目の前のことをフル無視して、結果だけを妄想する。
苦しいことなんて考えなければいいんだ。
俺は高校サッカーで「苦しいことなんて考えなければいいんだ」なんてことを悟ることができた。
俺の高校はいわゆる強豪校で、全国大会の常連高、関西屈指の高校が集まる、関西プリンスリーグに所属していた。
俺は特に、サッカーがうまかったわけでもなく、恵まれた体格で勝負をするタイプの選手だった。入学当初は、最下層チームで試合に出れるか、出れないかのボーダーライン上に立っていて、お先真っ暗、ただ普通の選手だったことを記憶している。
最下層チームでは、トップチームの練習が終わるまで、ランメニューをするという地獄の風習が存在していて、ほぼ毎日走り続けた。
入学当初、70キロ近くあった体重も、3ヶ月を過ぎると、5キロ近く落ちて、顔はげっそりとしていた。
で、この毎日走ることは、評価基準となっており、走れる選手は、上のカテゴリーのチームで試してもらえる頻度が高くなったり、様々なチャンスを授かることができる。
だから、俺は一番を目指した。もともと、負けず嫌いという一面もあったが、それ以上に、入学させてくれて、毎日朝早くからてんこ盛りのお弁当を作ってくれる親にいいところを見せたかったんだと思う。
そんな俺は2年生の時に、インターハイにスターティングメンバーで出場することができた。絶対にありえなかったことを俺は成し遂げたんだ。
最下層チームからトップチームまで駆け上がる、いわゆるジャイアントキリングを起こしたのだ。
その要因だが、確実に走りメニューにある。
俺は、ある時から常に1番を取るようになっていた。相手が3年生であろうとお構いなしに、どんどん抜かし、年功序列の壁を崩していった。
ただ単に頑張ったのではない。悟ったのだ。
苦しいメニューを乗り切る最強の悟りを開いたのだ。
そう、苦しいことは考えなければいいんだ これである。
校舎周り10周走を例に挙げてみる。
1周目 これが終わればあと9周
2周目 これが終わればあと8周
3周目 これが終わればあと7周
お気づきだろうが、これが10になるまでやり続けるんだ。
走っている今の自分をフル無視して、一つ前の結果を出している自分を妄想して、快感を得る。時には1周目から10周目のことを考えていたこともある。
これ、獲得スキルにすれば、本当に最強なんだ。
今でもこよなく愛用している。
目の前のことをフル無視して、結果だけを妄想する。
使いすぎは厳禁だが、辛い時、是非試してみてはどうでしょうか。
こんな俺でも結果を出すことができた、最強のスキル。
今日も頑張ったぜ俺。明日もめっちゃ頑張ろう!
20210805