【ネタバレ有】ファントミ映画が凄かった件
ついに公開された「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。
ファントミラージュのTVシリーズを欠かさず観てきたおじさんが感心しきりだった映画の感想を述べていきたいと思います。(YouTuberっぽい言い回しになっちゃった)
ネタバレがそこかしこにあるので未見の方は気をつけて……!
TVシリーズを観ておく必要がない!
映画の構成の話です。
まぁこの手の映画(TVドラマありきの映画)は冒頭で「設定の説明」を入れることが多いです。
というか、ほぼ入れておかないとTV未視聴のお客さんが終始「???」で終わっちゃいますし……
このファントミ映画も例に漏れず「設定の説明」シーンがありました。
主人公が誰々で、悪役サイドが誰々で、普段こういうことをやって戦ってて……等々。
そこまでは「普通」。なんですが……!
やたらテンポよく進むんですよね。冒頭シーン。
それこそ「TVシリーズ」と同じ速度で。
逆逮捕(怪人化)された芋洗坂係長さんは、イケナイヤー「オシリプリプリヤー」(=怪人)となり大暴れしてるんですが、そこにファントミラージュがやってきて浄化します。
なお、変身はTVシリーズ後半の同時変身。
悪役の逆逆警察たちは「くやしー!」という感じ。
この一連のシーン、ルーティーンの始めの方が省略されています。
通常、
・「逆逆警察」が「イケてるヤツ」を見つける
・「イケてるヤツ」を「逆逮捕」するための理由をつける
・「イケてるヤツ」は「イケナイヤー」という怪人となり、「イケナイヤーとしての名」を名乗る
・なんやかんやある
・「ファントミラージュ」が来て、「イケナイヤー」に登場を告げる
・なんやかんやある
・「ファントミラージュ」が「イケナイヤー」を浄化する
・「逆逆警察」が悔しがる
といった流れがあるのですが、そのうち上2つを省略。
これ、かなり「TVシリーズ=ファントミの日常」を意識しているのかなぁと思いました。
つまり、「TVシリーズ=ファントミの日常」の途中で起こったいつもの「ファントミ vs. 逆逆警察」に過ぎない、ということです。
映画の特別感を全く感じさせない作りで、TV視聴者からすると「日曜9時の感覚」で導入され、TV未視聴者には「日曜9時の感覚」を刷り込ませているわけです。
とても自然な入りなのですが、しかしながら環境は「映画館」。
視聴者にも未視聴者にも全員に違和感を植え付けていってるわけですよ。
「え?せっかくの映画じゃないの?足りなくない?」と。
しかし、この「フリ」が直後のシーンでバッチリ効いてきます。
「黒沢ピヨシ監督」の登場です。
「日常のファントミ」を見ていた監督がファントミの映画を作りたいとオファーするところに繋がります。
ストーリー的にも繋ぎ、説明的なシーンとしても機能し、TVシリーズとの滑らかすぎるほどのジャンクションとしても機能…………
天才的なシーンなんですよね……!
そんな冒頭シーン。当然★×5です。
現実と非現実が融合する構成
上のシーンの直後ですが、監督が映画タイトルを決めるシーンがあります。
その名も……
「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」
ここで、タイトル。
そして、「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」(以下タイトルのことも「ファントミ映画」とします)は、「ファントミ映画」を撮るというストーリーということが解ってきます。
一旦これをかみ砕くと、
・「ファントミ映画」は「ファントミ映画」を撮る、というストーリー
・我々が観ている「ファントミ映画」は「ファントミ映画」内で撮影された「ファントミ映画」……?(推測)
といえるかと思います。
真相は話のオチ部分として出てきており、上の推測はほぼ正しいと捉えることができます。
劇中の「ファントミ映画」は監督がイケナイヤーとなってから浄化するまでなので、半分程度がオーバーラップする感じ。
映画撮影の映画、という構成からメタ的な発言っぽいセリフもあり、我々がどの立ち位置にいるのかが曖昧になっていく感覚もあります。
ストーリーの擬入れ子構造だけでなく、もともと応援上映を企画していたこともあり、スクリーンの外へ問いかける場面が数ヶ所あるのも現実と非現実が融合する瞬間です。
特に、「キズナパフューム」というアイテムに関するシーン。
「キズナパフューム」が人々の元へ届くシーンで、TVシリーズでは準レギュラーとなっている一般人の「梅ちゃん」というキャラクターが出てきます。
その一般人の元へすら届く描写を入れ込むことで、スクリーンの隔てを感じさせない演出なんですよね。
……もっとも、大人は劇場でプレゼントされないのですが、貰えたような気にはなれます。
この構成、スクリーンの内側への没入感がありつつも、スクリーンの外側ですらファントミラージュの世界と同じと思わせる不思議な感覚を覚えました。
おじさん的にアリすぎな構成、★×5です。
作品世界観の壁をついに取り払った!
