『新バッハ全集』は演奏譜?

 18世紀ドイツの作曲家J・S・バッハの作品は現在、1000曲余りが伝承されている。そのすべてを厳密に校訂し、楽譜として出版する大事業 --『新バッハ全集』の刊行が2007年に完了した。
 音楽学研究の香り高い『新バッハ全集』とはいえ「楽譜」だから、「演奏に使われてこそ存在意義がある」という面は無視できない。プロの演奏家にとって『新バッハ全集』とはいかなる楽譜なのかを、いくつかの証言から検証してみよう。

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