韓国人から見た日本の空手③

に続く第三弾。ほぼ、1年ぶりの更新です。今回は韓国人から見た日本の空手の特徴について、ナムウィキを和訳しながら紹介していきたいと思います。

特徴

北派の蟷螂拳、南派の洪家拳などが海を渡った琉球王国にて統合された中国拳法の結晶である。空手の型の分解を掘り下げてみると、ほとんどの門派の技術が一つや二つずつ見られており、さまざまな型を介してそれらを身につけた後は、少なくとも20世紀初頭までは、現在進行形で発展中だった実際の用法まで学ぶことができる。
他の武道と比較したとき空手が持つ最もユニークな特徴は、スタンス、すなわち基本姿勢での足の幅(立ち方)にある。もちろん空手でも状況に応じて、様々な立ち方をとっているが、ほとんどの場合、前足と後ろ足を広げた姿勢を基本とする。このようなスタンスが出てきた理由は、空手が相手との距離を維持した状態で、素早く距離を狭めて一撃あるいはコンビネーションを入れる方式の武道に成長したからである。空手は本来、武器を持った相手、特に剣を持った相手に対抗するための素手武道(あるいはトンファー、棒などの刃がない武器を用いた武道)であり、相手の武器の射程距離外の相手を牽制してからすき間を発見一撃を入れて相手を倒すことが主な目的であった。だから、空手の技術も、主にジャブやストレート中心のパンチや前足を利用した直線蹴りで構成されている。これらのユニークな特徴のおかげで、空手をよく知らない選手が総合格闘技などで空手の技術を使用している選手を相手にする時、空手特有のステップに翻弄されて先制攻撃を受ける場合がある。
反論をいくつか。高速で動く場合にはスタンスの広さよりも踵を浮かせるのか否かが重要である。踵が浮いている場合、相対的により軽い動きが可能だ。松濤館(쇼토칸)流で多く見られる。一方、両足をつけた立ち方の比重が高い剛柔流もある。テコンドーのようにステップを踏む現代の伝統空手の攻防は、彼らの伝統というよりも、先制攻撃による得点を取る事が重要なルールの下で試合をしている中で出来たものと考えられる。古い空手の試合映像を見ると、ステップを踏まない。また、伝統的な空手の最も有名な教義であり、基本的な理論は、 「空手に先手なし」、つまり先制攻撃ではなく「迎撃」である。伝統空手の主要流派全員それぞれの攻防方式を持っているにもかかわら大会などでみんな松濤館流の様にフットワークをすることがミステリーである。
一方、フルコンタクト空手では足の幅が狭くなってステップが事実上ない。一撃やコンビネーションを中心に運用する伝統空手とは異なり、顔面への打撃を禁止しているフルコンタクト空手では、相手の全身を殴っ全体スタミナの低下を狙ったり、ローキックなどでバランスを崩すなどの戦術を主に使用するからである。
韓国とはあれこれ関連の深い武術である。空手指導者の中でも、朝鮮系が多く、伝統空手を変形させて極真空空手をしたことも、朝鮮系日本人だった大山倍達であり、その極真空手の分派の中にも有名なのは、在日コリアンの弟子が立てた道場が多い。更に、日本で空手を学んだ人が韓国に持ち込んで作った武術が、今のテコンドーだ。

現代の様々な発展面

それぞれの流派が自分たちだけの発展方向を持ち続けて変化している。
1.伝統空手の場合、自分たちの武道の伝統性を強化し、学習者が怪我をしない格闘技としての発展の方向を持っている。主に高齢者、子供、女性でも簡単にすることができる格闘技修練としての特徴を強化しているところだ。
2.フルコンタクト流派は肉体の鍛錬と強さをモットーにどのように実践に適用させるかを話題にしている。この中でも、再修練方法が複数に分かれ、保護防具を用いず裸脛裸拳による打撃を固守する派閥と、保護具を着用して怪我を防ぐ流派があり、ボクシンググローブを着用してキックボクシングと同様に変化した流派もある。
3.最近では、格闘技としての純度に最大限集中して空手としての特徴さえ思い切って放棄。道着のみ着て総合格闘技に近い変化したところまである。正拳突きや型に代表される伝統的な修練方法を放棄し、格闘技の舞台などで実戦性が実証されたトレーニングや技術に集中する流派である。

