターンも作りながらメンテナンスを続けていく必要があります。これはかなーりしんどい。ものすごい大企業で人がいますよという状態でもない限り現実的では無いと思います。個人的にはやりたくない実装です。
今回のDreamforceでデモを見た限りでは、コネクトしてきたデータを分析してNextBestActionにかけるというようなやり方ができそうでした。おそらく現時点では書いたとおりにそれぞれモデルを書かなきゃならないような予感はしますが、データ量が増えていくにつれてどのようにハンドリングすれば結果が伴うのかが分かっていくはずなので、Genieユーザが増えていくことによってSalesforceプラットフォームが持つベストプラクティスを自分たちの組織でも使えるという状態になっていくと思われます。これは期待出来る。
人間が頭を使うべきなのはどこなのか
Salesforceプラットフォームはどこに人間が時間を使うべきなのかについてかなり考えているのだろうと感じます。大雑把なフィルタリングはAIを使うことによって自動化し、フィルタされた先でどこに導けばよいのかを考えるというのは人間が行うという流れなのですが、おそらくその判断のレベルをどんどん上げていこうと考えているのでしょう。つまり、単価の高いところに人間を当てていくという方向で、その単価をどんどん上げていくぞという意思を感じます。
今回のプレゼンの中では個人の生涯単価の予測という項目が表示されていました。当然、企業活動の中では単価を上げ続けるということは不可能なのでどこかでサチるのでしょうが、なるべく上位に時間を使ってもらうというのは変わらないでしょうね。低レイヤーはなるべく自動化、AI、それもできるだけ詳細な情報を含んだAIが勝手に判断してもバリューを発揮するという部分をSalesforceプラットフォームが担いますがその分料金はいただきますよというチャレンジになるのかな。
先程のエンゲージメントフィードの部分でも書きましたが、データは膨大になっていく一方です。あの情報量を人間が判断してなにかするというのは正直なところ難しいんじゃないかなとさえ感じます。膨大な人数に紐づく膨大なデータとなると、人に対する解像度が下がります。これを上げていく部分にEinsiteinが寄与しますよということなのだと思いますし、これについては正しいよねとうなずいてしまいます。データだけあっても解像度を上げるにはそれなりの情報処理能力が問われるからですね。僕自身はまだまだその辺が足りないなと感じることが多いので、機能として提供してくれるのは最高にありがたいです。だって世界最高峰の頭脳がその辺を我々に変わって考えてくれてるんですよ。最高じゃないですか?
個人データの扱い方の難しさ
リバネスIDはSalesCloud上に実装したものですが、個人を完全にユニークに取り扱うというレベルには残念ながら至っていません。初期の発想がPardotのプロスペクトだったということが発端になるのですが、メールアドレスがユニークキーになっているからです。今どき職場と個人のメアドを持っている人は珍しくありませんし、所属自体が複数ありますよという人も増えつつあります。転職する人も増えています。そうなると同じ人なのにレコードが散ってしまいます。どうやって実装するのがいいのかなと悩みまくっていますが現時点で有効な解決策を思いつけていません。
今回の発表で思ったのは、CDPで表現されている個人というデータセットがあり、Sales Cloud的な発想でいくと、CDPのレコードが、Sales Cloud上のリードやコンタクトに複数紐付いているというような実装です。
先に言ったメアド複数問題は一年くらい考えていることでもあるのですが、メアドや所属のような情報を一度排除して別レコードとして持つのがよいのでは?ということは考えたことがあるものの、実装が面倒だなということで見送っていましたが、やはりそっちですよね。
個人にも当然時間が流れています。所属ややっていることも常に変わっていくフィードのようなもので、今後はそういうフローな情報として捉えていく必要があるのでしょう。
まとめ
めちゃくちゃ長くなりましたが、Genieの所感でした。実はコネクタ部分は3年前のDreamforceキーノートのときにやり取りしていたチームに意見を求められたことがあり、Snowflake的なことをやるのかな?と思っていたのですが、実際はその先の接続部分がコアだったみたいですね。
一昨日、彼らと再開したのですが、聞いてみるとGenieのプロマネとして活躍しているみたいでした。すごい。プレゼンも同じチームの彼女がやっていたし、そういうチームに変遷してきたんだなと嬉しくなりました。
Genieについては、今後情報が徐々に公開されていくと思いますが、個人的には期待しているサービスだと思っています。
さて、まもなくサンフランシスコ国際空港へ向けて出発です。日本に帰ったらまた仕事頑張るぞー!ということで、DF22お疲れさまでした!
noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。