音盤比較 バッハ《ゴルトベルク変奏曲》
鍵盤楽器奏者の実力を知りたいと思ったら《ゴルトベルク変奏曲》を聴くとよい。新旧さまざまな様式、手の交差などの多彩な技術、3変奏ずつ分節できる秩序だった構造。この曲は多様な解釈をゆるす一方、演奏技術の点ではかなりの熟練を要求する。演奏者の「頭」と「腕」をはかるのにこれほど適した作品はない。
アリア―30の変奏―アリアという長大な造りのこの曲。明晰な設計図とは裏腹に、大きな構造を聴き取るのは難しい。しかし押さえるべき要点がないわけでもない。このたびはそこにポイントを絞って、いくつかの演奏を比較しよう。対象はグールド(ピアノ、1955年)、レオンハルト(チェンバロ、1976年)]、コロリオフ(ピアノ、1999年)、シュタイアー(チェンバロ、2009年)だ。
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