ヘンデルの合奏曲 ― 最良の“片手間”仕事
中部ドイツの街ハレで生まれ、ロンドンで活躍し、のちにイギリスに帰化したヘンデルをめぐって、ドイツとイギリスの間ではいまだに国籍論争が続いている。生まれたのはドイツなのだからヘンデルはドイツ人だ、という声にも一理あるし、おもな活躍の場所がロンドンでイギリスに帰化したのだからイギリス人だ、という主張ももっともだ。この問題は案外に根深い。イギリスのエリザベス女王は2009年、没後250年を記念するハレ・ヘンデル音楽祭に寄せた挨拶の中でさえ、「ヘンデルが人生の大半を過ごし、名作を多数生み出した場所はロンドンだ」と書き、ドイツ側に釘を刺した。このようにヘンデルはいまだに、国際問題を引きおこしかねないほどの人気を誇っている。
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