【東京都心の1982年以前に建築されたマンションには莫大な含み資産が内在しています】
東京都心の1982年以前に竣工した旧耐震や旧々耐震のマンションは、莫大な含み資産を持っています。そしてそれはマンションを建替えた時に、「開発利益」として顕在化します。このような旧耐震等のマンションは、1㎡当たり60万円~70万円で取引されています。ところがその周辺の新築マンションは1㎡当たり250万円~300万円か、それ以上の価格で販売されています。その差額の1㎡当たり180万円~240万円が含み資産にあたります。30㎡なら1,800万円~2,100万円で買える中古マンションが、建て替わると7,500万円~9,000万円の物件になるのです。それが東京都心という立地の素晴らしい魅力です。
問題はマンションの建替えに必要な資金です。現在の建物解体費が1㎡当たり5万円、新しい建物の設計料が1㎡当たり5万円、その建築費が1㎡当たり60万円、解体・建築工事に要する期間が3~4年間としてその間の仮住まい費用が1㎡当たり15万円、建替え資金の借入金利が1㎡当たり5万円、その他の諸費用が1㎡当たり10万円として、極極大雑把に積算すると、建替えに要する費用は1㎡当たり100万円程度です。
1㎡当たり60万円~70万円の中古マンションに、1㎡当たり100万円の費用を上乗せすると、1㎡当たり160万円~170万円の原価で新築マンションが出来上がります。その建物の販売価格は1㎡当たり250万円~300万円なので、差額は1㎡当たり90万円~140万円です。これが建替えによって顕在化する、「開発利益」という莫大な含み資産です。
ただし、残念ながらマンション建替えの事例はまだほんの僅かしかありません。その主な理由はマンションの区分所有者や管理組合に「自主建て替え」を実施する能力が無いからです。そこで、デベロッパーが替わりにマンションの建て替え事業を担います。デベロッパーは利益を追求する企業なので、建替えに要する期間の仮住まい費用は全て、区分所有者の自己負担という条件で事業計画を提案するのが通常ですが、都心での4年間の仮住まいに必要な額は、30㎡の部屋でも450万円なので、建替え事業費用の15%相当です。その負担が建替えの前提条件ならば、貯蓄が少ない区分所有者や住まいを借りにくい高齢者、それに投資目的の区分所有者もその提案には反対するからです。
そして、もう一つの反対理由は建替え費用を捻出するために、建替えられたマンションの一部を売却しますから、新しい部屋の面積が以前より小さくなってしまうからです。従前と同じ面積の部屋が欲しければ、高額の出費が必要ですが、東京都心の建替えならば、建替え後の建物の床の約40%を売却すれば、建替え費用を賄えます。建替え費用を全く負担しなくても、3年間仮住まいで暮らしていれば、50㎡で3,000万円だった部屋が、30㎡で9,000万円の新しい部屋に替わるのですから、経済的にはとてもお得です。
旧耐震等のマンションには補助金が与えられ、耐震診断が奨励されています。診断の結果が強度不足であれば「要除却マンション」と認定されて、建替え時に最大50%の容積率加算が認められるので、その割増分が使えれば、従前の部屋と同じ広さの新しい部屋が、無償で取得できる可能性もありえます。デベロッパーは建替えに必要な区分所有者の5分の4の賛成をえるための事業期間が長期化や、立ち退き交渉費用の増大を懸念して、安全に事業を行うために、仮住まい費用を保障しないのでしょう。しかし、最初からその保障を盛り込んだ提案ならば、すべての組合員の負担が均等になり、一時的に住む場所が無くなるという不安も生じないので、建替えに反対する理由がほとんどなくなります。早期に事業が完成して、確実に「開発利益」が得られるのではないでしょうか。
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