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介護を知ることは未来の自分への投資。GCストーリー介護事業部が語るこれからの介護

就職を機に上京してから早3年。上京前は想像もしなかった状況になり、気がついたら1年以上親と会っていません。テレビ電話で話しながらふと頭をよぎるのは、いつか来る親の介護のことでした。

介護は、今後のライフイベントとして避けられないものです。その時が来たら自分は一体何をすればいいんだろう。考えようとしても思考が止まってしまったり、親と話そうにも切り出しにくかったりと、日々の忙しさを理由にいつも頭の隅に追いやっていました。

「介護のことを勉強してくださいとまでは言いません。ただ情報を知るってとても大切で、究極は自己投資に繋がると思うんです。」

GCストーリーには、デイサービス施設運営や情報ポータルサイト運営を行う介護事業部があります。今回は、介護事業部の2トップである木塚さんと三宅さんに介護との向き合い方やこれからの取り組みについてお聞きしました。

GCストーリー介護事業部のご紹介

GCストーリー介護事業部は、東京都江東区木場に入浴専門デイサービス「ほっとスマイルSPA木場」を構えています。10数名の施設スタッフが、送迎サービスから始まり入浴介助、軽食のご提供などを行っています。施設運営のほか、ご家族向けの介護情報ポータルサイト「mamoria」の運営も行っています。

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職員の幸せを考えることが利用者の幸せに繋がる

ー介護について詳しいお二人に、いろいろ聞かせていただければと思います。よろしくお願いします!まず、介護についてのそもそもの考え方からお聞きしてもよいでしょうか。
木塚:介護保険サービスは、例えばスポーツジムとは違ってマイナスをゼロに近づけるイメージなんです。今よりもっと筋肉をつけるのではなく「その人らしい生活が送れること」が目標です。

身体の状態が原因で生活に困難がある部分を、その人らしい暮らしが出来るように介護やそれ以外のサービスの組み合わせを考える必要があります。例えば訪問介護、デイサービスでのリハビリ、他にも医療系のサービスや、自治体ごとに独自で行なっているサービス、地域住民やNPO、ボランティアたちによるサービスなど組み合わせは様々です。

ー介護事業部でも「利用者様のマイナスをゼロにする」ケアを一番大事にして運営をしているんでしょうか?
三宅:僕が事業で何かするときに考えてるのは、職員が普通に楽しく働けることが一番だということです。なぜかと言うと、楽しく働く職員は利用者さんをめっちゃ大事にしてくれるので、あえて利用者さんを大事にしますって言う必要がないというか。

木塚:職員が幸せだと、利用者さんも幸せにしてくれるよね。たまに施設で虐待事件があるじゃないですか。気持ちに余裕がなくなると起こりやすいと思います。

ー確かに、自分の親を想像しても幸せに楽しく働いてる職員さんからサービスを受けてほしいなと思います。
三宅:実は介護の業務って、書類の作成にすごく時間を取られるんですよね。事務作業によって本当に必要なケアの業務が圧縮されているのが多くの施設の現状です。だけど、例えばうちは連絡手段をSlackとLINEに集約させたり、介護専用のシステムを使ったりして効率化してます。事務作業の時間を極力少なくして、本来職員がやりたいケアに集中して楽しく働けるようになってます。

ー介護業界は書類仕事が多いと初めて知りました。職員さんが幸せに働くために、効率化の工夫をかなりされているんですね。
木塚:一つ一つの効率化だとピンと来ないかもしれないけど、積み重なると効果がすごいんです。木場店(注:ほっとスマイルSPA木場のことです)も当初は残業時間がすごかったんですが、今は基本0です。

ー木場店の職員さんにお会いするといつもニコニコ楽しそうだと思っていました。そういった背景があったんですね。

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(ほっとスマイルSPA木場 公式Facebookより)

