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人間関係の悩み

人は誰しも、学生時代や仕事、町内で少なからず人間関係で悩んだ事があるかと思う。
特に仕事など、社会で不特定多数の人間と関わる場合にはそれなりの人間関係で精神的な負荷がかかる。
人はひとりでは生きていけないし、生活も仕事もできないだろう。
しかし、過剰な精神的な圧迫を受け続けると、精神疾患になる可能性は大である。

「返報性」と言う言葉がある。
心理学では、「返報性の法則、返報性の原理」
と呼ぶらしい。

これはひと言で言えば
「恩を感じ、恩に報いるこころ」
である。
言い換えると「貸し借り」のやり取りとも言える。

これは例えば、親切な対応をすれば、お客に商品を購入してもらえると言ったものである。
一見して良いことの様に思えるが、立場を逆にしてみよう。
つまり「店員に親切にしてもらったからには、何か商品を買ってあげなければならない」と言う心理的負担になるのだ。
この返報性を利用して、商売や人間関係のやり取りを人間はしてきているのだが、問題は次の場合である。

・職場の上司に食事をご馳走された
・職場の同僚にお菓子を貰った
・近隣の住民にお裾分けを貰った

などである。

この場合、人によっては2種類の受け止めかたがある。
ひとつは、単に「助けてもらってありがとう」
「ご馳走してくれてありがとう」
で全てを完結する人。
これは、恩知らずなのでは無く、お礼を言葉にすることでそれ以上でも以下でもないという考えである。
この様な思考の人はおそらく日本人には少ないであろう。だが「借りを作った負い目が無い為、恩返しに苦心する事がない」実に楽観的だ。
これなら精神的な負担は皆無だ。
だがもうひとつの思考の人は精神的に危ない。
それは「何か施しを受けたからには、返さなければならない」と言う強迫観念にも似た追い詰められ方をする人間だ。

これだと会社だろうと何処だろうと、ものすごく苦労する。
誰かに食事をご馳走してもらった場合、それが職場の同僚なら、今後は仕事でその人を助けなければならないと思い詰めるだろう。
その人の派閥に加わらなければと追い詰められる場合だってある。
結果として、仕事では苦労に耐えられても、その様な人間関係の渦でもがき苦しみ退職する人は多いと思われる。

一方でご馳走した側も、そういう企みがあって接している可能性だってある。
だから時として「お前、あれだけしてあげたのに裏切るとは何事だ!!」と、トラブルになるのである。
つまり、仕掛ける側としては、返報性の原理を悪用している事になる。

自分よりも長年勤めているパートのおばさんからアメを貰った事で、今後はその人と仲良くしなければという考えに至ってしまうのだ。

だがこの返報性の法則、原理は欧米人には通用しない。
「ご馳走になった→ありがとう」
で完結するのだ。
奢った人はお金に余裕があったから、ご馳走した。
ご馳走になった人は、お金が節約できて助かったから、ありがとうとお礼を言った
それだけなのである。

振り返って日本はどうか?
大河ドラマなどを観ている人は分かりやすいと思うが、公家、武士の世の中で描かれている物語はほとんどが「他人へのゴマすり、ご機嫌取り」
である。
人をおだてる事で出世したりするのだ。
この文化は日本人特有のものであると言えよう。
だから他人への気苦労が絶えないのだ。

残念なことに、この文化は脈々と現代社会に受け継がれている。
だから「貸しをつくる」「借りをつくる」
事に必死に対応してしまう。

ハッキリ言って日本人ぐらいである。
ここまで他人からの評価を気にしたりするのは。

欧米では他人が自分をどう評価しようと、それはその人の考えなだけとするからアッサリしている。それが不当な評価なら、裁判などで争えば良いだけのことなのだ。

日本人は良くも悪くも「事なかれ主義」である。
裁判などの表沙汰になるのを凄く嫌う。
白黒ハッキリさせるのも嫌がる。
逆に「まあまあ、その辺で」
とお茶を濁すのが得意だ。
だが決着をつけなければ火種を引きずる事にもなりかねない。
事なかれ主義とは、逃げの文化でもあるのだ。

話をまとめよう。
つまりは、受けた恩はお礼を言うだけで完結すれば物事を引きずらなくて済むという話なのだ。
・ご馳走になった(だけ)
・仕事を助けてもらった(だけ)
など、「〜だけ」で済ませば精神的に悩む必要は全く無いのである。
欧米人の考えを取り入れることで、日本人のいわゆる「恩着せがましい行動」に振り回されなくて済むのだ。

それにより自分の敵が増えたなら、相手の方が間違っているという姿勢でも良いと思う。
とかく日本人は、恩には報いなければとの思考があるが、それを逆手にとって利用してくる輩もいることを忘れてはならない。

いちばん大事なのは仕事の成果でもなければ人間関係でもない。
自分自身の生活がいちばんに考えるべき事なのだ。それをおそろかにするほど辛い生き方は無いのだから・・・。

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