北米で

アメリカ人は、英語の発音のせいでkərätēのような発音もある。北米では50年代から空手道場が入り、は、伝統的流派の空手の場合、現在では、高校の授業や大学のクラブなどにも多く進出しているほどだ。しかし、一方でソースを確認するのが難しいエセ道場もたくさん入っている。北米原産の空手のいずれかを例に挙げると拳法空手があり、これは日本拳法と空手の名称を合わせた団体である。
日本特有の道場体制や修練方法、道場文化が強く、近寄り難く親しみにくい雰囲気もたくさんいるのも事実だ。ところが、これに反して東洋神秘主義を極端に活用してマーケティングの手段とする団体も存在する。一方、米国などでは、米国の師範が伝統にとらわれず、最初から中国武術と剣術、棒術まで合わせた偽物の武術を修めて居たり、エクストリームマーシャルアーツ系でコンセプトをつかむスタント専用でアクション重視の道場など、様々な道場がある。そのため米国などで空手といえばかなり高い確率で、日本現地で修練されている空手とは異なる奇妙な武術である可能性がある。
米国でしっかりとした空手を修練するには、道場がどの流派に属しているかどうかは、その流派がしっかりとした所なのかを最初に確認しなければならない。米国はこれまでも、東洋武術なら無条件に空手と呼ばれる傾向が残っていることも念頭に置かなければならないようだ。
また、韓国でテコンドーを勉強したり、現地に来てテコンドー師範の資格を取った人がアメリカ人を引き寄せるために道場を開きながら、米国でテコンドーより相対的に認知度がある空手の看板をつけて(実質的には)テコンドー道場を開く場合がしばしばある。
一方、映画のベスト・キッド(原題:ザベストキッド)が、米国のサブカルチャー界で非常に有名である。したがって、この映画に出てくる宮城センセイ(宮城先生)の技術のパロディも多くなる。さらに、日本でも逆輸入されて日本人も漫画やアニメでベスト・キッドのパロディをしたりもしている。

韓国国内への伝播

 日帝時代の空手は本来、その生まれが沖縄の武術であったからなのか、日本本土に起源を置いた剣道や柔道、相撲に比べ非主流に近かった。おかげで比較的日本国内植民地人が学びやすい雰囲気であったと推測される。これ崔泓熙や大山倍達のような韓国系武術家が空手を学ぶきっかけとなった。
日本の敗亡後、この時、日本で空手を学んだ人物が韓国に帰って空手修練を続けたが、テコンドー中心の空手界の統合が本格化されると、空手と唐手も系列道場はテコンドーに吸収された。これによりテコンドーが創作され、国家主導で道場の統合がされて統一された技術システムで爆発的な成長と普及が行われた。詳細はテコンドー(歴史)に詳しい。
その後、比較的日本に地理的に近い釜山地域では空手の命脈が生き残る。しかし、残りの空手人の努力で全国的に空手道場が少数ながら残って維持されてはおり、霊山大学などで空手チームが維持されている。
国内にはテコンドーの影響のせいで、残りの空手道場がほとんど消えた状態となった。そこで、大山倍達総裁が作ったフルコンタクト空手の諸流派が韓国に進出してきた。国内では、伝統的空手より極真空手をはじめ実戦空手が一般的な理由はこのためである。そのほか、アジア大会で空手が種目に採択されたため、アジア大会を備える伝統空手団体や道場がまだ命脈をつないでいる。現在のアジア大会の正式種目である空手は世界空手連盟である。
結局、韓国での空手はテコンドーの母体として吸収統合されて命脈だけかろうじて維持する状況である。
とにかく国内に残ってはいるのに関心は非常にみすぼらしい。国体種目だけど正式種目ではなく、試験種目である。ただし空手がアジア大会の正式種目なので、基本的に正式種目採択の可能性は高い。しかし、まだ空手の選手たちの生活は難しい。サポート正式種目ではなく、韓国代表選手たちですら泰陵選手村(日本で言う味の素スポーツセンター)に入る事もできない。国営訓練場さえなく、自費で練習場を借り訓練しなければならないのが実情である。このような劣悪な環境の中でもアジア大会で韓国は2018ジャカルタアジア大会まで銅メダル9個を受け、全体のメダル数19位である。2002釜山アジア大会で初めて銅メダル1個を受けた後、 2010年広州アジア競技大会で銅メダル3個、 2014仁川アジア大会で銅メダルを4つ獲得した。仁川大会で銅メダルを獲得した空手選手たちはテコンドーに圧倒的に押されて、日本の武道として無視される空手が資金援助をうけたり少しでも今よりサポートも受けて関心受けのに銅メダルを受けたことに涙を見せたりした。

 その後、日本におけるテコンドー協会のゴタゴタと同様の事が韓国空手道協会でも起こっている旨の内容が続くので中略します。一時は大韓体育会を除名されて東京オリンピック出場が危ぶまれた様です。アテネ五輪の時、日本のテコンドー界が分裂していたために岡本依子前副理事長が出場資格をJOCから与えられずに個人出場になってしまった事に似てますね……。マイナー競技の辛さは何処の国でも同じみたいです。

