異物混入、夢と自信
温め続けないと固まってしまう
俺は何か挑戦する時、気合いとか、根性とか、情熱で、自分自身に火をかけ、ブースト状態にする。汗が噴き出て、湯気となり、肺の中でも蒸発が起こり、息が荒くなっていく。周りの人間が「異物」だと認識してしまうくらいに、激アツにする。
これが俺のスタイルだ。負けず嫌いで、プライドが高くて、不器用な俺が編み出した、唯一無二の一撃必殺ってとこだろう。
まぁ、この自分に火をかけるって行為は、悟空の界王拳やルフィーのギアフォースみたいな役割だけじゃなくて、俺の夢と自信の監視と、これらを温め続けるって役割を担っている。
俺の原動力は間違いなく、夢と自信だ。
この二つがあるから、本来の自分の実力以上を出せるし、人より失敗する回数が多い。
だから、俺にとっては欠かせない。他のどんな高価なものとも交換できない、そんな宝物だ。
しかしだ、夢も自信もチーズみたいな生き物で、温め続けてやらないと、味も出ないし、すっかり冷え固まってしまう。
そのまま放置していると、カビが生えてきて一生使えなくなる可能性だってある。
少し厄介だが、完璧な生き物なんて存在しない。その証拠にこれだけ技術を発展させた人間でも他の生き物に簡単に殺される。
そして生き物の根源。生存本能ってのがこいつらにもある。
常に昼間からフルスロットルで動いている生き物が少ないことはみなさんご存知だろう。夜行性、夜行性でなくても狩をするときだけ爆発的なエネルギーを使い、普段は木陰や涼しいところでドッテとしている、そんな生き物がこの世のほとんどを占めている。
そんな生き物からしたら、人間はアホ当然だろう。朝から晩までエネルギーを使うし、本来、体を回復させるための睡眠時間までを犠牲にして、エネルギーを使ったりする。
人間が作り出したお金や概念に惑わされて、無駄なエネルギーを使う。
環境問題ばかりに省エネを推進するが、人間の省エネを推進したほうが、よっぽど価値がある。本来、食べることにしかエネルギーを使わなくていいんだから。
で、夢と自信は、どちらかと言うと、夜行性ではないけど、極端にエネルギー消費をするタイプの生き物だ。
チーズみたいに固まるけど、チーズみたいに溶けて、どんな食べ物とでも相性がいい、抜群の持ち味を出すこともできる。
これが夢と自信の本性だ。
一見、完璧な生き物に見えるけど、超絶めんどくさがり、自分のことだけを考えていて、何かを食べることしか考えていない。そんな、動物的本能が全身から滲み出ている、そんな生き物だ。
で、この生き物の世話をまとめて引き受けてくれるのが、気合い、根性、情熱だ。
灼熱の太陽みたいに、ネチネチしつこいお母さんみたいに、野球部の監督みたいに、夢と自信を飼育してくれる。
腐らしてもダメだし、固まってもダメだし、水分みたいになってもだめ。
ちょうどいいトロトロの、どんな食材とも絡まり合う、そんな万能型生き物に。
マクドナルドに行ったら、必ずチーズバーガーだったなぁ。
好きなケーキ聞かれたら、必ずチーズケーキだったなぁ。
塩梅効いてんなぁ。
2021/08/13