【不動産を所有して利益を得るための諸条件(周辺地域への外部効果)】
不動産を取得するのには高額の対価が必要です。そして、取得してからもその取扱いは簡単ではありません。まずは資金を準備して、妥当な対価で購入し、長期間所有しないと利益は得られません。購入後は適確な管理と運用も必要です。最後に、適切な時期に売却できたときに、やっと利益が確定します。
(周辺地域への外部効果)
建物を建てて土地を活用すると、必ずその周辺地域に影響が及びます。その建物が大規模な建物や超高層の建築物ならば、周辺地域の日照や通風などの環境が変化します。その建物が商業施設なら、周辺地域を訪れる人の数や人の流れが変化します。その建物が工場なら、騒音や大気汚染が生じるかもしれません。その建物が利便施設なら、周辺地域の生活の利便性が増し、住環境が向上します。大規模なショッピングセンターや、競技施設や娯楽施設や多目的ホールなどの集客施設ができたなら、その周囲一帯の環境が変わります。施設直近の住宅は徐々に商業地に移行していくかもしれません。土地を所有して活用するにあたっては、新しく建築される建物が周辺地域の環境にどのような影響を及ぼすのかも把握して、周辺地域の不動産や住民に良い影響を及ぼすようにしたいものです。
再開発事業が実施されて、大型施設が出現すると、その規模に比例して影響を受ける地域の範囲も拡大しますから、その影響はプラスの効果であってほしいものです。地方都市の駅前がシャッター商店街になってしまったので、建物を解体して多額の公共投資を行って、スクラップ&ビルドによる再開発で、商業ビルを建築してみたものの、ビルに出店した店舗は上昇した賃料を負担できるほどに売り上げが伸びなかったために、数年後にはシャッター店舗ばかりのビルになってしまったというような、悲しい事例は少なくありません。
この再開発事業の失敗の原因は、需要の裏付けが無いのにその場所にふさわしくない建物を建築したことです。大規模な施設を建築するときは、その施設の出現が起爆剤となって周辺地域が潤い発展するように、周到に計画されねばなりません。再開発事業は施設建築物の竣工によって完成するものではありません。その施設建築物ができたことで、周辺地域がどのように変貌し潤ったかを確認して、それを事業の評価指標とすべきでしょう。
その事業によって問影響を受ける周辺地域内の不動産を、事業の実施に先立って先行取得することは、最も有効で確実な不動産投資です。再開発事業をきっかけにしてその周辺地域一帯がどの範囲まで、どのように開発されるのか、どのあたりがいつの時点でどのように変貌するのかを見極めて、周辺域内の不動産を先行取得して、それを上手に活用することで得られる開発利益の方が、長期的な視点で見ていけば、施設建築物から得られる開発利益より大きいことが多いです。
谷底の小さな商業地だった渋谷の街はいつのまにかキャットストリートや明治通りを介して原宿と繋がって、原宿が青山と繋がって、一体の広域的な商業地に変貌し、今また駅周辺の再開発の進行で代官山方面にも繋がる巨大な商業地域になりました。昔はちょっと危ない夜の繁華街だった六本木の街は乃木坂近くの東京ミッドタウンと繋がって、六本木地区全体のイメージがクリーンになっていきました。更にその周辺にも再開発地域が広がって、虎ノ門や赤坂地区にまで繋がっていきそうな気配です。銀座も中央通りを介して八重洲地区や日本橋地区にまで連続する、巨大な商業ゾーンに変貌しようとしています。このように街が拡大し、街と街が繋がって、巨大な商業圏域が形成されてゆく街の変化のスピードは近年増々速まっているような気がします。その過程で住宅地域が商業地域に変貌し、普通商業地域が高度商業地へと発展し、地域内の不動産の利用効率が増大し、不動産の価格が上昇します。
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