マッドマックス2旅行ガイド
マッドマックス2の40周年記念祭も迫っている今、オーストラリアへのマッドマックス旅行を計画している日本人が全国に多数存在しているはずだ。ゆかりの地がメルボルン近郊に集中している初代マッドマックスならともかく、マッドマックス2の聖地はご存じの通り砂漠のど真ん中にある。特にマッドマックス2ミュージアムはオーストラリアに存在する最大のマッドマックス関連施設でありながら、行ったことのある日本人はあまり多くないかもしれない。
というわけでマッドマックスのためにメルボルンに居住した筆者が、居住者ならではの視点からマッドマックスに特化した旅行情報をまとめてみた。計画段階でご一読頂くと、旅が快適になると期待されます。
そもそもどこに行けばいいの?
マッドマックスはオーストラリア映画。初代マッドマックスの主なロケ地はメルボルン近郊。マッドマックス2の主なロケ地はブロークンヒルとシルバートン。サンダードームはシドニー周辺とクーバーペディ。怒りのデスロードはオーストラリアで撮影予定だったが、いろいろあってナミビアへと変更された為ロケ地はアフリカ大陸。
マッドマックス2ゆかりの地に行きたい人は、ニューサウスウェールズ州のブロークンヒルに到達し、そこからシルバートンを目指すことになる。
シルバートンには貴重な写真や展示が見られるシルバートンホテル、マッドマックスミュージアム、そこから10分走れば最初のシーン等が撮影されたムンディ・ムンディ ルックアウトがある。細かいロケ地はここでは省略。マッドマックスミュージアムで聞いてくれ。
ブロークンヒルへのアクセス
ブロークンヒルはメルボルン市街から車で1000キロ離れたアウトバックと呼ばれる荒野に存在する街で、容易にはアクセスできない。
・車/バイク
・飛行機(シドニー、メルボルン、アデレード、ダッボ、ミルデュラから)
・列車(シドニーから週1本、ダッボから毎日)
・バス(アデレードから毎日)
ブロークンヒルには小さな空港があり、飛行機で飛ぶと早いがマイナー航路なのでチケットは割高。オーストラリアの都市の中ではアデレードが一番近く、陸路でも6時間ほどで到達できる。
荒野とは言ったが結構大きな街なので、ホテルやショッピングセンター、立派なビジターセンターなど一通り揃っている。
どこを拠点にするか
シドニー
シドニーを拠点にする場合は、日本⇔シドニーの安い直行便を狙って航空券を安く抑えられる可能性が高い。この利点を利用し、国内線に予算を割いて一気にブロークンヒル空港まで飛ぶのがおすすめ。
列車は Central Station から Broken Hill Station まで NSW TrainLink の直通列車 Broken Hill Outback Explorer が週1本。またはダッボ(Dubbo)から XPT Train が 毎日出ている。→ https://transportnsw.info/regional-bookings/
直通列車は13時間かかり、週1本なので自動的にブロークンヒルに1週間滞在することになる。ダッボ乗り換えの XPT なら毎日列車があるが接続は悪く、シドニーからダッボがまず遠い。
また、有名な大陸横断鉄道インディアン・パシフィックもブロークンヒルを通るが、これは飛行機より高い豪華列車なのでなんだか目的が違ってくる。
シドニー空港は市内へのアクセスが良く観光もしやすい。サンダードームに出てくるブルーマウンテンの洞窟にも行ける。
シドニーからレンタカーでブロークンヒルまで行くのは大変。1日では辿り着けない距離であるのと、中間地点に大きな街がないのでやりにくい。車で長距離走りたい人にはメルボルンやアデレードがおすすめだ。
メルボルン
メルボルンを利用する場合は、国内線に乗り換えてブロークンヒルまで飛ぶか、レンタカーの2択と考えよう。空港でレンタカーを借りてブロークンヒルまで走破するなら、片道11時間は見ておくといい。ドライバーが数人いれば気合で走破可能だが、途中のミルデュラで1泊すると安心。トイレや給油が点在しているのでシドニーから走るよりも楽。
メルボルンを拠点にすれば、ついでに初代マッドマックスの聖地巡礼ができる。時間がたっぷりあるならおすすめだ。ちなみにメルボルン空港は市内へのアクセスが悪く、鉄道駅への唯一の交通手段は片道20ドルのバスになる。
メルボルンからバスや列車でブロークンヒルまで行こうとするのは接続が悪いのでやめよう。そういうことをするならアデレードがおすすめ。
アデレード