空手の海外普及

 もちろん、現在は厳然たる、日本の主流武道である。しかし、いざ日本国内においては空手は柔道や剣道程は根付いていない。これは空手が特に流派が多いことが原因でもあるが、本来、日本のものではない空手に対して日本人が少しの抵抗感を持っていたことも原因と推測される※。こうみると50、60年代の日本映画では柔道高段者が正義で空手高段者は悪役で出てくるのが当たり前だった。だから空手は柔道の道着と昇段システムを導入し、名前まで変えるなど「日本化」するために様々な努力を傾けていた。

※ 琉球民族と大和民族は別であるという考え方を持つ韓国人は少なくない。例えば、テコンドー元老の一人、李元國は琉球民族に対して朝鮮民族同様に日本から支配されている民族としてのシンパシーを持っており、その為、琉球民族の武術である唐手を韓国国内で普及する必要性を感じていた。これは、多民族国家である日本と異なり、単一民族国家である韓国人特有の考え方である。

 また、このような理由により、韓国人も植民地時代は空手に入門した人がたくさん居た。日本における根が弱い為にむしろ海外進出が活発になった。そして空手は海外では「日本の武道の代表格」として認識されている。
一方、スポーツ化の方向をとったテコンドーの量的成長に注目して空手をオリンピック種目にしようとする試みがある(主に伝統的な流派)。実際に、2005年IOCオリンピック種目投票に挑戦したが失敗した、すでに格闘技がいくつかあるので、空手がオリンピックに進出するには、既存の格闘技を押し出して入らなければならに事実上不可能である。さらに、空手は多くの流派にそれぞれ自分たちだけのルールや組織を成している状況では、オリンピックを代表するようなルールや組織を作ることも多く大変なのは事実。
空手のオリンピック種目化に最も積極的な団体が、ヨーロッパが主軸になった世界の空手連盟(WKF)で、2005年と2009年のIOC総会で銘柄の申請もこの団体が主導とした。しかし、日本が主軸である国際空手連盟(ITKF)との軋轢争いは深刻な状態で、2005年IOC総会当時世界空手連盟(WKF)のオリンピック種目の申請に反発してロゲIOC委員長に抗議書簡を送る程度であった。その結果、IOC側オリンピック種目の申請前に空手内部の意見から統合してオーラと勧告したほど。
映像を見れば分かるWKFの空手は、私たちがよく知っている空手とかなり異なっている。ステップ踏むことや打撃後の音上げることまで、過去のテコンドーとかなり似ている。ITKF一部ではWKFが空手を台無しという声もあるのが実情。
オリンピック種目入りを目指す空手流派の立場は流派ごとにまちまちであるが、オリンピック進出を歓迎する流派は量的成長とともに流派の知名度を上げることができるので、意外に伝統流派でも必要視する声は少なくない。一方、オリンピックには全く関心のない流派も多いが、オリンピック種目になると言う事はIOCの要求に合わせて流派の組織と修練システムが変わらなければならないことを意味しているからであり、不利益の方が多いと考える流派である。すでに若年層を対象に自主的に強固な基盤を磨い実戦流派や、MMA式格闘技に適応しようとする流派はだいたいこんな方だ。
あれこれ理由にオリンピックに出たい空手の選手たちはテコンドーに転向して、オリンピックテコンドーを学ぶのが実情である。最も有名な人では、シェイカーマイターアル・マクトゥーム(Sheikha Maitha Bint Mohammad Bin Rashid Al Maktoum)。ドバイの王族で、2006ドーハアジア大会空手銀メダリストやオリンピック出場のためにテコンドーに転向、2008年北京オリンピックに出た。そのためか、テコンドーと空手、両方が強い国は多い。

※ 「今週は空手ルールの試合して、来週はテコンドールールの試合をする」的なテコンドーと空手の垣根が少ない国も多い。

IOC総会で野球(+ソフトボール)、サーフィン、スケートボード、スポーツクライミングと2020年の東京オリンピックの正式種目に採択された。オリンピックアジェンダ2020に基づいて開催地が正式種目に5個程度追加することができようになり、空手のオリンピック追加が実現されたもの。このため、その後のオリンピックでは、空手を見られない可能性が大きい。結局、2024パリオリンピックで退出された。
アジア大会では正式種目に日本が圧倒的な強さを見せているが、最近ではテコンドー大国として知られるイランの空手もまた、日本を追撃している。まだ日本が圧倒的だが、2000年代に来て、日本に次いで空手で金メダル統合10個を超えた国となった。 2014仁川アジア大会で金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル3個を受けた日本に続き、イランが金メダル3個、銅メダル2個を受け密接追撃したほどであった。2018アジア大会では、日本が金メダル4個、銅メダル2個を占め、イランが金メダル2個、銀メダル3個、銅メダル3個全メダル6個を受けた日本を抜いて1994年に広島アジア大会で正式種目になった後に初めて空手大会最多のメダル数日本を抜いた。(参考として、1994年、日本は金メダル9個、銅メダル1つに統合、10個を受けたのが最高記録)
在日コリアンの中でも空手を学ぶ韓国人がたまにいるので、協会が別にあり、さらに北朝鮮国籍で出場することもある。