介護を学ぶことは「未来の自分への投資」になる

ーお二人とも長く介護に携わっていて経験も豊富だと思うのですが、わたしのようにまず何をすればいいか分からない若者も多いと思います。アドバイスするとしたらどんなことがあるでしょうか?
木塚:介護のことに困ったらまずは、地域包括支援センターに行ってください。実は自分も身内で介護が必要な方がいて頼られているんですが、この前どうしていいか分からなくて頭が真っ白になる出来事があったんです。
介護職員として長く現場で携わっていても、実際に家族の立場になると全然違うんですよね。地域包括支援センターで客観的に見てもらったほうがいいと思います。

ー当事者になると難しいところがあるんですね。恥ずかしながら「地域包括支援センター」って初めて聞きました。

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地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。(引用:地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法)
※自治体によって「長寿サポートセンター(江東区)」「お年寄り相談センター(中央区)」等名称が異なるためご注意ください。

木塚:地域包括支援センターに相談すると、「認知症初期集中支援チーム」というのを結成して、医師や専門職の人たちが集中的にケアしてくれます。認定調査を受けましょうとか、どういう風に病気や高齢で難しくなってきたことをサポートしましょうとか話をして、それが一通り終わって介護度が出たらケアマネジャーさんに繋ぐ流れになります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)
要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じ、介護サービスを受けられるように介護サービス等の提供についての計画(ケアプラン)の作成や、市町村・サービス事業・施設、家族などとの連絡調整を行う、介護保険に関するスペシャリスト。

ーなるほど、覚えておきます…!
三宅:僕は2つあります。1つはさっき木塚さんが言ったことは本当で、介護の仕事をやっているプロも介護できないんです。木塚さんは10年くらい業界にいて、現場でも管理者としてもバリバリやってるんです。そんな人でもあたふたするので、一般の方が直面すると本当に大変だと思います。

介護のことを勉強してくださいとまでは言いません。ただ、情報を知るってとても大切で、究極は自己投資に繋がると思うんです。勉強して資格取ったり保険に入ったり、未来のために自己投資をするじゃないですか。それって究極は未来に時間を生み出すためにやってると思うんです。時間を生み出す自己投資として、介護ってすごくレバレッジが効くというか、めちゃくちゃ得するなと思ってます。

ー介護を予習することが「自己投資」になるという考え方は新鮮です。
三宅:何も情報を得ずにいると、仕事を辞めて家庭に入る選択肢を取る人が結構いるんですよ。もちろんその選択が間違っているわけではないですし、木場店のご家族にもそういう方はいらっしゃいます。ただ、介護離職という選択が本人に対して知らずネガティブな影響を及ぼすこともあって、経済面もそうだし時間もなくなるんですよ。介護は基本的に状態が劇的に良くなることはなくて良くて横ばい、むしろだんだん悪くなっていく。10年20年とそういった状況に寄り添うので、心理的にしんどくもなりやすいです。

三宅さんは介護に関する様々な情報をYouTubeで発信されています。

三宅:もし今不安に思っている20代30代の人たちがいたら、自己投資として情報を知ってもらって、介護に直面したときに自分の未来の時間を削りすぎないでほしいんですよね。事実に直面してから1から学んでいくと、すごく時間がかかるんですよ。

何も知らなかったら、例えば自分のお母さんのオムツを男性介護士に替えてもらうなんて恥ずかしくて出来ないって考え方になるかもしれない。ちゃんと親や関係者とコミュニケーションをとっていれば起こらないんだけど、情報が少ないとそうなりやすいんだなと。

だから、そんなにガッツリ勉強しなくても近所の地域包括支援センターの場所を調べるだけでも一歩前進で、それが自己投資に繋がるって僕は声を大にして言いたい。親のためにできる範囲で一生懸命やるのはいいと思うんだけど、親のために100%人生の時間を使うのはよくないよって思います。