アデレードはブロークンヒルに1番近い都市。ブロークンヒルという地域はニューサウスウェールズ州に位置しているが、1番近い都市が南オーストラリア州のアデレードである為、タイムゾーンや郵便の区分は実は南オーストラリア州準拠になっている。
その為、ブロークンヒルへの交通網は圧倒的にアデレードからが有利で、陸路で行くなら最適。直通バスがあるのもアデレード発のみ。車を運転しない人はバスで行けるし、運転する人ならレンタカーを借りてハイウェイを走れば6、7時間で到達できる。不利な点があるとすれば日本からの直行便がないことで、シドニーよりも航空券が割高になりやすい。
(ブロークンヒルへの直通バスはAdelaide Central Bus Stationから出ている。ここから検索。→ https://transportnsw.info )
サンダードームの地下都市クーバーペディを見たいならアデレード一択(※ブロークンヒルより遠いが)。アデレードにはオーストラリア唯一の国際自動車博物館もあり、ここにはサンダードームのビッグフットの実車が展示されている。
シルバートンホテル
ブロークンヒルから車で30分のシルバートンに着いたらまずはここ、シルバートンホテル。数々の映画の舞台となったシルバートンの貴重な休憩施設であり、マッドマックス2はもちろん、いろんな映画のお宝が展示されている。ホテルと書いてあるがオーストラリアのこういうホテルはほとんどバーなので、気軽に入ってご飯を食べよう。ホットドッグが名物。
宿泊したい場合は公式サイトから直接予約。
マッドマックスミュージアム
ここまで行くなら絶対に見たいのがマッドマックスミュージアム(Mad Max 2 museum)シルバートンホテルに辿り着いたなら目と鼻の先にある。
個人経営の小さい博物館だが、品揃えは世界一。2の展示を中心に、怒りのデスロードなども押さえている。入館料は変動する可能性があるが、2019年現在で10オーストラリアドル、現金のみ。館内ではグッズも購入できる。
真夏のシルバートンはおよそ人間の住める気温ではないので、閑散期となりミュージアムが長期休暇に入ってしまう可能性がある。営業時間や休暇の予定はフェイスブックで確認できるが、わからなければ連絡を取ってみよう。
ムンディムンディ・ルックアウト
マッドマックス2の最初のシーンが撮影された最高のロケーション。シルバートンホテルからさらに車で5分、看板が見えてくる。道は一本だけなので迷うことはない。
携帯
行き先がわかったらここからは具体的な準備に入る。オーストラリアには大手携帯会社のテルストラ、オプタス、ボーダフォンの3社がある。マッドマックス2の聖地を旅するのならおすすめはテルストラだ。ブロークンヒルやシルバートンなどの荒野ではテルストラしかつながらないような場所が多い。オーストラリアの国際空港なら空港内に携帯会社があってプリペイドの現地simを簡単に購入できるので、俺は荒野に行く!という人はテルストラを選んでおけばとりあえず間違いないだろう。逆に荒野に行かない人はどれでも安いやつで大丈夫。たぶんオプタスがちょっと安い。
現地simとかわかんない!という人は日本でポケットwifiを借りるかもしれない。楽だが通信会社が選べないかもしれないので注意が必要。まあ荒野で圏外になると不便だがたぶんなんとかなるので諦めなくていい。
レンタカー
インターネットで予約しておくと安心。レンタカー会社によっては空港からだいぶ離れている場合があるのでよく確認しよう。(そういう場合はシャトルバスがある)
レンタカー会社の営業時間にも注意。国や地域や会社によっては営業時間外でもレンタカーを返却できるが、オーストラリアでは営業時間内にオフィスのスタッフに鍵を渡して返却するのが基本。大きな空港にあるレンタカー会社は年中無休で営業時間が長めだが、空港から離れたところ、市内、田舎町、などといった地域のレンタカー会社は「平日9時から12時まで、土日祝日は休み」とかいうふざけた営業時間のところも多い。自分の日程と照らし合わせてしっかり確認しよう。
ブロークンヒルなどのアウトバックへ行く場合、どんな車を借りればいいのか?道路はどんな感じなのか?普通の車で走れるのか?
これに関しては、どんな車でも基本的には問題ない。ブロークンヒルやシルバートン、ムンディムンディまでの間にダートはないし、道路はしっかりしている。あと工事で道路が剥がされて何キロも未舗装道路を走らされることが稀にあるが、普通の車で走れるようになっているので慎重に走れば大丈夫。
人里離れた細かいロケ地の見学やキャンプイベント等への参加を予定している場合は四輪駆動のトラックやSUVがおすすめ。もちろんバイクでもいいぞ!