途中、シリーズ過去作品への言及があります。
というか、「大鶴佐助さん」扮する山野井龍一郎……というところで気付く方もいたことでしょう。
「ミラクルちゅーんず」「マジマジョピュアーズ」に出てきた「コジロー」役が大鶴さんなのですが、「山野井龍一郎」も「ミラクルちゅーんず」「マジマジョピュアーズ」と関わったことがある、と言及しています。
同一人物かもしれません。ファントミラージュインタビューで「コジローさんが……」と話していたこともあり、現場では「山野井龍一郎=コジロー」として認識しながら動いていた可能性があります。
とまぁ、それはそうと……
その龍一郎の言及に呼応して、TVシリーズ準レギュラーの「坂上文秋」というキャラクターが「僕も調べた結果他のガールズ戦士がいるそうです!」とのこと。
つまり、誰でも知り得る状態で「ファントミ世界」にいることが判明したわけです。
このことから、「各ガールズ戦士世界」は完全に世界観を同じくする、と言っても良いことになりました。
シリーズファンとしては、うっすら感じていた「同じ世界っぽい……?」ということを公式に肯定された状況です。
過去、「シリーズ間コラボ」とした回を設けており、対面・共闘したことがあることや、先述の「コジロー」、なんか見たことある人等はありました。
しかし、それが「スターシステム」的なのか、本人なのか等、明言されることはなくモヤモヤしてたわけです。
新シリーズの「ポリス×戦士 ラブパトリーナ!」に関しては、ファントミ映画のラストシーンでファントミラージュのキャラクターである「サライ」が加入を認めたことや、ラブパトリーナ直前特番(0話)での言及により、「ファントミ世界=ラブパト世界」が明確になっています。
そして、先の「現実と非現実の融合」の話にも繋がりますが、「ラブパトリーナ」の登場人物「青瀬コハナ」は福岡からの転校生とのことで、ガールズ戦士世界は我々の世界と同じなのでは……と思わせる状況にも繋がっています。
余談ではありますが、ついでに言えば、ファントミラージュとキラッとプリチャンのコラボ回をも正史とするならば、プリチャン世界も我々の世界と同じ可能性を示唆していますね……
ということで、この「世界観への言及」はガールズ戦士ユニバースをめちゃくちゃ広げてしまいました。
完全にはじまってるじゃん!💪
★×5です。
小ネタが面白い
どんな映画にするか……という話し合いのシーン。
半沢直樹のパロディ「ファン沢直樹」、家政婦は見た!のパロディ「家政婦はファント見た!」……
半沢直樹に関しては、双方の延期によりたまたま新シリーズの開始が重なり、タイムリーなネタとなっていました。
そりゃあ爆笑しましたよね……🤣
映画村のシーン、忍者達が「イーッ!」。
東映の撮影所オマージュでしょう。
裏番組のヤツ。最高です。
TVシリーズでも度々やっていたファントミラージュの変顔がパワーアップしており、送風機&ブロワーでの口ブワー、チョンマゲスタイル等、ここまでやるのか!というところもポイント。
笑いながら応援したくなりましたね。
フリオチが完璧だったのは、着ぐるみくまちぃ(的ななにか)ですね。
トレーラーで「イケナイヤー」として出されていたのもフリで、真相は「絵が下手くそなセイラ」がくまちぃを映画に登場させるために描いたデザインが忠実に採用された、という話。
……まぁ、「イケナイヤー・ぐまぢぃ」にされるのですが、あの顔でいてキモい動き、ズッコケ、その流れから土まみれになるシーン……全てが面白いキャラでした。
そんなくまちぃ(的ななにか)でひとしきり笑った直後にキズナパフュームのクダリだったので、笑って泣いての繰り返しになりましたね……
大筋にも細部にも散りばめられているわけです。
もう一周しないと拾いきれないですね……
あ、あと、TVシリーズのオープニング曲でみんなで踊れる場面があるのですが、オープニングの映像がそのまま流れるので、「ファンディーさんがブァサー🕺」するシーンがたくさん流れて面白いです。
要チェックです。
という感じで面白かったよ
総合すると、
ファントミ最高かよ
の一言で形容したい映画なわけですよ。
三池崇史監督の映画が好きなら確実に観ましょう。
映画が好きなら確実に観ましょう。
嫌いでも観てみたら論評ポイントが出てくるでしょう。
そんな感じ。
ファントミラージュのロケ地行って写真撮ってきたブログもどうぞ👇