漫画脚本『魔導狂犬録:Streets of Fire』第2話『Sorcerer(1)』


シーン1

制服姿の警官A(いかにもな叩き上げの粗暴な警官風)
「だから、駄犬部隊なんて聞いた事ねえぞ」
※現実の日本の警官の制服とは違うモノにする。可能ならより好戦的な印象を与える外見。

主人公、げんなりした表情でモノローグ
「クソ……大阪ここの上の奴らは思い付きで次々と特殊部隊を新設するような間抜けどもで、一体全体、大阪に軍・警察関係の特殊部隊が何個有るのか、ちゃんと把握してる奴らが居るのかさえ怪しい」
「まぁ、特殊部隊って言っても、俺達は表沙汰に出来ない囚人部隊だが……」

制服姿の警官B(いかにもなエリート警官)
「お仲間の半数以上は、既に、貴方達が、この『シン日本首都』に密入国しようとした不法移民だと白状してますよ」

主人公
「はぁ、そうですか……」

警官B
「我々だって鬼や悪魔じゃない」

主人公モノローグ
「その通りだ」
「鬼や悪魔は、お前らほど間抜けじゃねえ」

警官B
「素直に容疑を認めれば、裁判で情状酌量されますよ」
「2〜3年ほどの懲役労働で問題を起こさなければ『シン日本首都』の市民権を得られますよ」

主人公モノローグ
「嘘吐け」
「俺は5年間以上、囚人部隊で血生臭い労働をさせられてっけど、市民権なんてもらえる見込みなんてねえぞ」
「そもそも、欲しくもねえし」

警官A
「おい、何だ、その態度はッ⁉」

主人公(鼻くそほじりながら)
「へっ?」

警官Aが激昂して、警官Bが何かを言っているが、台詞は何も無し。
(主人公は、2人の警官が言ってる事に何の関心も抱いていない)

主人公モノローグ
「体育会系の奴らほど、精神操作は効き易い」
「そして、大阪の軍や警察には『准玉葉』という精神操作能力持ちの政治将校が配属されている」
「つまり、軍や警察の『エリート』ほど『日本は新しい首都である大阪の指導の元、10年前の富士の噴火による旧首都圏壊滅を乗り越え、復興し、今や世界も羨む先進国中の先進国になっている』というプロパガンダを、この大阪府クソつぼの一般市民より遥かに強烈・熱烈に信じている」
「大阪府の事実上の支配者である『シン日本政府』は日本の他の地域からはテロリスト扱いされてて、今は亡き北朝鮮以上の地獄と化した大阪府から逃げ出そうとしてる脱北者ならぬ『脱大者』が山程居るなんて夢にも思ってねえ」
「旧北朝鮮で喩えるなら、軍や警察は脱北者を取締ってる……ただし、脱北者を北朝鮮への密入国者と勘違いした状態で……って所だ」

主人公
「ところで、俺の仲間のポニテの大男、どうしてます?」

警官B
「えっ? 何を言って……?」

警官A
「おい、まずは自分の心配を……」

取調べ室内のスピーカーから声(外部からの連絡)
「開けて下さい。すぐに……」

タイトルページ

取調べ室のドアが開かれており、背後から首根っこをつかまれて持ち上げられてる若い制服警官。
制服警官の首根っこをつかんでいる腕は、

  • 血管が異様に浮き上がっている。

  • 筋肉質(かなり誇張・デフォルメされた筋肉)だが、わざと実際の人間の腕の筋肉とは細部が違うように描く。

  • 誇張気味の腕の産毛(剛毛のように描く)。

  • 指先が若い警官の首筋に食い込んでいる。

など、人間の腕と言うより「鬼の腕」に見えるように描く。

シーン2

床に腰を付いて、失禁しながら、立ち上がれない様子の警官B。
眼鏡は微妙にズレており、鼻水・涎・涙などを流し、薄笑いに見える表情。(実際は顔の筋肉が痙攣している)

警官B
「あははは……」

主人公
「おい、もう少し……こう……何つ〜か……」

池田達也
「でも、こいつら……俺達の敵だろ?」

主人公
「いや、俺達を敵だと勘違いしてるだけの味方だ」

池田達也
「ったく、人間の世界は判りにくい」
「まぁ、だから、観光する分には面白いんだがな」

主人公
「お前は何か有っても、その体捨てて、元の世界に逃げ帰りゃいいんだろ〜けど、俺達は、この世界で何か有ったら死ぬの」
「そして、多分だけど、死んだら、その先はねえの」

池田達也
「大変だな、人間ってのも」
「ともかく、早く九州の太宰府に行くぞ」
「ネットとやらで調べたら、あっちには梅ヶ枝餅とか言う美味い食い物が有るらしいんで、向こうのフロント企業とやらの奴らに山程用意しとくように言っといてくれ」