タクシー
オーストラリアの都市部ではUberがおすすめ。タクシーよりも安く上がる場合が多く、タクシーよりも清潔で安全。オーストラリアではOlaというインド系のUberみたいなサービスもあって、Uberよりさらに安くてクーポンも充実しているので上級者はこちらを試してみてもいい。Uberと同じく、スマホでアプリをダウンロードして簡単登録。ぶっちゃけ言うとみんな兼業しているのでドライバーもUberと同じ。
ただし、ブロークンヒルなどの田舎ではどっちも使えないので諦めてタクシーを使おう。
ツアー
電車やバスや飛行機でブロークンヒルに着いたはいいけど俺は車を運転しねーぞという方は現地でタクシーとかぜんぜんいなくてびっくりすると思う。しかしそんな方でも安心のツアーが存在する。残念ながらマッドマックスツアーと呼べるものは確認されていないが、ブロークンヒルから出ているいくつかのツアーにはマッドマックス関連のロケーションが含まれているものがある。
私はツアーを使ったことはないのではっきりしたことは言えない。予約の前にマッドマックスミュージアムに行けるかどうかメールで問い合わせておくといいだろう。ツアーはオンラインで予約できるが、最低敢行人数というものがあるので一人旅の人は注意。予約しないで現地まで行ってしまった場合は、ホテルかビジターセンターでツアーなりタクシーなり手配できるので聞いてみよう。特にブロークンヒルのビジターセンターはとても親切!
ツアー会社のリンクはこちら↓
買い出し
オーストラリアは物価が高いのでくれぐれもそこら辺の個人商店で大量の物資を買い込まないように。おすすめは大手スーパーColesやWoolworsだ。年末だろうが年始だろうが田舎だろうが夜だろうがだいたい開店しており、値段も良心的である。田舎のほうに行くとIGAというのもあってこれもまあ悪くない。あとドイツ系の激安スーパーALDIもある。
オーストラリアでは多くの飲食店が4時や5時で閉まる上、小さな商店は土日開いてないなんてことが多い。祝日なんかはスーパーも閉まるので特に注意が必要だ。それからオーストラリアの大手スーパーでは無料の袋をくれないので、バッグを持参するか諦めて有料の袋を買おう。
タバコ
オーストラリアのタバコは目ん玉飛び出るぐらい高いのでくれぐれも買わないように。……とはいっても日本から旅行で持ち込めるタバコの数は限られているのでどうしても必要になる人もいるだろう。そういう場合は仕方ないから前述のスーパーColesやWoolworsで買おう。1箱2000円ぐらいで勘弁してくれる。
僻地でタバコが切れたらバーが助けてくれるかもしれない。オーストラリアのバーは「HOTEL」の名を冠していることが多いので、ナントカHOTELって書いてある店を探そう。バーによってはタバコの自販機があって、まあ1箱3000円ぐらいするので覚悟を決めよう。ちなみにオーストラリアはレストランもバーもナイトクラブも屋内はほぼ禁煙なので気を付けてくれ。
ハエ
オーストラリアはハエが多い。荒野に車を停めて乗り込む時など、車の中にハエが入ってきてしまったら、窓をほんの少しだけ開けて走ることで少しずつ追い出すことができる。おすすめは諦めて窓を全開にして自然と一体化することだ。慣れよう。目の前に紐がブラブラぶら下がっているハエ除けの帽子が売っているがあまり効果があるとは言えずたぶん買っても意味ない。本気でハエが無理な方は蜂蜜農家が被るような網のやつを買おう。
カンガルー
オーストラリアで運転するならカンガルー飛び出しに注意しよう。特に注意すべきは明け方、夕方、そして夜間だ。彼らは車のヘッドライトに引き寄せられて道路に飛び込んでくるので、夜間の運転はお勧めしない。カンガルー多発地帯はどうしてもゆっくり走る羽目になり、時間通りには到着できない。カンガルー飛び出し注意の標識があるエリアは、明るいうちに通り過ぎることを心がけよう。ちなみにカンガルー以外にも、ウォンバットや羊や鳥やウサギも轢かれやすい。
アデレードの周辺は特にカンガルー多発地帯が多い。どこを拠点にするにしても、車での移動は時間に余裕を持たせよう。
レンタカーの保険は事前にしっかり確認しておかないと、野生動物との接触は保障されない可能性もある。
交通ルール
日本人には嬉しい右ハンドルで、基本的なルールは日本と同じだが、大きく違って戸惑うのは踏切前で一時停止してはいけないところか。踏切前で一時停止するのは大型車だけなので、一般車はそのまま通り過ぎよう。
ランドアバウトとかロータリー式とか呼ばれる独特の交差点については出かける前に一度ググっておいてください。
メルボルンとアデレード(もうすぐシドニーにも)には路面電車が走っており、街の中心部では自動車であっても原付みたいな二段階右折をしなくてはならない狂った交差点がたくさんある。慣れればなんてことないが、とりあえず出かける前に「メルボルン フックターン」とかでググっておき、なるべく近づかないようにしよう。
オーストラリアでは速度制限をしっかり守らないとすぐにカメラで撮られて罰金を支払う羽目に。80キロと書いてあったら80キロをオーバーしないように走ろう。殆どの車には一定の速度で走ってくれるオートクルーズがついているので、それを活用すると楽チン。レンタカーする時にオフィスの人に使い方を聞こう。
駐車標識
駐車も要注意だ。都会で間違ったところにうっかり停めると、気づいた時にはワイパーに駐禁切符が挟まっている。罰金はだいたい5000円から5万円ぐらい。切符の裏に書いてあるサイトにアクセスしてオンラインで支払う。 超簡単!
