平常心と想像力、壁打ちのすすめ。
先ほど経営者仲間から相談を受けました。ここまで何人か相談を受けたなかで感じたことを書いてみます。
社会がざわつき始めたり、目先の数字が悪化してきたりすると平常心を保てなくなってきます。
自分では平常心だと思っていても、やはり日常とは思考が違ってきてしまって、陥りやすいのは「単一思考」だなぁと思います。
危機的な状況を打開するのに、「こんなリスクがある」と気付き、そこに意識が一極集中してしまう状況です。
資金繰りが代表的です
結論から言うと、
リスクを網羅的に想像すること
が重要だと思います。
リスクは
時間軸×人モノ金
で考えられます。
状況が逼迫してくると、ひとつの事に頭がいって、他の事を考えられなくなります。
実際の緊迫した状況に陥ってしまったとしても時間をとり、ゆっくりと考える時間をとることが必要だと思います。(緊迫していて、知人の方は壁打ちしますので、ご連絡くださいね。)
飲食店の経営者からの相談だったので
時間軸×人モノ金
でどのように考えたのか、参考までに書き記しておきます。(ご本人に無断です。たぶん読むと思いますがご容赦w)
彼が一番心配していたのが、
「自分の飲食店がクラスターになったらブランドが失墜して2度と立ち上がれなくなる。」
から、「今すぐ休業すべきか?」
という単一思考で、その意思決定の可否に意識が集中していました。
これは、未来のブランドの問題で、リスク全体の一部の話です。
壁打ちしながら一緒に話したのは
以下の軸で考えました。
時間軸
短期 中長期
ステークホルダー
人 物 金
です。
まずお金です。
本来10年に一度こういうクライシスが起きることは歴史が教えてくれているので「短期の金」でリスクを持たないように経営したいところ(中長期の金)です。
緊急局面では、これが止まると全てが止まってしまうので、お金の工面にリソースを注がざるを得なくなります。
国の保証制度や雇用対策助成金、銀行借り入れで、どこまで
最悪の場合のキャッシュフローが維持できるのか?
その期間は?これを押さえることは大前提です。
行政の情報は常に変わりますので、情報リソースの入手方法や、専属に担当を着けて情報を入手するなどの策を準備する必要があります。
次に考えたいのが、人です。
従業員
取引先
お客様
が、今何を考え、中長期で何を考えるのか?
飲食店であれば、在宅勤務ができない中で、嫌々通っている従業員がいるとしたら、そこはリスクだと思いました。
従業員の中にも、
「本当は絶対休みたい」
「どっちでも良い」
「どちらかというと働きたい」
という層がいるように思います。
「本当は絶対休みたい」という感情の人は、
小さな子供が家にいる。のかもしれません。高齢のご両親がいるのかもしれません。何もないけど不安に飲み込まれているのかもしれません。
いずれにせよこの人達が
「会社に強制されて働かせられている」
という感情を持つことは、チームのリスクだと思います。
従業員一人一人が何を考えているのか?吸い上げて、その思いに寄り添う制度を今からでも作ったら良いのではないかと?とお話ししました。
(従業員側が「休みたい」という意思があれば、休むことを選択できる制度)
その会社の置かれている状況によって
従業員
取引先
お客様
のどこにリスクが潜んでいるかは、想像力だと思います。ついつい、目先のキャッシュや仕事の減少に意識がとらわれてしまいますが、仕事は人の想いの積み重ねでできています。
いざというとき
「こういう事をしてくれた。」
と思われるのと
「なにもしなかった。こんなこと言いやがった。」
と思われるのでは、その後の経営に大きな違いを生むのは明らかです。
(中長期の人)
うちの場合、社員は完全自宅待機ですが取引先の職人さんは、そういう訳にはいかない中で、社員がそういう部分に思いを馳せてくれている事が、安心だと感じています。
最後に物、サービスについてです。
短期のお金、キャッシュフローの期間がどのくらいなのか?
によって打ち手は変わります。
今回のコロナ騒ぎが、時間的にどの程度続くのか?
楽観 3ヶ月で終息
悲観 1~2年(ワクチンできるまで)
超悲観 終息しない
で、考えると超悲観パターンの場合、業態の転換が必要になります。
飲食で考えれば、人が何も食べなくなる事は考えづらいですから。
テイクアウトや宅配のマーケットへの参入余地はないのか?
と例えば、考えることができます。
(ここは、まだまだ様々なことを考えられるはずです。)
余力があって、この変化を読みきれば大きなチャンスになります。
キャッシュフローがある程度読めるなら、上記の業態転換の可能性を模索しつつ、目先の固定費の圧縮をできるだけ進めることによって、
「潰れない」期間の引き延ばしをする事も重要です。
固定費の一覧をプリントアウトして、構成比の高い順に見ていきます。
楽観シナリオで、数ヵ月でもとに戻ると考えるか?
超悲観で、マーケットが根本からひっくり返ると考えるか?
によって、経費の見え方は変わってきます。
例えば弊社であれば、超悲観パターンでリモートや多拠点が一気に普及すると考えるなら、東京の全社員が集まる事務所経費は早めに撤退することも選択肢になります。
また、楽観シナリオでもキャッシュがギリギリなのだとしたら、早めに撤退の意思決定を下した方が、ダメージが少なく再起の可能性は高くなるはずです。
また、半年分程度のキャッシュを持っているならば、自社が潰れるなら他にも潰れる会社が続出するはずで、日本経済がズタズタになるでしょうから、さすがに行政からの支援があると思います。
アーリーでありながら半年分のキャッシュを蓄積しているような経営者は、保守的な方でしょうから、逆に保守的すぎて体が動かなくなることも、実はリスクだと思います。半年分のキャッシュがあるなら、とりあえず前向きな思考で1~2ヶ月全力を尽くすべきでしょう。
いずれにせよ、経営者でこのような緊急事態を経験することがはじめての人は、慌てて単一思考に陥ってしまいがちなので、
先輩経営者との壁打ちなどで
リスクを網羅的に想像すること
を定期的に持つ習慣をおすすめします。
この局面で一番倒産に追い込まれるリスクが高い人は以前のノートでも書きましたが、相談できない人です
アカウンタビリティ(説明責任)は人の為ならず
まぁ前回のノートで書いたように
不確実な未来の中でどう考えるか?不安への対処法。
いずれにせよ、飢え死にするわけではなく、ルールチェンジは大きなチャンスでもありますので、前向きにいきましょう!