ゲームボーイの自作ソフトが作れちゃうGB Studioで「できる」こと。「できない」こと。(その2/GB Studio2)
はじめに
こちらの記事は、こちらの記事の続編となります。
まだ読んでいない方は、ぜひこちらもどうぞ!
GB Studio2.0 beta5(日本語版)
特徴
ツクール感覚で、ゲームボーイ実機やエミュで動かせるソフトがつくれちゃう「GB Studio(GB Studio1)」。日本では話題にはなったものの、残念ながらブレイクするには至りませんでした。
ですが、プログラミングは無理だけど、ゲームは作りたいという、わがままな人々は少なからずいたようで、世界的には大ヒット(多分)!
とはいうものの、作れるソフトは(ほぼ)「2Dアドベンチャー」に限られていたため、続編の開発が期待されていました。
そして、満を持して発表された「GB Studio2」!
アクションゲームやシューティングなどなど、GB Studio1では実現が難しかったいろいろなゲームを作成することが可能になり、製作の幅が大きく広がったのが特徴です。
ということで、早速「GB Studio1」→「GB Studio2」で、新しくできるようになったこと、まだまだ苦手なことの2つを紹介したいと思います。
なお、ここに書かなかったことでも、細かい修正は多数あります。
今回は自分がゲームを作るに当たって、特に「変わったね!」と思った部分を書いていますので、あらかじめご了承ください。
新しくできるようになったこと
「ゲームボーイカラーのゲームが作成可能に!」
GB Studio1では叶わなかった、ゲームボーイカラーのゲームが作成可能になりました。
また、複数のパレットを設定できるので、キャラクターごとに色を変えたり、パレットを切り替えて、背景を疑似アニメーションさせたりといったこともできるようになっています。
「スーマリのような2Dアクションが作成可能に!」
「グラディウスのようなシューティングが作成可能に!」
「ポートピアのようなアドベンチャーが作成可能に!」
…と、見出しをまとめて書いちゃいましたが、前作では2Dアドベンチャーステージしか作れなかったのが、GB Studio2では大幅にパワーアップ!
それぞれのシーンごとに、以下の5つからタイプを選べるようになりました。
(Top Down 2D)
2Dアドベンチャーステージを作成できます。
前作(GB Studio1)とほぼ同じイメージで作成が可能です。
(Platformer)
スーパーマリオブラザーズのような、2Dアクションゲーム(キャラクターがジャンプするゲーム)を作成できます。ジャンプの高さや、Bダッシュの速度、移動時の加速度などの設定も可能です。
(Adventure)
ゼルダの伝説(GB版)のように、8方向に移動するゲームを作る時のモードです。ただし、バグがあるため動作がとても不安定です(後述)。
(Point and Click)
ポートピア連続殺人事件や、逆転裁判のように、カーソルを動かして、画面内を調べたり、コマンドを選択したりできる、ポイント&クリック型と呼ばれるアドベンチャーゲームを作成できます。
(Shoot Em’ Up)
グラディウスのような、横スクロールシューティングゲームを作成できます。
「キャラクター毎の制御が可能に!」
前作では、アクターと呼ばれる主人公以外のキャラクターは「ランダム移動」または「移動しない」の2つしか移動方法を選択できませんでしたが、GB Studio2ではアクター毎に細かく設定をすることが可能になりました。
また、GB Studio1では同時制御ができなかったため、主人公とアクターは、基本的に交互に動かすしかありませんでしたが、この問題も解消されたため、主人公とアクターを同時に動かすことが可能に!