駐車の際はこういうのを解読する。
「P」は最大駐車可能時間で、1Pなら最大1時間。その下に何も書いてなければ無料、「METER」「TICKET」と書いてあったら有料。
その下は最大駐車可能時間が適用される時間帯。
この場合「月曜日から金曜日の7時半から18時半、及び土曜日の7時半から12時半の間は有料で1時間駐車できる」ということだ。逆に言うと、それ以外の時間帯は好きなだけ停められる。
左の「LOADING ZONE」は荷物の積み下ろし専用の停車スペースなので停めないが吉。ただしこの場合は時間帯が書かれているので、平日の夜や土日は駐車可能。
1/2Pは30分の意。無料で30分まで。ただしポールの右側はSなので絶対停めてはいけない。
無料で斜め駐車で1時間まで。日曜日などは一日中停められる。
有料駐車場は日本と違って先払い。「TICKET」の駐車場なら何分停めるのか先に決めて入力し、支払い後にチケットが発行されるので車内の見えるところに置く。「METER」の場合は手順は同じでチケットレス、有効時間が画面に表示される。「1P」の駐車場ならここで最大1時間までしか払えなくなっている。
なお「C」に停めると通報されてレッカー、障害者マークに停めると罰金額がとんでもないことになるので、絶対に停めてはいけない。
ガソリン
オーストラリアではガソリンはペトロール、ガソリンスタンドはぺトロールステーションと呼ばれる。全部セルフで、入れ方はいくつかパターンがある。オーストラリアでは基本的には日本と同じで後払いが多い。自分でノズルを突っ込んで給油したあと、併設されているコンビニに入っていってレジで自分が給油した機械の番号を言って支払いを完了する。「ペトロール!ナンバー5!」とか大きな声で叫んでおけば問題ない。ノズルを突っ込む前にボタンをポチポチ押して何リッター入れるか決められたり、その場でクレジットカード突っ込んで支払いできるところもある。
ちなみに燃料の値段は、ざっくり言うと都会ほど安く田舎ほど高い。
アウトバックを目指すなら、荒野の道路に給油できるポイントは意外と少ない。とにかく早め早めの給油を心がけよう。
南京虫
世にも恐ろしい害虫。ベッドバグと呼ばれる。モーテルなどに宿泊する際、運が悪いとベッドにこいつらが住んでおり寝ている間に全身くまなく刺されてかゆかゆになってしまう。とても小さな茶色い虫なので、万が一ベッドでそんなのを見かけたら警戒してスタッフに連絡しよう(対応してくれるかは知らないが……)
お金
キャッシュレス社会のオーストラリアでは何でもかんでもカードで支払えるので、旅行前に自分のクレジットカードのPINコードを確認しておこう。
大量の現金を持ち歩く必要はないが、マッドマックスミュージアムなど現金払いのみのところもあるのでしっかり用意しておいたほうがいい。
レストランなどでチップを渡している人を見かけることがあるが、この国ではチップは必須ではないのであまり気にしなくていい。もちろんあげてもいいぞ!
気候
ブロークンヒルはステップ気候なので基本的に年中晴れて乾燥している。冬は寒くて夏は暑いのでそれなりの装備をしていこう。夏は水を忘れずに。あと当たり前だがオーストラリアは南半球なので季節は日本と真逆、日本との寒暖差で体調を崩さないように気を付けよう。
おわりに
ここでは思いつく限りのお役立ち情報をまとめたが、実際にメルボルンからブロークンヒルまで行った時の旅行の思い出を綴った記事も参考にどうぞ。また、マッドマックスファンのための旅行ガイドを同人誌にて制作予定なので、その時はよろしくお願いします。