総合格闘技における空手

80〜90年代のアメリカでの拳法空手の人気は相当なものであり、総合格闘技の舞台にも多くの選手が参加した。これら沖縄や日本本土の修練者ではなく、アメリカの拳法選手たちだったが、ジェラルド・ゴルドー、キース・ハックニーなどが代表的な拳法ファイターだった。今の姿を見ると、信じがたいかもしれないが、フランク・ミーアは空手で格闘技に入門、チャック・リデルの打撃も拳法の影響を多く受けた。
しかし、グラップリング・グラウンド技術の不在であまり好成績は残せなかった。90年代半ばに前後して拳法の参加率は大幅に減少してMMAの流れから離れていくような姿を見えるようになる。以降Rings、PRIDEの発足を契機に、総合格闘技の中心が日本に移動したが、大きな変化はなかった。
この認識は、リョート町田がUFCに進出するまで継続された。2007年オクタゴンに姿を現した松濤館の町田は空手と相撲が混合されたユニークなスタイルで、既存の強者をなぎ倒し、-93kg級チャンピオンに登板する。そのファイティングスタイルが既存のMMA打撃に比べてかなり独創的で特異てMMAでの空手は再評価を受けるに至る。
一方、日本の選手たちは特にMMAの舞台に進出する必要性を感じなかった。極真をはじめと本土の流派が20世紀後半に至っては、すでに日本国内で、その地位を固めて、自主的にも権威ある大会を開催することができるほどになったからである。加えて、K-1と呼ばれるプロの舞台があったので、総合ではなく、立ち技格闘技への進出が続いていた。フランシスコ・フィリョ、アンディ・フグ、佐竹雅昭、森昭夫(ムサシ)、セーム・シュルト、テイシェイラなどがこの方面で活躍した選手たちだ。ただし一部の最強と呼ばれた極真空空手出身の選手がKOされる姿も見せた結果、極真最強の幻想が壊れる面もあった。
しかし、2010年を基点にK-1の運営母体が経営不振に陥り、日本の空手流派もMMAへの進出を検討しているような動きを見せている。
極真空手を修練したMMAファイターのチャンプに上がった有名なこれらにはバス・ルッテンとジョルジュ・サンピエールがある。かつてUFCヘビー級チャンプとパンクラスのチャンピオンを務めたバス・ルッテンは、極真空二段まで修練したことが知られている。バス・ルッテンは、MMAのトレーナーとしてもよく知られている、自分のレッスンでも極真空手を引用した説明を見せることもある。ウェルターチャンプであるサンピエールは幼い時不良にいじめあたりのが嫌いで極真空手を始め、格闘技に入門したものが広く知られている。
最近、2016年のウェルター級で活躍したスティーブン・トンプソンが拳法空手を修練したとして再び注目されている。こちらはジョルジュ・サンピエールとは異なり、グラウンドやクリンチプレイせずに、純粋な空手スタイルで戦う。ただしこちらの場合、他の空手のスタンスの選手たちに比べてもガードがより低く、テコンドーのような感じを与えたりする。ガンナー・ネルソンも空手がベースであり、他の選手としては東洋人として圧倒的な強さを誇った堀口恭二も空手をベースに戦った。ヘンリー・ジェフも空手スタンスを学び、オールラウンドファイターへと変貌し、最終的にはデミトリアス・ジョンソンからベルト奪った。
UFCの有名人コーナーマクレガーも幼い頃から空手を修練し、この影響か、彼のスタンスは、空手とボクシングを組み合わせたような独特のスタンスだ。ミドル級チャンピオンのロバート・ウィテカーも幼い頃から空手を学んだので打撃スタイルに空手の影響が表れている。
概して空手スタンススタイルの選手たちはスタンス自体がボクシングタイプに比べユニーク見たら、まるで映画の中の武道家のような姿そのものだけで目を引く十分である。空手スタンスの場合、通常は比較的良好な物理的条件に基づいて、カウンターとのコンビネーションで可能であり、初期のラウンドで強い面貌を見せる。しかし、フットワークと反射神経の比重が大きいみる体力が不足している後半ほど攻撃力が低下し、テイクダウンを可能にする確率がますます大きくなる欠点がある。その為、持久力が強い選手が多い軽量級でよく見かけるが、体力消耗量が大きい重量級では、空手スタンススタイルの選手が少なくなる。

以上! これで完結です。

 最後まで、お読みいただきありがとうございました。韓国人から見た空手ですが、時として反日色が強くうかがえる部分もありますが、技術に対しては概ね高評価である様に思えます。