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「萌え絵」はやっぱり記号だった

 絵を描き続けて 2 ヶ月が経とうとしている。過去の絵と見比べても、かなり成長したなあと感じる。だけど、成長したという言葉には当てはまらないのかもしれなくて、どちらかというと法則性を知った感がある。今回は、9 月 8 日の模写と、11 月 2 日の模写とを比べてみよう。ちなみに、どちらも永山ゆうのん氏の漫画「初恋*れ〜るとりっぷ」のキャラクターである。

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 どちらの絵が上手いかと言われたら迷わず下!と答える。誰でもそう答えるだろう。

 まず、線が安定していない。上の絵は絵を描きはじめて 5 日後のものだが、少し線が戸惑っていたり、全体の「絵」としての印象が少ない。帽子は帽子、手は手だったりと見ていて違和感を感じた。

 そして、目のハイライトがなくてヤンデレっぽくも見える。また、左手と右手のサイズが違う。これは元の絵を写そうとして、バランス調整に失敗したのが原因だ。人を描く、という意識もあまりなかったから肘の曲がり方が少し変に見える。ダメ出しし放題。

 まあ、継続は力なりだった。下の絵を見てみると、あまり迷いがない。前回の反省だった手はほぼ等しく描かれていて、ハートマークをつくるのにも成功している。また、目をよおく見てみると、かなり細かく描写している。

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 左の絵は左上と右下に半楕円・半円の切り口を入れてあるが、右の絵ではさらに瞳孔や、丸を意識した線が数多く入っている。これもこの 2 ヶ月で習得したものだ。

 絵をジロジロ見るとはいっても、いつも同じところばかり見ているケースが多い。こんな目の中の模様をよく観察している人は少ないと思う。でも、無意識で見ているのだ。左は何か物足りない印象を受ける。やはり描き込みを多くするだけで時間をかけていて良い絵に見えることがあるらしい。プロは別だけどね。

 細かいが、胸のリボンといった小物にもきちんとした描き方が存在する。中でも一番わかりやすかったのが pixiv に投稿されているぶんぼん氏のものだ。

 一番興味深かったのは、「イラストは現実をデフォルメしたもの」ということ。リアルさを求めても、このような萌え絵にはそぐわないことがある。変な方向から風が吹いていたり、足を太ももにくっつけて大空へジャンプする絵もまた魅力的なのだ。

 最後に、「萌え絵は記号なのか?」について話そう。そもそもの出典はどこかの掲示板か何かだったかと思うが、文章は以下の通り。

82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2012/06/12(火) 20:47:35.45 ID:Pt886CUu0
萌え絵って記号だから、自分の好きな絵柄の人のパーツのバランスとか配置を覚えればそこそこの絵は誰でもかけるようになるよ。
手足に関してはその人本来の実力がまるっきり出るから、描きまくるしかないけど。

 そう、まさにこれなのだ。はじめて見たときはなんじゃそりゃと思ったが、こうして描いていくうちに「記号」の意味が分かってきた。

 僕が好きなイラストレーターさんは何人かいる。何かを投稿したらすぐに専用フォルダに保存して、いつでも見られるようにしていた。これが、今の自分の絵に反映されているというのだ。それって、夢のようなことだと思わないだろうか?自分の好きな絵を将来には自由に描けることなのだから。

 ただ気をつけたいのが、「そこそこの絵は誰でもかける」ということだ。プロに近づくにはブランド化の作業が必須だ。たとえば、有名なイラストレーターのしらたま氏の作品を見てみよう。僕の絵とは明らかに違うところがある(色塗りとかは別にして)。

 この人は女性で、とても繊細に絵が描かれているが、一番見てもらいたいところは「」だ。やっぱり、アイコンタクトは重要だからね。そして、また別の漫画家さんの絵をみてみよう。違いが分かるはずだ。

 簡単に言えば、しらたま氏は縦長、永山ゆうのん氏は横長である。また前者は形が苺っぽくて、後者は少しまったりとした形。これがブランド化なのだ。

 「初恋*れ〜るとりっぷ」は模写でよく使わせて頂いているが、どうも先生の特徴である「まったりした目」を再現できない。少し粗くなってしまう。

 そして、しらたま氏の一見アンバランスに見える目を描くには相当の訓練が必要になるはずだ。初心者が手を出してはいけない部類であり、さもなければ顔面崩壊という悲劇が起こる。これ、本当に悲劇で、一回やらかしてしまうとしばらく立ち直れないんです。そのまま世に出してしまうダイナミックなんとかってアニメに関わった人は顔が真っ青だっただろうに……。

 ということで、恒例化してきた定期絵のリポートは以上です。最後まで見て頂きありがとうございました。

 本当に最後になりますが、僕は絵のコンプレックスを克服するために描いているので、自分が満足できるレベルに達したあとのことはまだ考えていないです。仕事に活かしたいまでにはいきませんが、特技になるまで成長できたら嬉しいなと思います。そうそう、そのうち塗りも覚えないと。