ー本当にその通りだなと感じました。親のことも大切だけれど、自分の人生なんだから自分のこれからの時間も自分で守る意識は必要ですよね。

介護業界から社会全体を幸せにする。介護事業部の新しい挑戦

ー最後に、今年の2月から介護事業部で新しい事業が始まったと聞きました。木塚さんがケアマネジャーとして中心的に活動されるとのことですが、どんな取り組みなのでしょうか。

三宅:介護って介護老人福祉施設などに入る施設介護と、家でサービスを受けられる居宅介護(在宅介護)があるんですが、居宅介護を支援するケアマネジャーの事業を始めました。

木塚:今までウチの介護事業部は守備範囲がめちゃめちゃ狭かったんです。介護保険サービスって訪問系や施設系、数えると20じゃきかないくらいの種類があってすごく幅広いんですが、GCの介護事業部には小規模デイサービスである木場店しかなかったんです。

色んな業態があるデイサービス中でも「入浴リハビリに特化」していたのでまさにニッチ中のニッチで、かつ職員のステップアップも難しい環境でした。今回居宅介護事業を立ち上げることで、ケアマネ(注・ケアマネジャー)の資格を取って働く選択肢も増え、現にケアマネへのステップアップを目指して受験勉強を始めたスタッフも何名かいます。

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(引用:【失敗しない】ケアマネジャーを選ぶ10のポイント

三宅:ウチで幸せに働いている職員がケアマネになったら、与えられる影響の範囲がすごく広がると思います。例えば無理のないシフトの組み方とか、有給がちゃんと取れているとか離職が少ないとか、そういうことを定量的に達成してみんな楽しく幸せに働く。そういう考え方を理解している職員が沢山います。自分たちがどう働いてどう周りを幸せにしていけるかまで考えられる人がケアマネになるのは貴重だなって、自分の会社ながら思います。

ー利用者さんはもちろん、関わる人全員に対してそれが発揮されたらすごく素敵だと思いました。
三宅:介護業界が幸せになると、社会全体にも幸せが広がっていくんじゃないかって思ってるんです。今まではケアマネさん困ってそうとか、利用者さんの生活大変そうくらいしか分からなかったけど、これからいろんな事業や部門にアクセスできるようになります。そうなると、もっとたくさんの社会問題が見えてくるじゃないですか。
どこに課題があって、どこがブレイクスルーすれば良くなるのかが見えてくると、僕らがやりたい「社会全体を幸せにするために介護をどう生かすか」の視点で新しい事業の芽が見つかると思っています。それをヒントにして、社会を大きく変えていく仕組みをどう作るかに僕は目を向けています。

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【プロフィール】木塚俊介(画像左)
2014年12月から木場店に関わり始め、6年間勤務。豊富な知識・経験と堅実な組織運営で情報管理などハード面の組織づくりを支える。介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を生かし2021年2月から新事業の管理責任者に就任。現在は地域に寄り添うケアマネジャーとして活躍中。

【プロフィール】三宅 祐也(画像右)
2015年入社。「介護業界を変えたい!」と幼い頃からの夢をGCストーリーに入社し実現。地域での関係構築や採用、チームビルディングなどソフト面の組織づくりに強みを発揮。地域を中心にシニア向けスマホ教室なども開催し、介護の未来に貢献中。「介護みらいデザイナー ミヤケユウヤ」として、介護に関する情報を精力的に発信中(Twitter/note/YouTube)

居宅支援事業所「ほっとスマイルCare木場」の情報

事業所所在地:〒135-0042 東京都江東区木場6-4-2 KIビル 6F
電話番号:050-5491-7298
FAX番号:050-3153-1249
管理責任者: 木塚俊介

受付時間:月ー金 8:30~17:30
対象エリア:江東区、江戸川区
サービス内容
ケアマネジャー(介護支援専門員)による
・総合相談
・介護保険に関する各種申請代行
・ケアプランの作成
・各機関との連携や調整
・給付管理
・施設サービスの紹介  など

取材・文・編集/櫻庭実咲    デザイン/清川伸子


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