このことにより、アクターが指定された動作を繰り返す、主人公を追いかけてくる、近づくと攻撃してくる…などといった、複雑な動きも可能になったため、2Dアドベンチャーステージでも、アクション性の高いゲームが作れるようになりました。
「キャラクターのナナメ移動などが可能に!」
細かい修正ですが、今までは「タテ」or「ヨコ」しか動かせなかったアクターを「ナナメ」に動かすことが可能になりました。
ナナメといっても「ナナメ45度」のみですが、タテ/ヨコの移動と組み合わせることで、8の字を描いて動くキャラの設定なども可能となったため、アクションゲームやイベントなどでキャラクターを動かす時に、かなり便利になっています。
また、キャラクターをタテ&ヨコに動かす時に、最初にタテに動き出すか、ヨコに動き出すかを決めることが可能となったほか、障害物に当たったらストップする設定も可能になりました。
こちらも予期せぬ方向に動いちゃったり、空中や壁を突き抜けて進んできたりといった移動バグが減るため、地味に便利な変更点です。
「キャラクターのスプライトを変更可能に!」
今までは主人公のみ変更可能だった、スプライト(キャラ画像)の差し替えが、すべてのアクターで可能になりました。
これを利用することで、例えば、キャラクターを倒すとやられた時の画像に変更する、人間に変装していたキャラクターが一斉にモンスターに変身するなどといったイベントが簡単に作れるようになりました。
なお、こちらは、GB Studio1でも作れないことはなかったのですが、2種類のスプライトを「表示/非表示」で切り替えて表現するしかなかったので、スプライト数不足(GB Studio1だと1画面に9個しか設置できなかったのです)になりがちでした。
「スプライトを画面内に固定することが可能に!」
アクターなどのスプライトは、画面スクロール時に同時にスクロールして(動いて)しまいますが、画面内にピン留めしておくことができるようになりました。
これにより、現在の武器を左上に常時表示する、HPバーを常時右下に表示するなど、アクションRPGやシューティングなどでとても便利です。
それ以外にも、画面中央にガンサイトを固定したガンシューティングゲームを作る、固定したキャラクター(幽霊とか)に画面内のアクターが重なるとイベント発生・・・などなど、アイデア次第でいろいろと使える機能ではないかと思っています。
「武器を出す、弾を発射する、ヒットする!」
ゼルダの伝説っぽいゲームを作る時に必須なのが、「武器を振る(出す)」「弾(武器)を発射する」ということと、敵にその武器などがヒットするということ。
GB Studio2では、武器を振る(Item:Attack)、弾を発射する(Item:Launch Projectile)という命令が追加されたため、簡単に作れるようになりました。
また、アクターには3種類の当たり判定から1つを選んで設定できるため、例えば、「敵」「宝箱」「武器」のように設定しておけば、敵に武器がぶつかったら敵が死亡、主人公に宝箱にぶつかったら宝箱が開く演出などといった処理(分岐)も簡単に作れるようになりました。
ちなみに、アクター(敵)も同じく武器を出せますので、攻撃してくる敵の作成も簡単です。
まだまだ苦手なこと
「横スクロールアクション面のBとAが逆!」
スーパーマリオ的なゲームを作成できる「Platformer」タイプでは、ジャンプが「B」、ダッシュが「A」と日本と逆の設定なので、地味に操作しづらいです(変更不可)。
なお、GB Studio3では、ボタン設定を行えるようになったため、この問題は解消しています。
「文字を任意の場所に表示できない!」
色々なことができるようになりましたが、テキストボックスという下から開くタイプでしか文字を表示できないため、RPGでいうところの、ステータス画面の表示は未だに苦手です。
文字が無理なら、スプライトで表示すればいいじゃん!
・・・と、思うかもしれませんが、スプライトは5つ以上並べられない(ファミコンとは違い1個が完全に消えちゃいます)、1画面10個までしか配置できないという制限(GB Studio2の制限)があるため、以下のような簡単なステータス画面ですら表示が難しいのが現状です。
なお、GB Studio3では、テキストボックス拡張表示のプラグインでお茶を濁したり、タイルの置き換えなどで表示することが可能ですが、前者はやはりテキストボックス感が残ってしまうこと、後者は1文字ずつ「表示位置」と「表示する文字」を指定する必要があるうえ、プログラミングに近い作業も伴うため、簡単に・・・とはいかないのが現状です。
「当たり判定が設定できない!」
アクションゲームやシューティングゲームを作れるようになったのは良いのですが、GB Studio2では「当たり判定」の設定ができません。
そのため、弾幕シューやアクションゲームを作りたいと思っても、古き良きファミコン時代を思い出すような、見た目どおり(見た目以上)の巨大な当たり判定となってしまうため、どうしても難易度が高く…というかクソゲーになってしまいがちです。
