無題

絵を1ヶ月近く描いてみてわかったこと

 人並みの絵を描けるようになりたいため、絵心のない僕は Twitter で 1 日 1 枚絵を描いては(主に模写)アップしている。今日 29 日目は「エビ」の絵を描いた。今回のエビはおよそ 3 分で描けた。一方、一昨日描いた女の子の模写には 1 時間費やした。人とエビでは線の量が圧倒的に違うのである。

 最近、絵とは現実のデフォルメであるということに気づいた。絵は基本的に物体の目立つ所に境界を引く要領で線を引っ張る。例えば人の顔を描くとしたらまず輪郭から書き始める。そしてもう一つ大事なことがある。大まかな線から引き、だんだん細かいのを付け足していくのだ。

 もし自分の絵に違和感を持ったら、まずどこかの箇所だけ詳細まで描いているかも可能性を疑ってほしい。机とそれに載っかっている本や筆記用具を描くとする。まず目につきやすいのは本や鉛筆だから、そればっかりに集中してよし、できた!と満足してしまう事が多い。たとえどんなに本の表紙を美しく描けていたとしても、絵全体としてはおかしく見えてしまう。机が木製なら、きちんと木目は描きましたか?と、絵は遠近法を意識して描きましたか?などと自分に問いかけをしながら描くのもいいと思う。理系にはちょっとむずかしいですのですけど。

 消失点の話とも関わるが、絵を描くにおいてバランスは非常に大事だ。既に話している、一昨日描いた模写の感想を恥ずかしいがここに記す。以下は27 日目に描き Twitter に投稿したものである。

無題2

(少し明るくしましたが、見にくかったらすみません)


 この絵を見て、違和感を持った人が多いだろう。そう、僕は描きながら先程の自問自答(バランスを意識して描いているか?)をしていなかった。今日の題材は大変だぞと必死になって描いていて、注意を払って作業できなかったからである。

 ちなみに男性は人を見る時に顔や胸部、太ももあたりがまず目に飛び込んでくるそうだ。ここで男女の視線の違いを表した絵を紹介しよう。2010 年頃に投稿されたこのイラストがとても興味深い。

 このイラストによると、手は特段注目されないようだが、実際ヘタだと何故か目立ってしまう箇所であり、絵初心者としても難所といえる。まあ手はともかく、顔のバランスが微妙だったという感想をお持ちであろう。

 絵が得意という妹に見せると、まず「構図を意識せよ」と指摘された。この絵は女の子を下から上へと見ている「アオリ」の絵である。顔を球体として考えると、等間隔に引いた線が正面絵よりやや曲がるのがおわかりだろうか。妹の添削した際のアタリを勝手に紹介する。

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 だから、正面絵より顔に対する顎の占める部分が増える。そのため、口などのパーツも上に(しかも少し歪めて)シフトしなければならないのだ。これが違和感を覚える第一の原因だ。もちろん、目の位置もずれると俗に言う「作画崩壊」につながる。

 あとはどこだろうか。目の大きさももっとも(いわゆる萌え系の目はやや大きめに、眉毛も太く描く傾向にある)だが、一昨日描いた顔の前髪が少し短いのも原因だろう。参考として、某雑誌で連載している漫画家の絵を紹介する。

 髪型が違うので単純比較は出来ないが、このように女性のイラストを描くときには目に前髪がかかるように描写されることがある。目に入っても大丈夫……なのかな?絵を描いていると、髪の毛ってかなり多いのだなと感じる時があります。

 しかしよく考えてみると、ぱっつんで髪が短いとは自分で髪を切って失敗した典型例のように思える。同時に、模写とはいえ人物をかきあげた時点で制作者はこの絵に命を吹き込んだことになる。絵は決して動くことはないが、いつも同じ表情でこちらを見つめてくる。そのような事を考えていると一つ一つの線に思いを込めて描きたくなる。

 最後に、絵を描くには忍耐力も必要になる。顔を描くだけで 1 時間かかるのだから、全身を描くにはさらに時間が必要だ。その間集中力を保ちながら丁寧に線を引いたり、さらに色塗りをするのはプロの領域であるし、絵師様様にとても尊敬している。だから、絵を描くことは絵そのものの上達のみならず、右脳(画像認識など)の訓練や集中力を身につける練習にもなる。

 過去の絵と比較して成長を感じたらしめたものだ。この調子で、楽しい日々を過ごしていけると幸せになれそうだ。これからも絵は描き続けるので、どうかよろしくおねがいします。