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公務員の仕事こそkintoneが向いていると思う理由

元山口県職員として約20年勤めた経験と、kintoneによる業務改善の知見を得ていくなかで、「公務員の仕事こそkintoneが向いているな」と思った話です。

公務員が行う業務は、国民全体の奉仕です。
民間のように、営利を目的としていないため、儲かっていないからといって、安易に業務を廃止することが出来ません。

また、環境やニーズの変化が激しくなった昨今、日々の制度改正などに振り回されています。

そんななか、業務の見直しは難しくても、作業を効率化して欲しい。

そして、作業の効率化によって確保できた時間を、民意や現場で起こっていることに向き合ったり、議論したりする時間に充てて欲しいという話です。

公務員の非効率な仕事

私の経験から、非効率だったと思う仕事の例を3つ挙げます。

メールの伝言ゲーム

農業施設の災害復旧業務に携わったときの話です。
災害が発生すると、市の被災報告を取りまとめ、国に報告するという業務があります。

そのときは、大規模な災害で情報が錯綜していました。
私は県の出先で、市の被災報告をまとめて、県庁に報告します。
報告のやり取りはメールで行います。

県庁「最新の被災報告はどれ!?」
出先「さっきメールで送りました!」
県庁「メールが溜まりすぎて分からない!」
出先「今からもう一度メールします!」…

そして内部の情報共有もメールで行います。
まさにメールの伝言ゲームでした。

必要な情報が埋もれる

例えば、国が制度改正の文書を発出。

内容によって色んなケースはありますが、一般的には次のような流れで文書が流れてきます。

国(農林水産省など)→国(出先)→県(県庁)→県(出先)→市町村(本庁)→市町村(支所)や関係団体

これもさっきと同じようにメールで流れます。
そのため、末端まで行くのに時間がかかります。

そして、それぞれの組織によって保存方法が異なります。
データをサーバーに保存する、印刷してファイリングするなど。

こういった文書が日々たくさん流れてくるため、全てを把握することは困難です。
そして、いざその文書が必要になったとき、見つけるのに時間がかかります。

文書だけでなく、過去に行った調査なども埋もれます。
時代は繰り返されるように、過去に行った調査が必要になってくるときがあります。
担当が代わり、その調査をしたことを把握していないため、また一から調査しなおすということもよくあります。

属人化しているので、あの人しか分からない

基本的に一人一人が担当業務を持っています。
表向き、業務は複数名で行うことになっていますが、多くは一人で完結しなければいけない状況です。

これは、組織の風土によって異なると思いますが、私が関係した組織のほとんどは、業務を共有するという風土はありませんでした。

そのため、業務の進捗が共有されないため、クレームが発生しても担当者しか把握していなかったり、特定の情報やスキルを持っている人に特定の業務が集中するという状態でした。

こういった状態は、公務員だけではないと思いますが、使うツールが一元管理されている公務員の職場では、より顕著だった気がします。

公務員の仕事こそkintoneが向いていると思う理由

このように、公務員の仕事はスピードや多くの情報蓄積が求められる一方、仕事環境などの制約により、作業に時間が取られ、本来の業務が思うようにできていないと思います。

このような仕事に対して、kintoneは公務員の作業を効率化してくれるプラットフォームとして最適だと思います。

情報共有が早い

kintoneはクラウドサービスのため、メールのように1件1件やり取りをする必要がありません。
伝言ゲームをしなくていいので、情報漏れやブレが無くなります。

また、必要な情報を一元管理することで、必要な情報を必要なときに見つけやすくなります。

アクセス権やプロセス管理で精度を確保できる

いくらkintoneで情報をすぐに共有できるからといって、間違った情報が独り歩きしてしまうとマズいです。

例えば災害報告において、被災額が1桁間違っていたら大変です。

kintoneなら、組織ごとにアクセス権やプロセス管理を設定できるので、今までどおり、それぞれの組織に与えられた役割(チェックなど)を行ったうえで、正しい情報を上げていくことができます。

必要なところから少しずつ始められる

公務員の組織は、何かを導入するという場面で大きなハードルがあります。
機能、セキュリティ、費用、効果、他の組織の状況…など。
失敗が許されない風土みないなところがあります。
税金を使っているから慎重になるところは良いところだと思います。

kintoneは何かに特化した専用システムでは無いので、一気に予算をかけて構築していく必要はありません。

組織によっては、導入ができないところもあるでしょう。
できる組織から、できる業務だけでも始めれるのがkintoneの良いところです。

こういった考えは公務員の方にも理解されつつあると思いますが、柔軟な考えで検討してはいかがでしょうか?

組織ごとが持っている専用システムを減らす

色んな組織、部署単位などで今まで独自に業務システムを構築してきたため、システムが共有されず、結局、テキストや画像などに落としかえるなどすることがありました。

全ての専用システムを無くすことはできませんが、例えば地図情報などをkintoneで一元化できれば、インフラ施設の位置や災害情報などを関係者で共有することが容易になります。

適切な引継ぎができる

私の職場は、2~3年おきに異動がありました。
異動の際は、業務の引継ぎを行いますが、書類やデータの整理方法が担当ごとに異なるため、伝えるのに苦労しますし、伝えたとしても覚えることはできません。

例えばkintoneでタスク管理をしておけば、タスクごとに紐づく対応履歴が時系列で整理されるため、後任も遡って確認がしやすくなります。

必要な情報を公開できる

外部向けにも必要な情報を公開することができます。

例えば「町内会からよくある質問」集。
kintoneで内部共有しつつ、同じ内容をホームページに公開することができます。
わざわざ同じ内容を転記する必要がなくなりますね。

他にも市と町内会とのやり取りにkintoneを使えば、市の業務も町内会の業務も効率化されます。

さいごに

公務員は大きな組織で動いており、様々な制約の中で仕事をしているので、業務の効率化はなかなか難しいと思います。

ですが、公務員になって本来やりたいことはパソコンの作業ではないと思います。

kintoneを使わなくても、この記事が何かのきっかけになると嬉しいです。

自治体の方向け、kintone Caféをやってみたいなぁと思ったりw

宮城県庁のkintone導入事例がありましたので、よかったらご参考に。

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