21-この薬を飲んで新しい人生を
URL:
https://open.spotify.com/episode/5xSddDDSUrL5O0jUvIPau3?si=beaff3f31cd04c3a
概要:
アメリカ在住、トランス自認の子をもつ母親が、自身の子ども時代に新しい人生を夢見たことを思い出す。しかしそれは自分自身から逃れたかったからであり、人生から逃れたかったのではなかった。
PITT(トランスの不都合な真実を知る親の会 URL: https://pitt.substack.com)に投稿されたエッセイ。
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私はトランスを自認する10代の子どもの親です。この問題について多くのことを知り、また、なぜ子どもが自分はトランスだと結論するのかを知っています。まだ若い少女だった頃、私は何度も自分のアイデンティティを変えたいと望みました。別の親に別のきょうだい、全く違う外見の自分を白昼夢に見ていました。人気者で、お金持ちの格好いい友だちと一緒にいる自分も夢想しました。実を言うと、日記もつけていました。新しい自分の名前と名字も。新しい家族や友だちの話をいくつも書いては夢想しました。もし誰かに、この薬を飲めばその新しい人生を送れるよと言われれば、私は喜んでそれを飲んだでしょう。私は本当に、家族を捨ててその望みを手に入れようとしたでしょうか? それにその望みは、本当に私を幸せにしてくれたでしょうか?
無防備な子どもや若い人たちに新しい身体を約束しても、幸せになれるとは思えません。ホルモン投与や人体改造の手術を受けるのは、どう考えても健康ではないでしょう。ですが、これがトランスジェンダー・イデオロギーによって現在推奨され、現実に起きていることなのです。
私の家族に何か問題があったわけではありません。ただ若い頃には特に、隣の芝生は青く見えるものなのです。私は家族から逃れたかったのではありません。ただ不幸せで孤独だったので、私自身から逃れたかった。人付き合いが苦手で、自意識過剰気味で友だちがほとんどいなかったのです。
しかし、成長し成熟するに従って自信がつき、人にも受け入れられるようになりました。多少の不快や嫌な経験は悪いことではありません。そうしたことが人に耐性をつけ、人格を確立させます。私が息子を産んだ時、同じ経験は絶対にしてほしくありませんでした。私は息子の人付き合いのスキルを高めるように努めました。息子はとても社交的で幸福でした。それが思春期に入って何かが起こり、息子は自意識過剰になり、ぎこちなくなりました。
現在の社会で子どもがインターネットを調べると、不快を感じるなら君はトランスだと言われます。そのため、私の息子がネットを調べて達した結論もそうなりました。息子はなぜ自分が馴染めないのか知りたかったのです。トランスが唯一の答えのように思えました。
悲しいことに、そして私にとっては絶望的なことに、息子が知る両親以外の大人たちは息子の自己診断を承認しました。子どもが突然トランスを自認しても、今後もそう感じ続けるとは限りません。今後変わる可能性のある成長途中の若者のアイデンティティに合わせて、投薬手術が必要でしょうか? そのアイデンティティは反抗かもしれないし、内面化したホモフォビアかもしれないし、周囲に溶け込むために変わりたいだけかもしれないのです。
実際にそれを証明する多くの証拠があります。トランスだと感じる子どもたちは学校で苛められていることがよくあります。オタクであったり、ゲイだったり、芸術家だったり、賢い子の場合もあります。子どもたちは影響され、グルーミングされてトランジションと薬に追いやられているように見えます。ほとんどの10代のアイデンティティが、成長するに従って変更されるのは驚くに値しません。私も別人になって新しい家族と暮らしたかったのではないと気付きました。もし実際にそうするように後押しされて実現すれば、悲惨なことになっていたでしょう。
思春期は探索と自我の形成の時期です。10代の子どもはいつだって新しいアイデンティティや、意見や、メイクを試し、異なる集団と交わり、そこから学んでいきます。親にも反抗します。子どもたちが健康な身体に成長し成熟するには、成長のための余地が必要です。そうして健康な心身とともに大人になっていくのです。