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【文化服装学院】日本一オシャレな文化祭に突入してみた

文化服装学院。それは日本屈指の服飾・ファッション専門学校であり、言わずと知れた服飾のプロ養成学校である。

文化服装学院といえば、展示会に販売会にファッションショーと、でたらめにゴージャスな文化祭を開催することで有名だ。2024年度においては11月2日(土)〜4日(月)の3日間、盛大に執り行われた。

公式ホームページより

このような文化祭にわざわざ来るくらいだから、来場者はみなおしゃれなファッションに身を包んだ人ばかりなのだろう。

そういえばファッションというと、独特なファッションで有名なのは東京大学の学生たちである。

誰も彼もが判を押したように地味なメガネとチェックシャツを身につけているため、個体間での識別が非常に難しくなっているのだ。このスタイルは「いかにも東大生(イカ東)」と呼ばれる。

なお最近は多くの学生たちがこの伝統的「イカ東」スタイルから脱すべく、自己流でワックスをつけたり、GUのセットアップなどを買ったりしているらしく、彼らを救済すべく「今風の東大生(イマ東)」と呼ぶ風向きもあるようだ。

しかしどう転んだとて、ダサいものはダサい。学力偏差値は70 でも、おしゃれ偏差値は35くらいだろう。

そんな東大生たちに囲まれていると、自分自身のおしゃれ偏差値が日に日に下がっていくのをひしひしと感じる。筆者は東大に入ってから、自分のファッションセンスに全く自信がなくなってしまった。今や実家に帰省するたびに、実の母親から「みすぼらしくなったんじゃない?」と真顔で心配されている。「通」のつもりで、ゴミ箱から拾ってきた服などを着込んでいるからだろうか。

もしもこんな自分が文化服装の文化祭に放り込まれたら、一体どうなってしまうのだろうか。

おしゃれに囲まれることでいい感じの刺激を受けて、脳回路がおしゃれになってくれやしないだろうか。それとも、おしゃれの暴力に曝されてなすすべもなく死んでしまうのか。

私は現地に赴き、体を張って検証することにした。


いざ、文化服装学院へ

文化服装学院は小池百合子の根城こと都庁の裏側にあり、都庁から最も近い学校の一つである。

おしゃれで有名な百合子が全国のおしゃれ人間たちを惹きつけるのか、都庁の周りは東京モード学園などのおしゃれな専門学校で囲まれている。

あまりのおしゃれさに本まで出ている百合子。

都庁前駅で降り立った私は、それらの学校たちが醸し出すおしゃれさに震え上がりながら文化祭へと向かった。

都庁から10分ほど歩いて到着。入り口には屋台があり、唐揚げ売りのお兄さんが一生懸命呼び込みをしていた。文化祭としては意外と普通な光景に拍子抜けしたが、きっとおしゃれな唐揚げが出てくるのだろう、と思い直した。食べてみたかったが混んでいたため、通り過ぎて入り口に向かうことに。

入り口のモニュメント。東大の文化祭で出てくる無骨な立て看板しか知らなかったので、あまりのおしゃれさにこの時点で挫けそうになった。
入り口横の展示。他者に関心のない孤独死予備軍ばかりの東大では到底お目にかかれないだろう。

見た目はただのビルでも、中に入ってみると清潔感の中にだがどことなく歴史を感じさせる、おしゃれな学び舎だった。何より、エレベーターがあるのにびっくりした。東大にそんなおしゃれなものはない。

私はおしゃれ偏差値を上げるため、隅から隅まで探検することを決意した。まずは上の階から回ってみる。

各教室にはこういう感じで、生徒が作成した作品がずらりと並べられていた。このような展示をおしゃれピープルたちが静粛に鑑賞しているのだが、葬式のように荘厳なその雰囲気の中、あまりにもおしゃれ偏差値が低いせいか、私は正直どこをどう見てどのような感想を抱けばいいのかわからなかった。

「おしゃれすぎるトー横キッズ」
「ジュリアス・シーザー」
「ポケモンSMのラスボス」
「おしゃれなジェイソン」
「車が衝突したときにブワーッとなるやつ」
おしゃれすぎてコンセプトがよくわからない3体

ちなみにこの写真だが、手前のUSラッパー(?)みたいなやつをよく見てみると、破壊されたスニーカーがキャミソールにされている。

私はこれを見て、文化学園OBであり推しのアーティストでもあるSunny bunnyちゃんという方がだいぶ前にこれと同じことをしていたのを思い出した。

彼女が生み出した伝統が脈々と受け継がれているのを目の当たりにして感動した私は1人で泣いた。

サニバニちゃん。破壊されたPUMAのスニーカーがブラジャーになっている。おしゃれすぎて宇宙人になってしまったようだ。

ちなみに服だけでなく、小物類も展示されていた。

独特な形の鞄。蛇のは形状的に本当にアオダイショウくらいしか入らないだろう。
金属板を糸ノコで切って作ったというアクセサリー。小学校の図工の授業の時糸ノコで小指を切り落としかけたことのある筆者としては、信じられない繊細さである。


どうしよう、まるでまともな感想が出てこない。周りの人たちはふむふむと言いながら見て回っているというのに。リアクションペーパーでゴミみたいな感想文をでっちあげるのは得意なのだが、そのスキルは社会では役に立たないのかもしれない。

絶望を噛みしめていると、ちょうどファッションショーが始まるという時間になった。ファッションショーといえば、東大コスプレ集団の百鬼夜行しか見たことがない。せっかくだからここで本物のファッションショーを見てやろうと、わくわくしながら見に行った。

※東大のコスプレサークル、まるきゅう。楽しそうだな。


ファッションショー

始まった。パリコレ全く見たことないけどパリコレみたいだ。
「不二家のバースデーケーキ」
「エスパー/フェアリー」
「ウルガモス」
最後に出演者全員が次々と再登場し、終了。


どうしよう、やっぱりまともな感想が出てこない。しかし、おしゃれに疎い私でもわかる格好よさだった。別に感動を言語化する必要はないのだ。うん。見れてよかった。


ショーが終わったあとは、外の空気を吸いに中庭に出てみることにした。そこではバザーや野外ライブが繰り広げられていた。

ワッペンやデコパーツが大量に売られている。
古着市場。なぜか隣にはにんにく屋があった。なんで?
喫煙所はおしゃれでもなんでもない場所に追いやられている。喫煙所の扱いが雑なのはどこの大学でも同じなのだなと思った。


全体を一通り見て回り、怒涛のおしゃれに触れた私は何もできずにすごすごと退散することになった。


ちなみに帰った後で写真を見て気付いたのだが、あの場では黒い服を着ている人の割合が妙に高かった気がする。


そういえば東大にも1つだけファッションサークルがあるが、彼らも揃って黒い服ばかり着ており、黒ミサ同好会と見紛うほどである。つまり、


おしゃれな人は黒い。


このことがわかっただけでもこの文化祭にきた価値がある、というものだろう。私も彼らを見習い、これからは喪服で生きていこうと思う。




文責【馬耳内】

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