主人公
「お前さ、酒も甘いモノも両方ともバカバカ飲み喰いしてたら、その内、その体、ガタがくるぞ」

池田達也
「どっか、代りの体、ない?」

主人公
「知るか……。ところで、この若いのと中年だけど……」

タイトルページの若い警官と、シーン1の警官Aが涎を垂らしながら虚ろな表情で壁際に立っている。
ただし、2人とも目は血走り、爪は伸び、歯は乱杭歯と化している。

池田達也
「魔法使い系の人間が『擬似ゾンビ』って呼んでる奴に変えてやった」
「人間の魔法使い系じゃねえ医者は……『生きてる』って判定するだろ〜けど……元には戻せねえ」

主人公
「どうやったら、魔法使い系じゃない医者が擬似ゾンビの診察なんて出来るんだよ? パワード・スーツでも着て診察すんのか?」

池田達也
「人間の医者も大変だな」

主人公
「あとさ、おっさんの方はともかく、将来有る若いのまで何て真似すんだよ?」

池田達也
「やっちまった事は仕方ねえ。過去に囚われず、将来って奴を前向きに考えようじゃねえか」

主人公達、取調べ室から出る。

主人公
「何が『将来って奴を前向きに考えよう』だ? お前が、あの若いのの将来を断ち切ったんだろうがッ‼」

警官B
「あ……あの……待って……ちょっと……」

主人公、取調べ室のドアを閉める。

警官B
「うわあああ……待て……置いてくな……うぎゃあああ」

主人公と池田、通路を進む。
取調べ室らしい複数のドアからは物音や悲鳴。

主人公
「みんなはどうしてる」

池田達也
「全員、無事だ。ここのオフィスに集まってる」

主人公
「ここに居た機動隊どもは?」

池田達也、今まで歩いていた通路を指差す。
閉じられたいくつもの頑丈そうなドアの中から、何かが暴れるような音と悲鳴。

池田達也
「少し前まで仲間だった奴を食ってるか……少し前まで仲間だった奴に食われてるかのどっちかだ」

シーン3

警察署のオフィスらしき場所。

中川|陽斗、段ボール箱の中から拳銃を取り出しながら
「あの、この拳銃の弾と予備の弾倉マガジン、どれですか?」

主人公
「弾はこれ、9㎜パラ」

池田達也
「何で、人間の世界では、同じチームの奴でも武器とかがバラバラなんだ?」

主人公
「上の奴らだって、ホントは同じモノを揃えたいんだろうが……大阪ここの軍や警察の武器は、富士の噴火の前の奴か『外』のヤー公なんかから買ったモノなんでな」
「どうしても、銃器の種類はバラバラになっちまう」

海森龍雄
「なるべく、全員、同じ銃を持ってけ」
「同じ銃が足りないなら、弾丸だけでも同じのにしとくか」

主人公
「そうっすね……」
「QSZ-92-9を有るだけ探せ、これだ」
「弾は9㎜パラを持てるだけ持ってけ」

主人公チーム付きの准玉葉、PCの画面に向かって話しながら、
「はい、多少のトラブルは有りましたが、順調です」
「えっ……今居る場所は……その……」

その時、どこからともなく「ピコーン」という音。

無線通信
「こちら第一小隊。爆発物処理班が到着しましたが……所轄の連中が捜査権限は自分達に有ると言い張ってますので、指示願います」

一同
「えっ?」

無線通信
「課長、どうしました?」

主人公
「おい、課長とやらは、どこ行った?」

池田達也
「ごめん、殺した……多分だけど」シーン4

次の瞬間、爆発音。

海森龍雄
「ち……近いのぉ……」

岡本信太郎
「え……ええ、かなり……」

無線通信
「増援願います」
「課長……返事を……」

主人公
「え……えっと……」

海森龍雄
「おい、全員、ズラかるぞッ‼ 急げッ‼」

シーン4

PCルームらしき場所。

海森龍雄
「何やっとんじゃッ? 早く行くぞッ‼」

PCを操作してる主人公
「監視カメラの映像を消してるんですよ……ん?」

PC画面にポップ・アップ
「中央サーバーへの定時転送失敗」
ポップアップには「詳細表示」ボタン。

海森龍雄
「何が……起きとんじゃ?」

主人公
「変ですね……ちょっと待って……下さい」

PC上にコマンド・プロンプトが開き、コマンドが入力される。(Pingなど)

主人公
携帯電話ブンコPhone有ります? 仕事用のヤツ」

海森龍雄
「一応は取り戻したが……」

海森、文庫本サイズの2つ折り2画面タイプの携帯端末を取り出し走査。

海森龍雄
「何じゃ……こりゃ……」

主人公
「理由は判りませんが……ネットワークが落ちてるっぽいっすね」

海森龍雄
「ネットワーク?」

主人公
「ええ……下手したら『大阪』の行政ネットワークが全部……ん?」

主人公モノローグ
「いつの間に、こんな酷いゲリラ豪雨になってる?」
「しかも……」

監視カメラ映像の1つ。
駐車場らしき場所に機動隊用らしきマイクロバスが2台入って来ている。

主人公モノローグ
「マズいな……こりゃ……」

いいなと思ったら応援しよう!