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入試対策セミナーに参加してきた

 センター試験まであと 117 日になった。やる気上昇を期待して、今日は某予備校の入試対策セミナーに参加してきた。これから感想などを書こうと思う。

 こうして note に書くのにも理由があって、それは最後の年だからだ。何十年も、父も受けた試験がなくなる。馴染み深かった喫茶店が閉店したような気分になるので、せめて記録を残そうということだ。多分、ネットの海には溺れるけどその内誰かが引き揚げてくれることを期待して、ここに記す。もちろん 117 日後、本番の感想も書くと思う。

 私は地方住みだから、9 時に始まるセミナーに 6 時には起きないと行けなかった。かと言って、いつも学校に通うのと変わらない時間だが。

 7 時前の高速バスに乗り、札幌へ向かった。祝日なのもあって人はまばらだった。あと、地方って交通機関の運賃が高い気がする。人口のせいだから仕方がないけど、去年京都─大阪間の JR に乗ったときは驚いた。あの距離であの料金とは。

 そんなもの思いにふけながらバスは札幌に着いた。台風のせいで、雨が降っていた。小走りで札幌駅へ駆け込んで、目的の予備校へと向かった。

 その校舎は駅北口から徒歩 1 分圏内にある。近くのローソンでお昼ごはんを調達してから目的地に向かった。

 田舎者だから、都会に来るたびに声を上げたくなる。整備された中心地にそびえ立つ高層ビル。そんな一区画にある予備校は堂々と僕を迎えてくれた。

 5 階まで登ると、そこには広々とした教室があった。縦 13 、横 14 席くらいだろうか、学校よりも僕が通う東進よりも広かった。これが都会では普通なのか?

 先程エレベーターで遭遇した T 君と二人がけの席に着席した。机を見ると、そこにはテキストと歓迎の品が。ウェットティッシュとルーズリーフは、絶妙に嬉しかった。

 9 時。英語のセミナーが始まった。N 先生は軽く挨拶をしてから授業を開始。何かオーラがある。周りの人たちが真面目に見えるからか、先生が優秀だからか。その両方に思えた。

 受けて数分で、なぜ都会の学生はできるのかが分かった。先生は的確にポイントを説明してくれる。発音も、日本語が侵食されているくらい流暢に聞こえた。極めて整った環境で毎日暮せば水準が上がるに決まっている。

 2 時限目。O先生は自己紹介で、東大理Ⅰ 出身であることを教えてくれた。感心しているうちに彼は突然吹っ切れた。北海道で一番優れている高校、札幌南高校を灘高校と比較して侮辱した。南のオール5と灘のオール3はどちらが上か?もちろん、後者だと。大変驚いた。これが「上」が言うことで、上には上がいるということだと知った。続いて、このセミナーは無料だ、やる気のない奴は帰れ、と。大学受験は、形骸化した北海道の高校入試と違う。なんとか「する」意識がないと駄目だと話していただけた。

 数学というより、受験という教科のように思えた。あまりここで言うとアレなので詳細は控えるが、学校では出来ない助言をしてもらった。精神は本番では必ず乱れるから、そういう前提で挑もうという内容だった。

 本当に都会はすごい。ビルまるまま予備校なのもそうだし、最上階にラウンジまであるのだ。大きな階段のような場所に腰を下ろし、空を見ながら食事ができるそうだ。あそこにいた人たちは何を考えながら食べていたのだろうか。

 僕たちの学年はもはや浪人できないと断言された。ただでさえ勉強できないのに、新テストを受けたら殲滅されるだろうと強く言われた。そういう状況だからこそ、メンタルの安定は重要と感じた。

 何だか、僕は考えすぎていたようだ。大学受験の勉強は思ったよりシンプルで明快だった。講師たちから言われたのが、基礎を徹底することだ。そして、自分で考えること。解答には過程はあるものの、結論しか載っていないのだ。それ以外の解法は当然あるし、ラクに解ける、という理由で掲載しているだけだった。

 帰路につきながらこの note を書いているが、いま外を見ても木が生い茂っていて、反対側には日本海があるだけだ。やはり、今日も夢を見てしまった気がする。たくさんの人と雨傘、高層建築物は全て妄想の域を超えなかったのかもしれない。あまりにも儚すぎた。家に帰ったら、犬に慰めてもらおうか。

 現実は厳しい。都会から追放された気分になった。