ちなみに、GB Studio3ではこの問題も解消しており、アクション的要素を含むゲームのゲームバランスがとても取りやすくなっています。
「画面外のアクターが動かない!」
アクションゲームでは、前に進んだ後に、後ろに戻るということも多々ありますが、GB Studio2では「画面外に出てしまったアクターの動きはストップ」してしまいます。
そのため、スクロール後の画面に再度戻ってくると、本来であれば歩き続けていなくなっているはずの敵キャラがまだ残っていたり、敵が発射した弾が画面上に残っていたりという、不都合が生じてしまいます(下の例だと、コウモリのフンを避けて先に進んだのに、後ろに戻ったら突然目の前にフンが出てきて死亡・・・みたいなことが起こります)。
こちらの問題もGB Studio3では解消済みで、「画面外でも動き続ける(Keep Running While Offscren)」という設定が可能になりました。
「プレイヤーをナナメに動かせない!」
プレイヤーを8方向に動かせる「Adventure」モードはあるのですが、バグがあるため利用がためらわれます。
実際に動かしてみた時も変な動作になることが多く、踏んでいないトリガーが発動しちゃったり、エミュがフリーズしちゃったりと中々大変でした。
とはいえ、そんなGB Studio2でも、たとえばエンジンと呼ばれるコアとなるプログラム(C言語です)にナナメ移動の命令を追加するだけで、簡単に実装することは可能です。
ですが、ノンプログラミングでゲームが作れちゃうではなくなっちゃうため、ここでは省略します。
なお、ガッチリと試したわけではありませんが、GB Studio3では「Adventure」タイプの動作が安定したようで、上記のステージもノンプログラミングで作成でき、安定して動作しています。
また、GB Studio3では、タイル(8ドット)単位ではなく、ピクセル単位で移動を指定できるようになったため、ナナメ60度などといった複雑な動きを取らせることも可能になりました。
そのため、ランドストー・・・スーパーマリオRPGのような、ナナメ視点から見たゲームも作れますが、CG作成や当たり判定の設定などが死ぬほど大変です。
「効果音を出すのが大変!」
GB Studioでは、音楽を再生しながら効果音を再生できますが、「Tone」「Beep」という単音(高さと長さを設定可能)または「Crash」というクラッシュ音(バシャーンって音)の3つしか選択できません。
しかも「Tone」はチャンネル1(矩形波)を、「Beep」はチャンネル3(波形・使ったことないけど多分ここ)、「Crash」はチャンネル4(ノイズ)を利用して音を出すため、再生中の音楽の該当するチャンネルの音が一時的に消えます。
また、再生中の音楽と効果音で、優先順位をつけられないため、効果音が鳴るとメインミュージックの該当する音が消え、メインミュージックで違う音が鳴ると効果音が消え・・・と、使いづらいのが現状でした。
もちろん、こちらの問題もGB Studio3では解消されており、WAV(音声なども使えます)や多数の効果音(フリー素材もあります)が再生可能になったほか、音の優先順位の設定も可能となりました。
「スプライトの枚数が足りない!」
一つのシーンには、10個までアクター(スプライト)の設定が可能ですが、なんとアニメーションは合計25枚までしか設定できません(主人公を含む)。
そのため、ゼルダっぽいゲームを作ろうと思っても、主人公でアニメーション6枚(上下左右/左右は反転のため8枚ではなく6枚となっています)、武器もアニメさせるら6枚と、敵キャラも6枚、敵の武器も6枚・・・と、なるので、主人公・武器・敵・敵の武器の4種類のスプライトを使っただけでほぼ満杯!
こうなると、宝箱や他のキャラクターの設置も難しいため、例えば敵キャラは下向きのみにする、敵の武器はアニメさせないなど、かなりの制限をしないとゲームが作れませんでした。
そして、ここまで書けばお分かりのとおり、こちらの問題もGB Studio3では解消されており、デフォルトで96枚までアニメーションが使えるようになっています。
おわりに
ここまでを読んだ方は、なんだ、じゃあ最初から「GB Studio3」使えばいいんじゃね?・・・と、思うかもしれません。
ですが、基礎あってこその「GB Studio」(テストに出ます)!
1を触ってみないと、2は大変だなと感じますし、2を触ってみないと3は大変だと感じます。
ですので、1も2も触らずに3を触ったら、大変×大変=なんだこれ訳が分らん!となってしまい、結局ゲームは作れませんでしたとなること必至!
(プログラミング経験者や、根性がある方を除く。自分は無理です・・・)
現時点で、一番作りやすいのは1の日本語版、そこそこ作りやすくて色々なことができるのが2の日本語版ですので、ぜひ1から、いや1からはちょっと・・・という方は、せめて2から始めてみましょう。
最後に、今回紹介した「GB Studio2」の日本語版は、「GB Studio1」の日本語と同じく、CUBIC STYLEさんのサイトからダウンロードが可能です。
興味を持った方は、ぜひダウンロードしてみてくださいね!