よき師に出会う
30くらいまで、赤、白、ロゼ、くらいしか知らなかった私が
あーだこーだと好みを口にするようになったのは
住んでた家の近くに知り合いのワインショップがあって
そこで色んなワインを飲ませてもらえた経験があってのことだった。
もちろん簡単な入門書くらいは読んだし、
品種や産地くらいは、代表的なものを覚えても
作り手も年度もさっぱりわかってないし(笑)、
銘柄にいたっては全然覚えてない。
覚える姿勢すらない(笑)。
でもそういうことをあれこれ覚えなくていいんだよ
ということを言ってくれるソムリエやシェフの人に囲まれてたので
私は美味いね美味いね、この料理にはこういうのが合うね!
とか言って楽しく味わうことだけに専念していたし
きっとこれからもそうだと思う。
それよりも教えてもらうがままに、色んなものを飲んで食べて、
その時の味の記憶を大切にする。
軽い、重い、ミネラルが強い、樽臭が強い、ドライ、甘い、酸味強い、
果実味、華やかさ、渋み、やわらかい、スパイシー、
酵母感が残ってる、微炭酸とかとか
ワインの個性を表現する言葉があれば、
記憶をたどって、必死に説明すると、
プロなら「それはどこの何」じゃなくて
私の欲しい、探してるものの亜種を出してくれる。
それが最高に面白いなと思う。
名前とかランクじゃなくて、
味のイメージマップみたいなものがあって
それをみんなが持ってて、
「この辺!」ってことさえ言えたら、連れてってくれるんです。
でも「この辺!」が言えないと何処にも行けない。
沢山の味の経験を積むっていうのは、その為に一番大事なことなんだなと。
この世の素晴らしいもの全て
味だけじゃなく、多くの文化に関する様々なこと
とにかく「良い」と評価されているものは、端から色々経験して
そういう自分の中の地図を沢山持っていると
色んな人と会った時にすっと話がしやすい。
色んなこと経験して思うのはジャンルは違っても
良いものや、なにかしのジャンルを極めてくると
みんな人格者になるし、似たようなことをいうようになる。
なんか知ってる「風」だけの人が一番マウント屋だし
三流なんだなってことがわかってくるから(笑)
知って「そう」なだけの人のことは
全然気にしなくていいんだってなるし
人生が楽しくなるよねと思う。
そうやって
自分を拡げて、自由にしてくれるよき師に
人生でどれだけ出会えるのかというのは
よい出会いが集まってる場所に飛び込んでいくしかない
と思ってるけど、
自分自身も好奇心を持って、でも謙虚に教えをこうて、素直に感じる
という3点セットを忘れないっていうのが
きっと大事なんだろうなとも思う。
楽しいご飯の場ならともかく
仕事の場面ではなかなかそうは問屋が卸さんというのも
また難しいところなんでしょうけどねぇ(笑)。